Mastodonにある程度慣れてきた人による、Twitterとの比較に関する所見

あすかです。
最近kmyblueという同人向けMastodonサーバーを運営してみてます。

最近何かと悪い方向で話題になっているTwitterですが、Twitter脱出先としてMastodon、Misskey、インスタなど検討する人は多いかと思います。
ここではMastodonにある程度慣れてきた人として、MastodonはTwitterと比べてどうなのか、使ってみて感じたことを書いてみます。「分散型SNSって何なの」とかいう一般的な疑問は他のサイトに譲ることにして、それ以外の、実際にMastodonというSNSを使うにあたって感じる日常的な事柄に絞って書きます。
Mastodonを実際に運営してきた立場もあり、多少専門的なことも多いです。。

登録人数はTwitterのほうが圧倒的

Mastodon全体の利用者は約650万人(2023年3月時点)といわれています。
Twitterの月間アクティブユーザー数は3.3億(2019年Q1時点)です。
Twitterの統計は古いですが、今のTwitterの勢いが衰えていることを勘案しても十分すぎるくらい多いと思います。

Mastodonは検索機能が弱い

他のサイトでは分散型SNSだから総じて弱いとか書いてますが、それは最大の原因ではありません。むしろそうした言説の多くには誤解が含まれています。Mastodonで検索が弱いといわれる最大の原因、2番目の原因を説明します。

原因1:全文検索には別途準備が必要(Mastodonで最も有名なサーバーが全文検索に対応していないため誤解されている)

Mastodonで有名なサーバーといえば、mstdn.jpとpawoo.netですよね?その2つとも、全文検索に対応していません。ハッシュタグでしか検索できません。
全文検索にはElasticsearchというアプリをサーバー側が用意する必要があります。しかしそれはかなりメモリを食いますし、大量のディスク容量も必要です。維持費も馬鹿になりません。なので、かなり規模の大きいサーバーがElasticsearchの導入を断念するのも無理はないかと思います。それを有名なサーバーがやってしまったことから、「Mastodonでは全文検索ができない」という風聞が広まっても仕方のないことです。

逆に言うとElasticsearchを導入しているサーバーでは全文検索が可能だということです。しかし、それにもさらにもう1つの大きな障壁があります。

原因2:Mastodonでは検索できる投稿をかなり絞っている

たとえ全文検索が使えたとしても、デフォルトのMastodonで全文検索できるのは、以下の範囲です。(ハッシュタグでの検索の場合は下記に関係なくすべての公開投稿が検索できます)

  • 自分がお気に入りに登録した投稿

  • 自分がブースト(=TwitterのRT)した投稿

  • 自分がブックマークに登録した投稿

  • 自分が投票した投稿

  • 自分が返信した投稿

  • 自分の投稿

自分の投稿、もしくは自分が何かした投稿しか検索できません。知らない人の投稿はもちろん、自分がフォローしている相手の投稿すら自由に検索できません。さらに言うとこれはMastodonのプログラムにハードコーディングされていますので、サーバー管理者が設定画面で変更することもできません。

Mastodon開発サイドは、この仕様は意図的なものであると主張しています。Twitterでは検索が自由にできますが、その結果、自分と違うイデオロギーの人から投稿を見つけられる確率が高まります。それで喧嘩になったりとか、要は棲み分けができなくなるということを懸念しているのです。Mastodonは分散型SNSで、異なる考え方を持った人の多い別のサーバーからも投稿を検索できちゃうことを考えると(例えば同人サーバーの投稿が左派の多いサーバーから検索できるとトラブルになったりしますよね。Twitterでも実際にそういう事例が多いです)、このような考えに至るのも無理の無いことです。

ですが中には、何かの宣伝や作品投稿などで、自分の投稿を広く見てほしいと考える人、拡散したいと考える人も同人界隈などには多いです。そこでMastodonサーバーの1つであるFedibirdは、searchabilityというシステムを導入しました。投稿ごとに「全員に検索されたい」「自分のフォロワーだけに検索されたい」「自分の投稿にリアクションした人だけに検索されたい=Mastodonデフォルトの挙動」を設定することで、投稿が検索可能な範囲を広げています。実際、Fedibirdで全文検索を行うと、他のサーバーとは全く異なる結果が返ってくると思います。Twitterのように公開投稿全部とまではいかず制限付きであるものの、検索の自由度はかなり上がりました。

