見出し画像

犬塚翼

※二次創作です。勿論物語には影響しません。(画像:https://www.tv-asahi.co.jp/donbro/より)

 「はあ・・・。はあ・・・。捕まってたまるか。」
変なメガネを装着し、装着しないと分からない扉の中に入り、扉を閉める。
「あいつ、どこ行きやがった。」
「本当ですよ。警部さん。」
俺がこのようなことになったのは、全てあの日からだったー。


 俺はある日、彼女である鬼里かなと遊園地で遊んでいた。
彼女がトイレに行っている間、スマホでネットサーフィンをしていたら、突然パチンコみたいな画面が表示された。
「なんだこれ。」
画面が横表示だったので、スマホを横にしたら奇妙な目がスロットに揃い、上からメガネが勝手に装着された。そのメガネで周りを見てみたら、不思議なことに人間ではない奴らが平然と歩いていた。
まさかな。
そう思って、一度メガネを外す。その後に見た風景は、今まで見たような光景だった。
なんだよ、これ。
そう思っていたら、彼女がトイレから出てきた。丁度良い。少し彼女をこのメガネで見てやろう。
そう思って、再びメガネを掛けて彼女を見る。
「お待たせー。犬塚くん。待ったー?」
どうやら、普通の人間だった。
「ううん。待ってないよ。」
「ほんと!?よかった。それじゃ、次どこに行く?」
「うーん。どこに行こうか。」俺が次に行くところを、マップを見ながら考えていると、隣にいる彼女は俺のメガネを手に取り、
「何このメガネ。変なの。ねえ、このメガネって買ったの?」と疑問に付す。
「そんなところかな。道端のおっさんに『これ、あげる。』って言われて貰った。」
「ふーん。なるほどね。」彼女がそう言うと、手に取っていたメガネを俺のポケットに入れる。
「さ、次行こう。」
彼女がそう言うと、後ろにあるお化け屋敷へ向かっていった。
このようにして、俺は彼女との遊園地デートを楽しんでいった。

 「じゃあ、またね。犬塚くん。」彼女が笑顔で手を振る。
「うん。じゃあまたな。」俺も手を振る。
彼女が駅に向かって歩くところを見送り、俺はさっさと自宅へ帰る。
しっかし、このメガネは何なんだ?これを掛けると、変な物が見えるし。
そう思いながら、歩きながらポケットに入っていたメガネを取り出して見る。
何も思わずに、ただそのメガネを見る。
折角だから、もう一度掛けてみよう。
そう思って、再びメガネを掛ける。
そこに広がっていたのは、やはり遊園地で見た風景と同じだった。普通の人間と混じり普通に歩く化け物。それが俺ら普通の人間と同じ数でいるように見える。
すると、ある化け物がこちらに近づいてくる。
「あいつ、見えるのか・・・。」低い声で言う。
やばい。なんか殺される気がする。
そう思い、必死に逃げる。
逃げる先にも、同じような化け物が同じようにいる。やばい。
途中何人かぶつかってしまったが、そんなのは関係が無かった。俺は今、命が狙われているんだ。
俺は必死に逃げた。そして、逃げ込んだその先には駅裏の路地だった。
やばい。行き止まりだ。
そう思っていると、目の前に銃みたいな物が現れる。
「またかよ。今度は何だ。」
銃が上の方へ向き、何かを発射する。
すると、俺はギアみたいなものに通され、体全身が白い光に包まれる。そして、その包まれたものを見ると、
「なんだよ、これは。」
体が小さくなり、犬みたくなっていた。
「何だよ、これはー!」
嘆いていると、後ろから化け物が襲いかかってくる。慌てて避け、化け物の股の間を通り逃げる。しかし、逃げた先にいたのは鬼みたいな化け物がいた。
恐らく、こいつが親分か。
そう思い、俺は小さな体で目の前の化け物を倒そうとする。だけど、すぐに化け物に掴まれポイッと捨てられた。
「クソッ!」地面に叩き付ける。
その後、どこからかバイクのエンジン音が聞こえた。
「さあさあ!祭りだ祭りだ!」
誰だ、あいつ。めっちゃハイテンションだし。
そう思っていると、赤い人がバイクを乗り捨て、剣を持って化け物を切りつけていく。
「なるほど、どうやら味方か。」
そう思い、赤い人の勢力に加勢していく。
小さな体で化け物を翻弄し、化け物同士をぶつけさせ、倒れた化け物から踏んづけていく。
「よし、これでトドメだ!!」赤い人がそう言うと、剣についていたギアを回していく。ギアを回すと、剣の先が光っていく。
ゲーミングみたいだな。
そう思いながら見ていると、ギアを回し終わったのか、持ち手に両手を添える。そして、赤い人が剣で鬼のような化け物を切り裂いていく。
そして、その化け物は爆散していった。
この赤いやつは誰だ?
そう思って俺は、赤い人に近づく。だが、すぐに赤い人に蹴られてしまう。
「いったいなぁー!!もうー!!」
そう言いながら立った場所は、俺のアパートの前だった。
一体何だったのだろう。そう思っていると、体は元に戻っていた。
今日は早く寝た方が良いな。
そう思い、アパートの階段を駆け上がり、自分の部屋の扉を開ける。
 玄関で靴を脱ぎ、そのまま荷物が散乱しているリビングへ向かう。そして、ベッドにそのままダイブする。
一体、あの赤い人は何だったのだろう。そして、このメガネは何なんだ。
そう思いながらメガネを見ていると、睡魔が突然襲いかかってきた。

