見出し画像

コロナ禍から見えてきたもの:五泉ニットの新たなチャレンジ

新型コロナウイルスは様々な産業に影響を与えてきましたが、それは私たち五泉ニットも同様です。

今回はコロナ禍において五泉ニットの産業にどんな影響があったのか。そのなかで各社はどのような取り組みを行っているのかを、サイフクの斉藤佳奈子さんにお伺いしました。

画像1

斉藤 佳奈子 氏
有限会社サイフク 常務取締役、mino・226ブランドマネージャー
https://www.saifuku-knit.jp/


はじめに、コロナが五泉ニット産業に与えた影響と変化、全体的な傾向を教えてください

コロナ禍で、百貨店やショップが休業になり、私たちニットメーカーのお取引先であるアパレル各社が売り場や販売チャンスを失ったことが大打撃でした。
コロナが出始めた当初は、ちょうど春夏シーズンで、せっかく作ったものが店頭に並ばないという、経験したことのない悔しい気持ちと、先行きが見通せない不安を味わいました。

売り場で服が売れなければ在庫が減らず、次の依頼は来ません。

アパレルさんの依頼により作るOEM生産のニットだけではなく、サイフクで運営している2つのブランド「ニットポンチョmino」「226(つつむ)」により力を入れようと決意しました。

画像2

https://shop.saifuku-knit.jp/

とはいえ、コロナが全ての要因ではありません
国内生産から海外生産へのシフトは、すでに五泉産地に大きなダメージを与えていました。

加えて、何年も前から徐々にファッション業界には、モノ余りの厳しい風が吹き始めていました。
そんな時代の流れや変化を感じ取り、早め早めの対策を打っていくことが求められました。

2012年よりスタートしていたブランド運営に、より注力するのは自然な流れでした。


影響を受けて、どんな対応策や工夫を凝らしたか、具体的な取組みを教えてください

まずサイフクでは、「226(つつむ)」という、ニットでなんでもつつもう!という趣旨のブランドを展開していたので、<かおをつつむ / のびるニットマスク>を発売しました。

画像3

https://shop.saifuku-knit.jp/?mode=f8
https://shop.saifuku-knit.jp/?mode=grp&gid=2446080

こちらは大好評で10万枚を超える販売で、コロナ禍の中、会社の売上げに大きく貢献しました

つつむ(包む)というブランドのコンセプトにも合っており、伸縮性のあるニットで一体編みをしたマスクには、たくさんのファンがつきました。

マスクのおかげでサイフクや五泉ニットを知ってくださった方々に、mino・226を伝えて行くことができるというのは相乗効果としてブランドの成長を支えました。

ニットマスク自体も何度も改良を重ねて発売し、お客さまアンケートからカラー展開を決めたりと、D2C化をより加速したのもコロナ禍がきっかけとなりました。

また、ニットマスク → フェイスマスク → ウイルス予防ハンドカバー → マスクコード → マスクケース、と時代の流れに求められるままアイテムを拡充し、アイテム開発から販売までのスピードについても身に付いた時期でした。


新しい生活様式や価値観の変化などが語られるようになりましたが、今後の産業の在り方をどのように考えていますか

コロナが収束しても、産業が元に戻るということはないと考えています。

すでに新しい世界に切り替わったと認識し、過去にとらわれずに新しいチャレンジをくり返して行くしかありません。

226というブランドを運営するにあたり、ニットの可能性や長所について、一層深く考え、ものづくりをするようになりました。

ニットとはなんなのか、編みを活かすとは、糸を活かすとは。

考え続け、動き続けること、繋がりを築くことが、今後を左右するでしょう。

具体的には、私たちサイフクは、minoと226を販売するオンラインショップを運営しています。
https://shop.saifuku-knit.jp/

2つのブランドを年間通して企画・生産・販売するというのは、並大抵の労力ではありません。

何か売れそうなものを企画してショップに並べるだけでは、売上げを作ることはできません。

もともとニットメーカーとして持っている生産力はいいとして、企画と販売については一からの勉強でした。

ニットポンチョminoでは、「nico(にこ)」という、手を通す穴が2つあいたずり落ちにくいストールポンチョが人気です。

minoweb2020パーツ_topメインイメージ (002)

https://shop.saifuku-knit.jp/?mode=grp&gid=2446074

226では、「見せるハラマキ」という、服の上に着けてあえて見せるという、おなかを温めながらもファッション性のあるハラマキがヒットしています。

画像5

https://shop.saifuku-knit.jp/?pid=154797627

ストーリーがあり、お客様の利便性に訴求できる、筋の良い企画の作り方を、私たちは一歩一歩身に着けて来ました。

私たちは、従来のアパレルの服作りを続けながらも、チャレンジをくり返しながら五泉でのニットづくりを楽しんでいくつもりです。


アフターコロナへ向けて考えていること、今後チャレンジしたいこと等を教えてください

どこからがアフターコロナと言えるのかにもよりますが、人の往来ができるようになるならば、五泉に来てもらって五泉ニットに触れてもらうというのが、やはり一番でしょう。

サイフクが開催している<お土産付き!ニット工場見学>は、五泉やニットについての説明の後、ニット生産の最初から最後までを一気通貫で見ていただく人気イベントです。

画像6

ずらっと並んだたくさんの編み機や、細かい作業に集中するリンキングスタッフなど、見所も多く、男女ともに楽しめます。

小中学生の社会科見学も受け入れています。百聞は一見に如かず、ぜひ一度は見て触れていただきたいです。
https://shop.saifuku-knit.jp/?mode=f12

更に今年、五泉には、「Loop & Loop」や「ラポルテ五泉」など、一般の方に五泉ニットを知ってもらえる施設が増えました。

スクリーンショット 2021-09-26 203815


日本一のニットのまちとして、発信を強める土壌ができあがりました。

産業観光の流れもあり、発信を広げながら、お客さまと相互にやりとりできるように努めたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?