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小説「On the Moon」4話

高い金属音が耳をついて、ミュードは目を覚ました。

宇宙船のそばに寄ると、ラズが宇宙船の中でうずくまっていた。

「どうかしたの」

「動力結晶が……宇宙船を動かすためのエネルギー体がないんだ!!!くそっ!」

ラズは自分のそばにあったスパナを叩きつけた。また、高い金属音が鳴って、ミュードは耳を塞いだ。

「きっと不時着したときに、船外へ出たんだ。動力結晶がないと船は動かない。僕は地球に帰れない……」

ラズは膝を抱えてうずくまったまま、しばらくじっとしていた。


「探さないの?」

ミュードの声にラズは顔をあげた。

「……えっ?」

「探さないの?」

「だ、だってこんなに広くて目印もなにもない星の中、どうやって探すっていうんだよ」

「大変でも、苦しくても、探さないと探し物は見つからないわ」

「っ……でも!」

ミュードはまっすぐラズを見ていた。ラズは気圧されて言葉に詰まり、目をそらした。そしてしばらく逡巡した後、意を決したように立ち上がった。溜息をついて、さっきまでの後ろ向きな気持ちを振り切るように頭を左右に振る。そしてミュードを見返した。さっきまでの弱気はその瞳の中になかった。

ーーこの星が本当に月なら、三か月ほどで一周できるはずだ。何周目で見つけられるかわからないが、とにかく、探すしかない。

ラズは腹をくくり、宇宙船から外に出た。

「ミュード案内してくれないか、この星を隅から隅まで」

ミュードは微笑んで頷いた。

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