会計事務所の皆さまと新しい経営管理の体験を創る
こんにちは、ナレッジラボCEOの国見です。
Manageboard2.0も新しい経営管理の体験を提供したいという想いのもとでさまざまなアップデートを重ねてきました。
2021年6月30日にいよいよManageboard2.0でも現行Manageboardの会計事務所さまにご活用いただけるアドバイザープランをリリースすることができました。
今回は、アドバイザープランをリリースするに至った背景や想いについて書いてみたいと思います。
「経営を会計の力で変えたい」から始まったManageboard
そもそものManageboardを作ろうと考えたきっかけは、事業再生で出会ったたくさんの中小企業経営者と経営改善に駆け回っていた日々にありました。
ナレッジラボが行っている事業再生は売上規模で1〜10億円くらいのいわゆる中小企業です。再生手法はシンプルで、業種、業界を問わずに
売上や利益率がわかるデータを整理して、何が儲かっていて、何が儲かっていないのかを把握する
目指すべき中期計画と足元でやるべき月次計画を作る
社長だけじゃなくて従業員も巻き込んで計画を実現するために何ができるか一緒に考え、お尻を叩く
この3点をひたすら繰り返し、数字に弱く経験と勘が頼りだった経営を数字に強い経営に変えていこうと考えて、経営者と一緒に取り組んでいきました。
そうすると徐々にではありますが、業績がよくなっていく会社、社内の雰囲気がよくなる会社、V字回復する会社が出てくるようになりました。
一時は倒産の危機にあったクライアントがよくなっていくのを見ながら、ナレッジラボとしてチャレンジすべき一つの道筋が見えてきました。
それは、数字に強くなって「経営の解像度」が高まると中小企業はどんどんよくなっていくということでした。
ポイントは3点。「予算管理」と「業績予測」と「資金繰り管理」です。
この3つが仕組みとして機能しだすと中小企業でもどんどん業績がよくなっていくことが見えてきました。
しかし同時に問題も出てきました。
当時は私たち自身がエクセルで作って提供していましたが、これがすごく大変だったです。
作るのも大変なら運用するのも大変です。
多くの中小企業において、これらのエクセルをメンテナンスしながら効果的に運用するハードルはとても高いものでした。
世の中には数字が見えていない会社、データが活用できてない会社は何十万社もあります。
これらの面倒な作業をしなくても簡単に予算管理や業績予測、資金繰り管理ができて経営の解像度を高めることができるサービスをSaaSで提供できたら、経営データを使いこなせず経験と勘の経営から抜け出せないでいる多くの中小企業を救えるのではないかという想いで開発をスタートしたのがManageboardでした。
Manageboardが越えるべき壁
そんな想いを込めたManageboardをリリースしたのは2018年。
リリース当初は会計事務所さまをメインターゲットとした開発を進め、多くの会計事務所さまに育てていただきながら中小企業の経営の解像度を高めるという大きなテーマに取り組んできました。
当初は会計事務所さまを通じて誰でも簡単に会計を使って経営を予測したり分析できる世界を作るためにManageboardの開発を進めていきましたが、実際にサービス提供をしていく中で当初は想定していなかった論点が見えてきました。
推移表形式から仕訳形式への変更
Manageboardの開発を始めた当初はとにかく簡単にエクセルライクな操作という点にフォーカスを置いていたこともあり、データを仕訳としてではなく推移表形式で取り扱うことを前提にアーキテクチャを作っていました。
開発を進めていく中で、データを仕訳形式で持った方が圧倒的に深い分析や柔軟な加工ができることがわかり途中で仕訳への転換を行いました。
ただ、全体設計の大幅な変更というのは難しくアーキテクチャに多くの負担をかけてしまうという課題を抱えることとなりました。
企業の成長に合わせた拡張性
企業は成長に合わせて求められる経営管理レベルも上がっていきます。
企業規模が小さくビジネスもシンプルであれば全社単位で試算表ベースとした分析で十分ですが、規模が大きくなりビジネスが複雑になると、部門別管理や担当者別のKPI管理、BS管理など求められる水準が上がっていきます。
当初Manageboardが中小企業にフォーカスを当てて開発をしていたこともあり、これらの複雑な経営管理ニーズに迅速に対応するためには徐々に負担が大きくなっていきました。
複雑さと簡単さの両立
IPOを目指している成長企業や規模の大きな中堅企業などからの複雑なニーズに応える一方で、会計事務所のスタッフの方でも簡単に使えるシンプルなUI/UXを同時に満たすためにさまざまな試行錯誤を繰り返してきましたが、そもそもの利用者のニーズやスキルには大きな隔たりがあり、両者を一つのサービスで満たすということが徐々に難しくなってきました。
成長企業の経営管理部門ユーザーと会計事務所のスタッフユーザーでは、そもそもManageboardに求める体験は大きく異なっており、どちらのユーザーをも満たす体験を提供するためにはサービスの設計自体を見直す必要が出てきました。
Manageboardとしてこれらの課題に向き合うためにはどうすればよいか?
