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小説「On the Moon」11話

ミュードは宇宙船に乗り込むと、すぐに青く光る鉱石ーー動力結晶ーーを見つけ出した。
ミュードは人間ではなかった。超人の力で月の上のことは調べようと思えばなんでもわかった。ただ力を使うと疲労するからしないだけで。

ミュードは動力結晶を持つと宇宙船の外に出た。ラズからも宇宙船からも離れると、その手に持った動力結晶をしばらく見つめていた。
頭の中にはぐるぐると思考が巡っていた。

ーーずっとそばにいてほしい
ーーこんなことしちゃいけない
ーー寂しい
ーーもう一人でいたくない

しばらくの逡巡のあと、ミュードは動力結晶を手に力を込め始めた。これも超人の力だった。
動力結晶を壊そうと人間にはない力を使って少しずつ少しずつ動力結晶に圧力をかけていく。

パキッと動力結晶にヒビが入り、そこから射した強い光がミュードの瞳に映った。

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