 翌日。
起き上がってみると、昨日の服装のままだった。どうやら、そのまま寝てしまったらしい。
俺は服を脱ぎ捨て、新しい服をタンスの中から取りだし着る。
その時、玄関からドアベルの音がした。
こんな朝から何の用だ。そう思い、玄関のドアを開ける。そこには、二人の男性がいた。
「犬塚翼だな?お前を殺人容疑で逮捕する。」
そう言い、コートの男性が警察手帳と『逮捕状』と書かれた紙を見せる。
「ちょっと待ってくださいよ。なんで逮捕なんですか!?」
俺は動揺した。殺人なんて少しもやっていないのに。
「詳しい話は署で聞く。今はおとなしくしていろ。」
男はそう言うと、俺の腕を掴んでくる。
イヤだ。何もやっていないのに捕まりたくない。
俺は男の手を振りほどき、扉を閉めようとする。だが、男は閉めさせないために扉を手で押さえる。
俺は舌打ちをする。その時、一瞬頭の中で思い浮かんだ。あのメガネを使って逃げれば良いんだ。今はそうするしかない。
そう思い、「あっ。ちょっと待ってください。」とだけ言い、男二人を玄関の先で待たせる。
部屋へさっさと戻り、ベッドの上にあったメガネを取る。そして、部屋の窓を開ける。
下を見れば、飛び降りるにはなかなかの高さだな、と思うと、俺は窓の縁に足を乗せる。
「おいっ!お前何している!」男の怒鳴り声が聞こえる。
俺は捕まりたくない。何もしていないのに、捕まるのだけは御免だ。
俺は自分の部屋の窓から飛び降りる。その際の振動が体に伝わったが、今はそんなことに感心している場合ではなかった。
すぐさまメガネを掛け、石レンガの壁に現れた扉を開ける。
「あいつ・・・。どこ行きやがったー!」

