20221126

 雨のちくもり。今日は御嶽山駅近くの「MaluCafe(マルカフェ)」さんにお邪魔した。ここにはおまめとドリルという二匹のチワワがいて、犬好きにはたまらない癒しスポットになっている。十四時に予約したものの、三〇分遅刻してしまった。御嶽山駅の改札を抜けてから踏切を渡ってスーパーの搬入口を左手に車両一台分の狭い通りを歩いて、神社の裏手にある閑静な住宅街の入り口辺りに置かれた椅子の上に置かれた、黒い塗装の上に″MaluCafe″と書かれた白い文字とニッコリマークの看板が目印になっている。この日はBFCのファイターやジャッジ、観客の貸し切り営業だった。もとは装丁家の作業場として使われていたという二階建ての赴きある建物の扉をガチャリと開けて、遅刻を詫びながら入った。左手にあるキッチンで中川マルカさんとマスターが作業しながら笑顔で迎えてくれた。吹き抜けになった空間の奥に、テーブル席とソファ席が並ぶ。そこに少しいかつめの男性の先客がビール瓶を開けていた。わたしは彼が誰かわからず、軽く会釈すると、男性は立ち上がり、吉田棒一ですと渋い声を出した。わたしは、え! と驚嘆の声を上げてしまった。イグBFC2で「飯塚」という掌編で優勝し、今回も「ピッコロさん」という面白すぎる掌編でBFC4のファイター予選の最終選考に残った強者である。わたしは彼をTwitterのアイコンであるオマー・ロドリゲスとひょうきんなイメージを勝手に抱いていたのでその虚像と実像が一致せずに思わず声が出てしまった。吉田氏は別用があるらしく、その日は入れ違いで颯爽と去っていった。足元では人懐っこいライトブラウンの毛並みのおまめが荒ぶって前足を上げながらくるくると回っていた。興奮した彼と少し戯れ、わたしはチョコレートケーキと芸術的にデコレーションされたアップルケーキ、フルーツがワンプレートとなったおやつセットとコーヒーを頂いた。クモハさん、風呂さん、こいさん、冬乃くじさん、白髪くくるさんが続々と来店して美味しい料理を楽しみつつ、おまめと白い毛並みが美しいドリルを大いに愛で、あっという間に閉店時間になってしまった。話したいことは山ほどあったが、また会える日を願って乗換駅を降りて手を振った。

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