20221102

 十一月とは思えないくらいの陽気。自転車に乗る半袖の人やスカートから素足を出す人など通行人の服装も気温の高さを物語っていた。公園ではラーメンフェスタで相変わらず賑わっている。そういえば、中上健次の『岬』を読み終えた。秋幸が主人公ではあるが、姉や母、今作で殺人事件を起こす安雄の彼女である光子など女性が魅力的に描かれていると感じた。というか、暴力と性と血の合間で力強く生きる彼女たちの物語である。中上はこの後、実際に『鳳仙花』で母と祖母の物語を描いている。これはフォークナーの『サンクチュアリ』でも感じたことだ。もっと言うと、G・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』でも同じように思った。すべての人間が母から生まれているという事実がここに収束しているのかもしれない。BFC4は一回戦の作品すべてを一読した。Dグループの冬乃くじ「サルトゥヌスの子ら」が衝撃の一作であった。どこかで感想を書こうと思うが、これも父と母と娘、とくに父殺しの側面が強いが、奇想というマジックが入り込むことで少ない字数で独自の世界観を立ち上げている傑作。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?