しかし欠点として、searchabilityに対応しているサーバーが非常に少ないことが挙げられます。現状、確認できているだけで、searchabilityに対応しているActivityPubサーバーはFedibird、kmyblueくらいしかありません(非Mastodonに広げるなら他にもあると思います)。
searchabilityに対応しているサーバーは、通常は未対応のサーバーから来た投稿をすべて「自分の投稿にリアクションした人だけ」が検索できるものとしてマークします。これは先に書いたMastodonの思想が反映されています。結果としてユーザーは、searchabilityに対応しているサーバーの投稿以外の検索は以前のままということです。
しかもsearchabilityの実装はプログラムをがっつり書き換えるため、Mastodonプログラムの知識も要求されます。他のサーバーが実装するハードルが非常に高いのも否定できません。

ちなみにMisskeyでたくさんの投稿が検索できるのは、Misskey自体がsearchabilityに対応しないまま検索機能を実装しているからです。Mastodonのsearchabilityで「自分のフォロワー以外検索できないようにしてほしい」と設定した投稿も、Misskeyはそれを無視して検索できるようにしてしまいます。MisskeyとMastodonでは設計思想が異なりますし、そもそもsearchabilityはFedibirdが独自に制定した仕様ですのでこの差異は仕方ありません。(kmyblueでsearchabilityを実装した経緯がアレだったのであすかが批判できるようなことではありませんが)

Mastodonで投稿を拡散するには

これには投稿者同士だけでなく読者の協力も不可欠です。標準のMastodonで投稿を効率よく拡散するには、ハッシュタグを使わなければいけません。searchabilityに関係なく、そのサーバーが認知する全ての公開投稿をハッシュタグによって検索できます。これは同時に、searchabilityを実装していないサーバーも含め、全てのMastodonサーバーの標準の挙動でもあります。その投稿を認識した全てのMastodonサーバーにおいて、ハッシュタグをつけられた投稿に容易にアクセスできることを意味します。

どのようなハッシュタグで検索すればどのような投稿が出てくるのか利用者が把握するために、投稿者は変に独自のタグを作ろうとせず、他の人・サーバーと同じタグを使うようにつとめるべきです。一般に使われるタグのリストを作ってみるのも手でしょう。そのリストは、投稿者だけでなく、利用者が検索するときにも役立ちます。

(追記)Mastodon v4.2.0から事情が変わりました

9月22日(金)リリースされたMastodon v4.2.0では、『自分が公開範囲「公開」で投稿したものは上記に関係なく誰でも自由に検索してもいいよ』というオプション(Indexable)が追加されました。
これについて詳しく記事を書きたいのですが今時間がなく。今は他の人に聞いてください。ただ、v4.2.0になって検索結果に劇的な変化が起きたことは確実です。
IndexableはMastodonのほか、Firefish、Meisskeyが対応しています。ただし当のMisskeyはまだIndexableに対応していないので、Misskeyの投稿はMastodonから自由に検索することはできません。(Fedibirdとkmyblueは独自対応しているため自由検索が可能です

Mastodonは引用がない

Mastodonの拡散力が弱いといわれるのは、前述の検索だけが原因ではありません。Mastodonには引用がありません。それも理由は検索と大体似ています。フォロワーの多いアカウントに引用されるということは、投稿者にとっていい場合、悪い場合があります。例えばえっちな絵を、それを嫌う集団の中でも権威のある人物に引用されたうえに「不快」などという文章を付け加えられると、そのフォロワーたちが集団で攻撃してくるかもしれません。これはすでにMastodonに実装されているBTでも起こりうることですが、引用RTはBTや発言スクショなどよりも手軽であるとMastodon開発者は主張しています。
要するにMastodon開発陣は、拡散力よりも、それぞれのユーザーが自由に発言できる場を作ることに重きを置いているようです。

しかし絵師とかフリーランスの人は拡散力を求めます。闘争を求めるのと一緒です。そこでFedibirdは引用機能を実装し、独自のActivityPub通信仕様も制定しました。
kmyblueでは現状引用機能への独自対応予定はありませんが、本家Mastodonが引用機能を検討しているようです。いずれどこのMastodonでも引用が一般化するかもしれませんね。

