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#11 罠1

「とにかくあの子にはご注意なさってください」

 データセンター管理部門担当に面会を申し込まれた時、普段温厚な秘書室長が珍しく苦言を呈した。

「弊社にこれ以上のデータセンターの増設は不要だと上級会議で決定されたことをお忘れなく。それに……」

 面会場所に指定された離島に向かうセスナに搭乗する寸前、眉間にしわを寄せた室長が私の腕を引き、耳元に艶やかな唇を寄せ。

「あの子の太腿には要注意ですからねっ」

 と囁いてきた。
 海千山千の秘書室長の前では千年狐も尻尾を巻いて逃げるというのに、たかが小娘一人に何を警戒しているのやらと鼻で笑ったが、現地に到着し担当者を前にしてその理由がよくわかった。

「お待ちしておりました、社長」

 降り注ぐ日の光の下、ボーイッシュなスタイルに不似合いな豊満な肢体と、辿りたくなるような足のラインを見せつけて担当者がやって来る。

「さぁ、わが社の輝かしい将来に貢献する新規データセンターの候補地の視察に参りましょう!」

 さっと腕を取られ、あっと言う間に今日の「面会」の予定を「視察」に塗り替えられてしまう。
 きらきらと瞳を輝かせ小気味良く歩き回る太腿に振り回されながら、私は室長のお小言を受ける覚悟を決める他なかった。