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20230416

 日比谷公園大音楽堂、「野音」と呼ばれ親しまれ続けてきた野外の音楽会場が今年生誕一〇〇周年を迎えるそうだ。この一〇〇年で武道館と共に〝音楽の聖地〟として、音楽の道を志す者は誰もが憧れる場所のひとつとなった。一九〇五年(明治38年)に日本で初めての野外音楽ホールとして建設されたもう一つ、日比谷公園内にある小音楽堂は関東大震災の際に全壊し改築されているが、一九二三年(大正12年)に完成した大音楽堂の方はその堅硬な石造りのおかげか一〇〇年という時を超えて残った。今年はその一〇〇周年を記念した様々なミュージシャンによるライブが企画されている。来年からは改装のためにしばらく公演は行われなくなるそうで、その一発目としてスチャダラパーが出演すると聞き、恐らく彼らを野音で観るのは最初で最後になるかもしれないと思い友達と共に訪れた。この日は晴れ間が出ていたものの、開演前にちょうど通り雨に会い、折り畳み傘をさして会場限定販売となるグッズを買うという友達と共に列に並んだ。思いのほかその列が長く、スチャダラファン層が彼らを経済的に支えていることを実感した。そのことはBOSEやANIが「富裕層」や「信者」と揶揄するMCでも公然の事実みたいだ。わたしのような一見さんが、合羽を買おうかと迷っているうちに雨が上がったことは救いだった。あまりにも長い列で並んでいるうちに公演が始まってしまった。扇状に並ぶコンクリートの上に設置された客席の後列の端側というあまりいい席ではなかったので、その辺は気にならなかった。SDPも九〇年代から活躍しているわけで、ヒップホップアーティストとしては大御所である。客層も家族連れが多く、まさに老若男女が手を上げて踊り歌っている牧歌的な風景には好感を持てた。一〇〇年前、明治時代に建築された野音で戦争という暗い時節を過ぎてこうした光景が見れるという奇跡(軌跡)に改めて感謝したいと思った。

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