Mastodonはアカウントをリストに入れる時にフォローしなければいけない

これはMastodonというよりは、Mastodonが採用しているActivityPubという仕様からくる問題です。分散化SNSの構造上の問題です。
分散型SNSは全てのSNSが全ての発言を共有しているわけではないです。詳しく書くと長くなりますが、Mastodonサーバーが保持する外部サーバーの発言は、基本的には下記に限られます。

  • サーバーのアカウントがフォローしている外部サーバーのアカウントの投稿

  • サーバーのアカウントがフォローしている外部サーバーのアカウントがブーストした投稿

  • サーバーのアカウントがブーストした投稿

  • その他

なので、もしあるアカウントが、自分はフォローしていないアカウントをリストに入れても、そのアカウントの発言がリストを流れない可能性があります。Mastodonサーバーは、アカウントがなにか投稿しても、そのアカウントをフォローしている人のいないサーバーには原則発言を届けません。なので相手をフォローしない限り、最新の発言がいつでも流れてくるとは限らないのです。よくMisskeyから「プロキシアカウント」のフォローがとんでくることがありますが、これも基本は一緒です。

Mastodonではこの問題を、「フォローしていない相手はリストに追加できない」ようにすることで解決しました。したがってTwitterと異なり、フォローしていない相手は(たとえ相手が自分のサーバーの人でも)リストに入れることができません。興味のあるアカウントは例外なくフォローしなければいけません。自分にフォローされたとバレたくない場合はサブ垢作りましょう。

ちなみにFedibirdでは購読という機能があり、フォローしなくてもそのアカウントの投稿をタイムラインに流すことができます。ただしこれはフォローを伴わないので、Fedibirdの他のアカウントが同じ相手を『フォロー(購読ではない)』していることが前提になります。(連合リレーなど例外あり)

Mastodonには絵文字リアクションがない

TwitterというよりはMisskeyとの比較になりますが、通常のMastodonには絵文字リアクションがありません。絵文字リアクションとは、このように発言に絵文字をつける機能です。

発言に対する感想とか、呼びかけとか、茶々とか何でも行うことができます。非常に万能です。これを、発言にわざわざ返信することなく気軽に行えることが最大のメリットだと考えています。

Misskeyの普及により、Mastodonでも絵文字リアクションがほしいと考える人は多いです。ほぼ最初のころに絵文字リアクションを実装したのは、Fedibirdです(英語圏のMastodonサーバーにも比較的早くに実装したものがあったはずです)。その次に絵文字リアクションを実装したのは、代表的な例に絞ると、特定のサーバーではなく利用者個人です(本稿ではM氏とします)。M氏がMastodon本家のサーバープログラムに絵文字リアクション機能を追加したものを配布したため、複数のサーバーがそれを取り込み絵文字リアクションに対応しています。

絵文字リアクションの実装にはMastodonサーバープログラム全体の構造に関する知識が必要で、需要の高い機能であるわりにはかなり実装のハードルが高いです。それを気軽に導入できるようにしたM氏の功績は大きいのですが、それを導入したサーバー管理者にMastodonプログラムに対する知識があるわけではないため、もしものときのメンテナンス、Mastodonサーバーバージョンアップに伴う手動マージやリファクタリングが発生した場合など、メンテナンス性は脆弱なままです。
この問題を根本的に解消するためには本家Mastodonへの絵文字リアクションの導入以外に方法はありません。本家でも絵文字リアクションに関する議論はありました。賛成多数でしたが、最終的にはサーバーに負荷がかかる、低予算で気軽にサーバーを立ち上げるのが難しくなるといった趣旨の理由で否決されています。

とはいえ、絵文字リアクションを独自実装した私のサーバーでも「絵文字リアクションがあるから来た」と言ってくれる人が何人かおり、絵文字リアクションのおかげでサーバーの雰囲気が決まったような部分もあります。この機能はユーザーの定着率向上に確実に繋がっていると思われます。Misskeyの知名度が上がっているのも手伝って、今後人の多いインスタンスを志向するなら、サーバー管理者にとっても利用者にとっても避けては通れない機能になるでしょう。

ただし絵文字リアクションを好む人がいれば、嫌う人、中立な人もいます。

Mastodon初心者へのおすすめサーバー

Fedibird一択です。以上。

Mastodon開発陣は、開発理念こそあるものの、新機能の追加に関して保守的なところがありますし、上述の通り拡散や検索をかなり軽視しています。Fedibirdはその点を考慮しつつ、可能な限りユーザーの自由度をあげようと努力しているようです。
特にMisskeyは検索の自由度が高いのですが、それに慣れてしまってからであればMastodonサーバーについてはFedibirdが確実に唯一の選択肢になります。