俺は扉から出てきた先には、どこか昭和の趣が隠されていた。
右手にはお店があり、暖簾がかかっていた。『喫茶どんぶら』と。
今はここで匿って貰うしかない。そう思い、店内に入る。
そこにはおしゃれな店内が広がっており、奥には読書をしているお店の人がいた。
俺はその人に近づき、
「今大変なことが起きているから、俺を匿ってくれ!」と頭を下げる。
「・・・。君は誰?」男は言う。
「犬塚翼と言います。俺は今、何もやっていないのに警察に追われている。助けてくれ。」
「なるほどね。」読書をしながら言う。
「匿ってくれないでしょうか!」俺は再び頭を下げる。
「そういう状況なら、良いけど。ただ、本当にやっていたら追い出す。良いね?」男は目線をこちらに向ける。
「ありがとうございます!」俺は頭を下げる。
「ところで、あなたは?」俺は疑問に付す。
「俺は五色田介人。」淡々と言う。
「あ、そうか。部屋を紹介しないといけないのか。」そう言うと、介人は店の奥となる階段を上る。俺はその後をついて行く。
介人は階段を上り、そのまま部屋へと入る。
その部屋へ入ると、何やら近未来的なものやギアが並んであった。
「あの・・・。ここは一体・・・。」
「君に怒っていることを説明しないといけないな・・・。そのメガネも含めて。」俺の目を指で指す。
「このメガネに何か秘密があるんですか?」掛けていたメガネを外し、介人に見せる。
「そのメガネは確か、スマホにスロットが出てきたか?」
「はい、確か。」
「そのメガネは人間に化けるアノー二を見分けるための物だ。勿論ちゃんと武器としても使える。」
「アノー二って・・・。」
「アノー二は我々の敵である脳人が作り出した怪人だ。」
介人は淡々と説明していく。ただ、いきなり『我々』、『敵』、『怪人』などと言われても頭が追いつかない。そんな俺を見透かしていたのか、介人は鼻で息を吹く。
「いきなりこんなことを言っても、分からないことは分からないよね。最初から説明するよ。話が少し長くなるから、そこの椅子でも座って聞いて。」介人はそこの椅子に座るよう促す。
俺は促されるとおりに椅子に座る。
「よし。それじゃあ、まず君の今起こっていることについて説明する。君の今起こっている状況というのは、現在俺でも分かっていない。ただ、恐らく脳人の仕業ということだけは分かっている。」
「脳人って一体どんな奴らなんですか?」
「脳人は簡単に言えば、怪人かな。分かっていないことが多い。」
「なるほど。そういうことね。」俺は頷く。
「あと、君の前でこんな銃を見掛けなかったのかい?」そう言うと、昨日見たような銃を見せる。
「見ました。確か、それで犬のような姿に変わりました。」
「この銃は『ドンブラスター』という。君の体が犬っぽくなったのは、この銃と『アバタロウギア』と呼ばれるギアの効力で変身したということだ。まあ、変身というよりは『アバターチェンジ』したってと言うことなんだけどね。」
「つまり、この銃であれば脳人とか言う敵を倒せることが出来るんですか!?」俺はそう言うが、介人は首を横に振る。
「倒せるかもしれないが、脳人は人間では普通見ることが出来ない。そこで、そいつらを見ることが出来るのがそのメガネと言うことだ。」
なるほど、そういうことか。でも、なぜ俺が選ばれたんだ・・・?
「ちなみに言うが、このメガネはランダムに持ち主を選ぶから、そのおかげで君が選ばれたと言うことだ。おめでとう。」なぜか祝われた。
「とにかく、このドンブラスターとギアは君が持っておいてくれ。俺が使うものではないからな。」
そう言うと、介人は俺に今言った物を託し、部屋を出ようとする。
「あ、そうそう。言い忘れたことがあって、スーパー戦隊の『アバタロウギア』を集めてほしい。あれがあれば、脳人を倒せるかもしれない。」それだけを言い残し、介人は部屋を出る。
なるほど・・・。そういうことか。だったら、自分の手で現実を変えてみせる。
そう思い、部屋を出て階段を降りる。そして、一階のカフェを通り外へ出る。
その時、介人はそんな翼を見ながらニヤリと微笑む。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?