見出し画像

忙しい人のための恋アス5巻聖地巡礼(関東編)

1月26日、『恋する小惑星(恋アス)』第5巻が発売されました。地学オリンピック本選をはじめ、新たな展開や題材が色々と出てきて楽しい巻でしたね。

恋アスの聖地は関東以外にも石垣島や秋田県など日本全国に散らばっているため、忙しくてなかなか回れない……という方もいらっしゃるでしょう。ただ、第5巻に登場した場所は関東と名古屋市のみなので、頑張れば忙しい人でも1日で回れるのでは……? ということを思いついてしまいました。

バカの図

というわけで、本記事では恋アス5巻の聖地(関東のみ)を実際に1日で回ってみた結果をレポートします。なお、名古屋まで入れると超エクストリーム行程になりそうなので泣く泣く除外しました。
(始発から終電まで使えば名古屋にも行けると思います。ただ、今回回る施設のいくつかは9時~17時付近の時間帯しか開館しておらず、時間外に行ったとしても外観を見ただけで帰るしかないと考えられます)


ルール

そこまでしっかり守れたとは言えませんが、どのような基準で実行したのか書き残しておきます。

  • RTAではありません。時間が許せば各地点に滞在して観光します

  • 恋する小惑星 第5巻で登場した場所をなるべく多く回ります

    • ただし、位置が不明な場所と名古屋市を除きます

  • それぞれの場所の写真を1枚でも撮影できた場合「回った」と判定します

  • 一般人が当日予約なしで入れる場所にはなるべく入構(入館)します

  • 公共交通機関を利用します(長時間自動車を運転し続ける自信がないため)

本企画で私が回った場所は次のとおりです。番号は回った順序を表します。()内は単行本での話数です。

  1. 川越市の二級公共基準点(61話)

  2. つくばエキスポセンター(51・58話)

  3. スギ薬局 つくば天久保店(筑波研修センター跡地)(58・59・60話)

  4. 筑波大学(59話)

  5. 防災科学技術研究所(防災科研)(59話)

  6. 粉とクリーム 石窯夢工房 下妻店(57話)

  7. 大谷石の採石場(大谷資料館)(62話)

これ以外にも学校(星咲高校)が多数の回に登場するものの、モデルとされる施設は実在の学校なので、迷惑とならないよう除外しました。

行程

移動ルート

行程表です。当日予定通りにいかなかった部分には修正を入れました。出発地・到着地は、利用する路線の都合が良かった池袋駅としました。
発着時刻等は2023年1月28日土曜日のものです。

  • 07:27-08:00 <東京メトロ副都心線・東武東上線(直通)> 池袋→川越市

  • 08:00-08:10 <徒歩> 川越市→川越市の二級公共基準点

  • 08:10-08:20 【川越市の二級公共基準点】

  • 08:20-08:27 <徒歩> 川越市→川越市の二級公共基準点

  • 08:27-08:43 <東武東上線> 川越市→朝霞台

  • 08:43-08:55 <乗換> 朝霞台→北朝霞

  • 08:55-09:31 <JR武蔵野線> 北朝霞→南流山

  • 09:36-10:06 <つくばエクスプレス快速> 南流山→つくば

  • 10:06-10:20 <徒歩> つくば→つくばエキスポセンター

  • 10:20-10:30 【つくばエキスポセンター】

  • 10:30-10:45 <徒歩> つくばエキスポセンター→つくば(バス)

  • 10:45-11:16 <つくバス北部シャトル> 400円 妻木(バス)→田中東(バス)

  • 10:45-11:16 【つくば研修センター跡地、筑波大学、防災科研(通過)】

  • 11:16-11:40 <徒歩・待ち時間> 田中東(バス)→田中(バス)

  • 11:40-11:59 11:50-12:10 <関鉄バス 土浦駅~北条駅入口~下妻駅> 田中(バス)→仲町(バス)

  • 11:59-12:05 12:10-12:17 <徒歩> 仲町(バス)→粉クリ下妻店

  • 12:05-12:20 12:17-12:20 【粉とクリーム 石窯夢工房 下妻店】

  • 12:20-12:38 <徒歩> 粉クリ下妻店→下妻

  • 12:38-12:54 <関鉄常総線> 下妻→下館

  • 13:01-13:24 <真岡鐵道真岡線> 下館→真岡

  • 13:24-13:54 <徒歩・待ち時間>真岡→台町(バス)