ただしFedibirdの検索も時系列ではなくElasticsearchマッチスコア順、わかりやすく言い換えるとおすすめ度順になります。そのことも考慮すべきでしょう。

Fedibirdにはこれ以外にも、ドメイン購読機能があり、連合タイムラインの投稿をサーバーごとに分類して読むことができます。購読機能にも引用機能にも対応しており、ユーザーが読みたいと思う投稿へのアクセスしやすさは間違いなくMastodonの中でトップクラスです。

政治的な話題と過激な人々への対策

Fedibirdは汎用サーバーであり、どのような話題でも受け付けます。これはメリットであり、同時にデメリットにもなりえます。このようなサーバーには、政治に敏感な人も流入します。2023年1月ころにはFedibirdを標的とした、ハッシュタグによる政治的なデモ活動がおこなわれたこともありました

ただしこれはどこのMastodonサーバーでも技術上は起こりうることです。ここで利用されたハッシュタグ機能はFedibird独自機能ではなく、どこのサーバーにも存在します。
このような、Twitterでもよく見られる現象がMastodonへ持ち込まれたことは、私個人も衝撃を受けています。今後Fedibirdに限らずMastodon全体がTwitterと同じようになってしまう可能性がわずかでもあると印象付けられた出来事でした。
対策としてハッシュタグを使った政治活動を明確に禁止しているサーバーも存在しますので、登録前にそのサーバーの規約を確認することで、変な騒ぎに巻き込まれるのを回避できるかもしれません。

対策はもう1つあります。QOTO(英語のMastodonサーバー)は発言をローカルのみに限定して他サーバーに流さない機能があり、kmyblueの「ローカル公開」は他サーバーには流すもののその発言は他サーバーでは未収載としてマークされるため連合タイムラインには流しません。MisskeyにもQOTOと同様のローカル限定投稿機能があります。Mastodon本家はこのようなローカル限定投稿機能の実装に後ろ向きですが、この機能をうまく使うことは、他サーバーからの攻撃を防ぐための自衛にもつながるかもしれません。

これから登録する人は、ある程度Mastodonに慣れた上で、これらのデメリットを勘案した上でサーバーを選ぶべきでしょう。

人の少ないサーバーは上級者向けと言われる理由

連合タイムラインは、ただ他のサーバーの発言を集めているわけではありません。そのサーバーに登録しているアカウントがフォローしている、他のサーバーのアカウントの投稿が対象です。
つまり人が少ないサーバーは、ローカルタイムラインだけでなく連合タイムラインも流れません。そのMastodonサーバーの中で新しい出会いを求めることが難しく、Twitter、Google検索、pixivなど他のサイトで「自分はMastodonをやっています」という記述を探すしかありません。

このようなサーバーにわざわざ登録する人たちは、Fedibirdのような汎用サーバーでは自己を表現しきれない、自由に書きづらいと感じる人、自分と似た仲間が汎用サーバーではさかしづらいと考える人、様々です。自分の趣味に特化したサーバーのほうが新しい仲間が増えて楽しいということも起こりえます。まずは汎用サーバーでMastodonというシステムに慣れてから各地に散っていくのが、標準的なスタンスの1つだと思います。もちろん引越し先が自分に合わなければ、元のサーバーに戻るのもよしです。

サーバーのアクティブユーザー数を確認する上での注意事項

Mastodonに登録する前に、そのサーバーのアクティブユーザー数を確認することができます。下記画像では、アクティブユーザーは220人と確認できます。

ただしこの数字は、すなわちこのサーバーの発展度を示しているとは限りません。この数字は、直前1ヶ月間の月間アクティブユーザーであり、下記行動のいずれかを行うことで1人とカウントされます。

  • アクセストークンの更新

これわかりにくいですが、Mastodonのサービスを利用するために必要なアクセストークンはアカウントごとに発行され、一定間隔で失効します。それを更新すると同時に、アクティブユーザーとして数えられるようになります。このアクセストークンは、投稿だけでなく、お気に入りへの登録、ブックマークへの登録、フォロー、タイムラインのロードなど一切の操作のために必要です。

