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はじまりのうたーかれん編ー

 みんなが楽しそうに話している。
笑い声。笑顔。
みんながキラキラ輝いているように見える。
だけど、私だけ笑顔が無く、ずっと下を向いている。
なんで、なんでこの気持ちなのだろう。
ずっとそう思って、ずっと考えている。
でも、答えが見つからない。
なんでなんだろう。
ここにいるみんなは就職先が決まっているのに、私だけ決まっていない。
その焦りの気持ちなのだろうか。
とにかく落ち着かせなきゃ。
そう思い、立ち上がる。
すると友達は私を見る。恥ずかしくなってきた。
「あ、ごめん。ちょっと急用を思い出して。」
私はそれだけを言い、店の外に出る。
心が落ち着かない。なんだか、涙が流れそう。
とにかく自分を落ち着かせようと、イヤホンをスマホと繋げる。
自分の耳にイヤホンを入れる。スマホで音楽を流す。
流れてくる音楽に心を落ち着かせるが、涙が止まらない。
なんで。なんで。
私は鼻筋を流れる涙を拭く。
夜空を見上げる。そこに、たくさんの星があった。
すると、誰かが私の肩をたたく。その誰かも私の耳に入れているイヤホンを外す。
誰だろう。そう思ってその人達を見る。
さっきまでいた友達だった。
私は涙が止まらなかった。
そこに、どこからか音楽が聞こえる。
どこからだろう。そう思って、周囲を見渡す。
「どうかしたの?」友達が言う。どうやら、友達には聞こえていないらしい。
「ううん。何でも無い。」
「ねぇ。今日は早く帰りなよ。疲れているんでしょ?」友達は私の心を察するかのように言う。
「うん。今日は早く帰らせて貰うね。・・・ごめんね。」
私は涙で声を震えさせながら、謝る。
「いいってことよ!何かあったら、いつでも相談して!」友達は笑顔で言う。
私は感謝しかなかった。

友達と話しているときも、音楽は鳴り止まなかった。
この音楽、どこから聞こえてくるのだろう・・。しかも、聞いたことあるし・・。
そう思い、友達に手を振った後、私は音楽がする方へ走る。

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