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ベルリン国際映画祭コンペ選出作品たち

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カンヌ映画祭のコンペ制覇にあわせて、ベルリン映画祭のコンペもゆるゆると書いていきます。2020年から始まったエンカウンターズ部門の記事も入れます。
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2020年2月の記事一覧

ノラ・フィングシャイト『システム・クラッシャー 家に帰りたい』システムなんかくそくらえ!

"システムをめちゃくちゃにする者"という意味の題名を持つ本作品は、思い通りにならないことがあれば喚き散らして暴れまわる暴力的で野性的な9歳の少女ベニの暴走と、それを止めようともがくシステム側の大人たちを描いたノラ・フィングシャイトの初長編作品である。こう書いてしまうとわがままな少女と役人のバトルという月並みな様式に単純化されてしまっているようにも見えてしまうが、大人たちはなるべくベニに寄り添おうとして、ベニはそれに答えきれずにはち切れ続けるという誰も悪くない悪循環の映画なのだ

アグニェシュカ・ホランド『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』ギャレス・ジョーンズの人生より

"モラルの不安"時代から40年近く経った今でも、ザヌーシとホランドは元気に新作を取り続けている。その出来は取り敢えず置いとくにしても、毎回なんらかの映画祭で上映されているということは毎回期待されているということだろう。最近はドラマを単発で監督することの方が増えているホランドも2年に一度くらいの頻度で新作映画を撮っている。その最新作…と言いたいところだが、最新作は今年のベルリンに出品されている『Charlatan』だった。豚から始まる本作品はそのままジョージ・オーウェルを語り部

ロネ・シェルフィグ『ニューヨーク 親切なロシア料理店』現代社会は他人に冷たい

二人の息子と共に暴力的な夫から逃げ出したクララ、粗暴で仕事が続かないジェフ、セラピスト兼看護師として休日は救貧軍の炊き出しに参加するアリス、出所したばかりのマルク。クララは夫名義になっている全ての物が使えず万引きをして回るが、車を取られてしまって困窮する。仕事の続かないジェフは家を追い出されて雪夜に昏倒する。アリスは恋人がいないことをいいことに患者からセクハラされ、同僚からは仕事を押し付けられる。これらのあからさますぎる不親切なルールや人々の先に、彼らの挿話は徐々に有機的な結