【絵本 森はオペラ】と【センス・オブ・ワンダー】
森を歩くと、
年月がつむぎだす
森のいのちたちの
かがやきを感じる。
木や草のオペラは
光あふれる森の時間
姉埼一馬
【並べて楽しい絵本の世界】
長雨が続いたので、道端の雑草の発育がハンパなく、歩道が狭くなっている都下地方です。道幅が半分くらいになってしまっているので、すれ違う人に気を使います・・・
でも、緑がとても美しい。まるで、新緑のよう・・・
どこか、樹木がたくさんあって、深呼吸できるような場所に行きたいと思います、本の世界で。
【絵本 森はオペラ】は名作写真絵本『はるにれ』の作家による、美しい森の絵本です。
絵本の「表紙」を飾る大木は 直径一メートルを越える『エゾエノキ』です。そして、「トビラ」には初々しい、『オオカメノキ』の芽吹き。
木々の織りなす、静かだけど、でもとっても荘厳な、いのちのオペラを聴きながら、ページをめくっていくと、自分も森の中にいて、自然の一部になっているような、気持ちになれます。
いろいろな歌が聞こえてきます。
きどった うた
すねた うた
げんきな うた
たのしい コーラス
作者がちゃんと導いてくれます。
樹の名前がわからなくても大丈夫。
巻末に、【キャスト】として、小さな写真とともに紹介されています。
絵本のこういうサービスが私はとても嬉しい。
以前に紹介記事を書いた【山はしっている】も、やはり巻末に絵本に登場する動物たちが紹介されていて、素晴らしいと思いました。
なんどもなんどもページをめくってそれぞれの樹の姿を確認し、森の中で生きて歌う彼らの姿も想像することができます。
今月、新潮文庫から、あの『センス・オブ・ワンダー』が出たー!と大急ぎで購入してきました。
やっとやっと・・・の文庫版には、
すばらしい4人の先生が文章を寄せています。(敬称略)
生物学 福岡伸一
批評家 若松英輔
神経科学 大隅典子
作家 角野栄子
ハードカバーの方は、レイチェル・カーソンの文章のみですが、文庫版では、様々な分野からみた、確かな4人の目が、これから私たちは、自然のことを、どのように考えていったらいいのだろうという思いの、道しるべになってくれます。
センス・オブ・ワンダーはレイチェル・カーソンの最後の作品になりました。ほんとうは、もっとふくらませていきたかった、そのこころざし半ばで、病に倒れてしまいました。
前作の「沈黙の春」で地球の環境破壊について書いた彼女は、数々の批判もあびてきました。
いま、私たちの関心の多くは、環境破壊について、NO!に向いています。その礎となった彼女の 最後の本への、先生方の思いが、私たちを導いてくれるように思います。
著者の レイチェル・カーソンは本書の中で言っています。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー」=神秘さや不思議さに目を見はる感性を授けてほしいとたのむでしょう。
(中略)
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。
『善良な妖精にはなしかける力』は、私たちも 持つことができるのではないでしょうか。
「知る」ことばかりではなく「感じる」ことを大切に、生きていくのだと 決めれば、私たちもセンス・オブ・ワンダーを手にすることができるのではないでしょうか。
他の方の note を読んでいると、そのように感じることが多いです。
今日も読んでいただき ありがとうございます。
あなたの読書も 豊かなものになりますように。