  • 13:54-14:44 13:57-15:02 <関東バス 真岡営業所~石・ベ~西原車庫> 台町(バス)→宇都宮駅西口(バス)

  • 14:50-15:17 <関東バス 45 立岩> 宇都宮駅西口(バス)→資料館入口(バス)

  • 15:17-15:20 <徒歩> 資料館入口(バス)→大谷資料館

  • 15:05-15:25 <タクシー> 宇都宮駅西口→大谷資料館

  • 15:20-16:30 15:25-16:30 【大谷資料館】

  • 16:30-16:47 <徒歩> 大谷資料館→資料館入口(バス)

  • 16:47-17:18 <関東バス 01 宇都宮駅西口> 資料館入口(バス)→宇都宮駅西口(バス)

  • 17:18-17:56 <徒歩・待ち時間> 宇都宮駅西口(バス)→ 宇都宮

  • 17:56-19:36 <JR 湘南新宿ライン> 宇都宮→池袋

川越市の二級公共基準点

朝7時台から行動を開始しました。つくばに直行しても9時50分に開館する「つくばエキスポセンター」に入れないので、まずは早い時間に行っても問題ない川越市に向かいます。

5巻では、イノ先輩の卒業祝いの街歩き中に星咲市の二級公共基準点を見つける描写があります。これには"No. 33 星咲市役所"というナンバーが入っています。
公共基準点などのリストは、国土地理院の「基準点成果等閲覧サービス」で確認できます。

このサービスで、「2級基準点」と「街区三角点(都市部にある基準点。2級基準点相当の扱い)」にチェックを入れて検索すると、多数の基準点が抽出できます。

出典:国土地理院 基準点成果等閲覧サービス

作中にあったのと同じ番号(No. 33)の基準点は実在します。伊佐沼の東側の田んぼの中にあるようです。ただ、駅から遠く、車なしでは短時間での到達が難しそうです。作中の星咲市と川越市で公共基準点の位置が完全に同じという確証もなさそう(同地点は中心部から5kmほど離れており、街歩きで通りかかるにしては遠い気もする)なので、本企画では駅から徒歩5~6分で到達できるNo. 1048Aを見に行くことにしました。

2級基準点 2-No.33 出典:国土地理院 基準点成果等閲覧サービス

東武東上線の川越市駅を出て、JR線・東武線・西武線が交差する地点へ向かいます。事前に調べたところでは銘板が地下に埋設されているケースもあって不安でしたが、この場所では銘板をそのまま見ることができました。
※これは街区三角点のようで、他の二級公共基準点とはデザインが異なるかもしれないのでご注意ください。

川越にいられる時間は30分もないとはいえ、せっかく寄ったので本川越駅も見てから川越を離れました。

例のベンチ

川越からは、東武東上線・JR武蔵野線・つくばエクスプレスを乗り継いでつくば駅に向かいます。

つくばエキスポセンター

5巻の冒頭でみらあおが訪問した科学館です。大きなプラネタリウムのドームが目立ちます。
また、恋アスでつくばが登場するとお決まりのように言及されるロケットの先端も、この施設の展示の一つ(H-IIロケット実物大模型)です。

つくばエキスポセンターで使われているプラネタリウム投影機 GEMINISTAR Ⅲ (2019年撮影)

10分しかいられず展示を見る余裕はないので、ミュージアムショップのみ利用して次に向かいました。通常はチケットを買わないと入館できませんが、受付の方に断ったうえでショップのみ無料で利用できます。

みらがおみやげとして買ってきた隕石のお守り型アクセサリーがあったので購入。5mm大の実物の隕石が入っており、人気商品とのことです。

筑波研修センター跡地~筑波大学~防災科研

つくばで回るべき地点はあと3箇所ありますが、結構散らばっているため車なしで回るのは困難です。
ただし、つくば市のコミュニティバス「つくバス(北部シャトル)」に乗ると、これらの地点のそばを通過してくれるので一気に聖地巡礼ができます。筑波研修センターは現存せず、筑波大学・防災科研も通常一般来訪者の見学を許可していないようなので、車窓から撮影していくことにしました。

筑波研修センターは地学オリンピック参加者から「独房」として親しまれていた建物です。2020年の廃止にともない取り壊され、跡地にはドラッグストアができていました。

筑波大学は、キャンパス単体の広さでは北海道大学といい勝負ができるくらい広い大学です。つくバスの車窓からはT字のモニュメントが見えます。
作中で明言されていないものの、58話~60話で描かれた日本地学オリンピック本選の筆記試験は例年筑波大学が会場だったようなので聖地扱いしても差し支えないでしょう。