小手先の対応では根本的な解決はできません。これらの課題を乗り越えていくためにはアーキテクチャから見直していく必要がありますし、そうするとManageboardの新たな開発スピードを大きく落としていく必要があります。また、Manageboardに大きな期待を寄せていただいているユーザーの方にも新しい価値を届けられずご迷惑をおかけしてしまいます。
社内でも議論を繰り返しましたが、今後も私たちが本当に作りたいサービスにこだわり、会計を経営に活用するための新しい体験を提供し続けたいということになり、ゼロベースで見直した新しいManageboardを開発しようという意思決定をすることになりました。
Manageboard2.0で提供したい価値は何か?
2020年5月からManageboard2.0プロジェクトをスタートさせました。初めの数ヶ月は
・どのようなコンセプトのプロダクトを作るのか?
・どのようなユーザーペインを解決していくのか?
・どのようなユーザーストーリーを作っていくのか?
このあたりをじっくり議論しながら、どうやればManageboard2.0が経営管理に新しい体験を提供することができるのか、を徹底的に考えました。
Manageboardをご活用いただいているユーザーさまが解決したい課題は大きく2つに分類されます。
一つは、「業績やキャッシュフローの先行きが見えていないという不安を解消したい」という課題です。
こちらは、どちらかというと経理・財務の管理体制が弱く、会計を顧問会計事務所に頼られているユーザーさまからよく伺う課題です。
もう一つは、「予算管理をしっかりやっていきたいけど、エクセルでの予算管理がうまく回っていない」という課題です。
こちらは、売上や従業員規模が大きい会社やこれから大きく成長していきたいけど、業績や予算の管理レベルに課題があるというユーザーさまから多く伺う課題です。
これらの2つの課題は似ているようで、実はManageboardに求めている体験は大きく異なるものでした。
前者は、数字を把握したいけど自社ではできないから顧問の会計事務所に要点を教えてもらいたい。
後者は、ざっくりした管理ではなく事業のKPIまで落とし込んだ予算管理をストレスなく簡単にやっていきたい。
これらの異なる体験をManageboard2.0で提供していくために、会計事務所さまとどのような協力体制を作っていくことができるのだろうか?
この点について議論を繰り返していった結果、次のような結論に至りました。
アドバイザープランと販売パートナー制度
まず、Manageboard2.0で価値を届けたいユーザーはエンドユーザー企業であるとした上で、会計事務所さまは私たちと一緒になってエンドユーザー企業に新しい経営管理の体験を届けていくパートナーであると定義しました。
その上で、パートナー会計事務所さまが一社でも多くのクライアントに新しい経営管理の体験を届けていただくために大きく二つの方法をご用意しました。
一つが、Manageboard2.0のアドバイザープランで、もう一つが販売パートナー制度です。
アドバイザープラン
アドバイザープランは、会計事務所のスタッフの方にも簡単に使っていただけるように、シンプルでわかりやすさにこだわりました。
業績予測やキャッシュフロー予測を簡単にできたり、分析結果も標準レポートなどを使っていただくことで、簡単に業績やキャッシュフローの先行きが見えないため不安を解消したいという顧問先さまのニーズに応えることができるように設計しています。
アドバイザープランはできるだけ簡単に使っていただけるように設計した上で、予算管理をしっかりやっていきたいけどできていないという課題を抱えている顧問先さまには、もう一つの方法である販売パートナー制度をご用意しました。
販売パートナー制度
パートナーである会計事務所さまから
・本格的な予算管理をやっていきたい
・エクセルでの予算管理が限界だ
・事業成長のために経営管理をしっかりやっていきたい
と考えている顧問先さまに、本格的な予算管理を直感的なUI/UXで実現できるManageboard2.0のマネジメントプランをご紹介いただき、パートナー会計事務所さまと一緒になって顧問先さまの経営管理体制の構築をお手伝いする制度です。
ご紹介いただいた顧問先さまにナレッジラボのManageboardのセールスやカスタマーサクセスのプロフェッショナルが顧問先さまの予算管理をオンボーディングまでサポートさせていただきます。
また、ご紹介いただいたエンドユーザー様がご成約に⾄った場合、その利⽤料⾦の⼀部を紹介⼿数料としてお支払いする仕組みもご用意しています。
これらの2つの方法によってパートナー会計事務所さまとともに顧問先さまに新しい経営管理の体験を提供し、より数字に強い会社に進化していただくためのサポートをご一緒させていただきたく思っています。
まだまだManageboard2.0はスタートラインに立ったところですが、ユーザー企業に新しい経営管理の体験を提供し会計の力で経営を変えていきたい、そのためにはパートナーである会計事務所の皆さまとしっかり連携させていただきながら、プロダクトを進化させていきたいと考えています。
同じ志をお持ちの会計事務所さま、ぜひ皆様と顧問先さまに新しい経営管理の体験を提供するための道のりをご一緒させてください。
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