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新作映画2024

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2024年の新作ベスト選考に関わる作品をまとめています。新作の定義は、今年も2022/2023/2024年製作の作品で自分が未見の作品です。
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2024年2月の記事一覧

エミリー・アテフ『密会 少女と馬飼いの男』ドイツ、おじさんに恋する少女の物語

2023年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ダニエラ・クリエンによる同名小説の映画化作品。1990年夏、東ドイツの農村で暮らすマリアは写真家志望の恋人ヨハネスの家に居候していた。母親の勤めていた工場が東西統合によって閉鎖されてしまい、仕事にあぶれた母親は別れた夫の実家に居候していたからだ。そんな彼女は学校をサボっては昼間からドストエフスキーを読んで、ヨハネスの実家のブレンデル農場を手伝って過ごしている。ある日、近隣に暮らす独り身の農夫ヘンナーとばったり出くわし、その魅力に呑み

ジョナサン・グレイザー『関心領域』アウシュヴィッツの隣で暮らす一家の日常

2023年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。2024年アカデミー国際長編映画賞イギリス代表。ジョナサン・グレイザー長編四作目。1943年、アウシュヴィッツ強制収容所の所長ルドルフ・ヘスは妻ヘドヴィグと5人の子供たちと共に、収容所に隣接するモダンな邸宅に暮らしていた。物語の骨格だけ抜き出してくると、豪華な社宅に住む仕事熱心な夫、一世一代の大仕事、転勤を言い渡されて動揺する妻、自然環境の中で伸び伸びと暮らす子供たち、というありがちな中産階級の物語だが、それら全てがホロコーストと結び

ピエール・クルトン『A Prince』ある青年と不可視の王子

ピエール・クルトン長編二作目。16歳の青年ピエール=ジョセフ(PJ)は庭師になるために養成所に入る。そこで彼は、所長のフランソワーズ、植物学講師アルベルト、新しい雇い主アドリアンといった人々に出会う。PJの両親、銃鍛冶兼猟師の父と剥製師の母は仲が悪く、その影響を受けたPJは内向的な性格に育っていた。そして様々な人々との出会いを通して、PJの心は彼の父親的存在への憧れとそれでいて"父親"への憧れのなさの間で揺れ動き続け、セクシュアリティとアイデンティティを模索し続ける(なんの躊

João Canijo『Bad Living』ポルトガル、愛が彷徨う迷宮ホテルで

傑作。2023年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。2024年アカデミー国際長編映画賞ポルトガル代表。ジョアン・カニホ(João Canijo)長編最新作二部作。同じ映画祭のエンカウンターズ部門に出品された『Living Bad』と対になっており、本作品ではホテル経営をする親子三代、同作ではそのホテルにやって来た客の目線で同じ時間の出来事を描いている。ホテルを経営する親子三代には極めて複雑な愛憎が渦巻いている。家長のサラはホテルのオーナーとして忙しく動き回る。その娘ピエダーデは