防災科学技術研究所(防災科研)は筑波大学の北にあります。現在は団体見学しか受け付けていないので要注意です。

「田中交差点」でつくバスから関鉄バスに乗り換えて下妻を目指します。よく晴れていて筑波山が綺麗に見えました。

粉とクリーム 石窯夢工房 下妻店

恋アスでは「スズヤベーカリー」としてたびたび登場する店舗です。第5巻では57話でバレンタインフェアをやっている様子が出てきました。

ここで昼食を取る予定でしたが、関鉄バスが10分ほど遅れて到着したうえ、お昼時で入店するための行列ができてしまっていたため諦めました。

お店の外観は拝めたので下妻駅へ向かいます。下妻市イメージキャラクターであるシモンちゃんの姿が各所にみられました。

(経由地)真岡駅

下妻から宇都宮に向かうには、関鉄常総線→JR水戸線→JR宇都宮線で向かうほかに、関鉄常総線→真岡鐵道真岡線→関鉄バスのルートもとれます。
筆者は真岡鐵道に乗ったことがなく興味があったので、あえて真岡駅を経由して宇都宮を目指すことにしました。
※しかし、バスの遅れによってこの後の行程が乱れてしまったので、素直にJRで宇都宮に向かう方が安定すると思われます。

下館から真岡鐵道に乗り込みました。関鉄常総線から真岡線のホームに向かう際には出場用の簡易改札機があり、ここにICカードをタッチすれば出場した扱いになります。

真岡駅には、真岡鐵道が保有する蒸気機関車などの展示施設があり、売店も設置されていました。イメージキャラクターの綿道もか さんが出迎えてくれます。

真岡鐵道では、土日にC12型機関車に乗車できる「SLもおか」も有名
(来訪した日は、定期検査のため運行していませんでした)

大谷石の採石場(大谷資料館)

真岡駅を出た後はバスで宇都宮に向かったものの、宇都宮市街地に入ったとたん夕方の大渋滞に巻き込まれ、20分ほど延着してしまいました。最終目的地である大谷資料館へのバスに乗れず、次のバスを待っていては16時の最終入館に間に合いません。しょうがないので駅前からタクシーに乗って向かいました。

なんとか大谷資料館に到着できました。大谷は栃木県宇都宮市にあり、大谷石という石材の採石場が点在している地域です。
5巻の62話に出てくるのは「OHYA UNDERGROUND」というツアーです。しかし、ツアーは予約制でありこの日には催行していなかったため、いつでも入れる大谷資料館の方にやってきました(5巻p. 106のセリフを見る限り、地学部一行もツアーのあと資料館に来訪したようです)。

大谷資料館に入館すると、まず地上部分の展示室で大谷石に関する資料や、様々な時代の機材などが見られます。

展示室

地上施設の横にある階段を降りると、巨大な地下採掘場跡が目の前に広がります。

でかい
でかい2

採掘場跡では、採掘方法(手堀り・機械堀り)による跡の違いや採掘場の形状の工夫について実物を見ながら知ることができます。また、過去に展示された美術作品や演奏会用の舞台など、近年になって採掘場跡が様々に利用されてきた様子もみられます。

地下の巨大空間というもの自体がなかなか体験できない非日常なので、中を見て回っているだけでもテンションが上がります。恋アス読者の方なら楽しめると思うので、ぜひ一度来訪されることをおすすめします。

冬の時期に石からしみ出す「石の華」も見られる

ここで日没を迎えてしまってあまり回れなかったものの、資料館の周りにも地質的な見どころがたくさんあります。

自販機も大谷石デザイン

(経由地)宇都宮駅

行きたい場所はすべて回り終え、バスで宇都宮駅に戻ってきました。

宇都宮駅では、開業が間近になっている宇都宮LRTに期待する広告が各所に見られました。

東口では、LRTのための施設が順調に出来上がっていました。

東口にできた複合施設の階段には大谷石が使われていた

最後に宇都宮駅から湘南新宿ラインで池袋駅まで戻りました。一本で都心まで帰れて楽ですね。

感想

朝に池袋を出てから12時間と少しで7箇所の聖地を回ることに成功しました。ただ、大谷資料館以外は滞在時間が10分以下しかとれず、休日の大部分をやたら長い移動時間に費やす羽目になったので、皆さんは真似しないほうがいいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?