アクティブユーザー全員が投稿しているわけではありませんし、その投稿すら全てがローカルタイムラインに載る公開投稿とも限りません。ゆえに、ローカルタイムラインの盛り上がりを確認するには、実際にタイムラインを確認するしかありません。
ただしローカルタイムラインがにぎわっていなくても、未収載・非公開の投稿が多いかもしれません。お気に入りに登録したりブーストしたりする人が多いかもしれません。それぞれのサーバーで異なる雰囲気や利用者層の違いがあり、この数字だけで一律に判断することは難しいです。

もうひとつ、この数字には欠点があります。そのサーバーで登録者が急増した時、実態と乖離した数字になりやすいです。どういうことかというと、Mastodonで登録者が急増するということは、他の場所で紹介されたということです。それならと「試しに」登録してみたという人が多いのです。彼らは必ずしもここに定着するとは限りませんし、登録して1~2日使ってみてやっぱり自分には合わないと思って消えるかもしれません。このような人は日常的に出てくるのですが、登録者急増した場合はより実態との乖離が顕著になります。月間アクティブユーザー数には、そのような数字ももろに出てきます。

サーバー全体の盛り上がりを知るには、やはり先述の通りローカルタイムラインを確認する、そのサーバーに登録している人からの口コミを見るなどが効果的でしょう。ただし実際に登録しないとわからないことも多いので、よくわからなければとりあえず登録して後でアカウントを消すのも手段の一つです。

ほとぼりの冷めた頃に

この記事、Mastodon上で未収載の発言としてこっそり投下したんですが思ったよりめっちゃ拡散されちゃったみたいです。
ちゃっかり自分のサーバーを宣伝‥‥しようと思ったんですが、上の初心者向け鯖はどうとのっていう記述と矛盾するんですよね。なので拡散されている間はちょっと書きづらかったんですけども、それでもFedibirdに飽きたとか同人創作向けサーバーをちょっと試したいとかいう方向けにちゃっかり宣伝してみます。

私の運営しているkmyblueというMastodonサーバーは、一次創作・二次創作・漫画・小説・立体・ゲーム、男性・女性向け・一般・成人向けなど関係なく、同人に理解さえあれば誰でも登録OKっていうサーバーです。作家も読者もOKです。

上の記事にもちょっと入れましたが絵文字リアクションにもsearchabilityにも対応しており、Fedibirdとほぼ同範囲の全文検索をサポートしています。(Fedibirdのほうがいろいろな連合とつながっているのは確かですが、そもそもsearchabilityに対応しているのはFedibirdとkmyblueしか確認できていませんし、今回は説明しませんでしたが共通の連合リレーに参加していますので検索できる範囲はほとんど同じになると思います。ただしkmyblueがsearchabilityに対応したのはつい最近であって、古い投稿の検索はFedibirdが優位にあることを付け加えます)(ただしkmyblueの全文検索にはちょっと癖があって、日本語はダブルクオテーションで囲ったほうがいいです)

Fedibirdにはローカルタイムラインがありません(「#fedibird」というハッシュタグがあって、そこが事実上のローカルタイムラインのようになっていますけども)。Fedibirdは汎用向けサーバーなので、同人のコアな話題をしてみたい人には何かと肩身が狭いかもしれません。
kmyblueはローカルタイムラインがあり、独自の公開範囲「ローカル公開」があります。これはローカルタイムライン、ホームタイムライン向けに発言を流し、連合タイムラインには(他サーバーも含めて)流しません。Misskeyの「連合なし」と異なり、リモートフォローしているユーザーのホームタイムラインにも流れます。投稿の露出は減りますが、同人に興味・理解のありそうな人のタイムラインにしか流れないことを意図しています。
コアな話をしたい人向けの機能は備わっていると思います。あと、ローカルタイムラインは小規模Misskeyサーバーと雰囲気が似ていると言われたこともあります。

Fedibirdと共通の機能としては、他にグループ機能をサポートしていますが、これは利用者がほとんどいないようです。引用は実装に時間がかかるのと本家が将来対応する予定があることから、購読は数字に反映されにくいことから、またサークル機能は連合が難しいという理由で対応していません。

その他の差異として、kmyblueは1人が1つの投稿に複数の絵文字をつけることをサポートしています(現在は1人3つまで)。また、kmyblueは未収載投稿の自由検索をサポートしており、これもFedibirdとの大きな差異の1つです。そのほかの細かい比較表はこの記事の最後にありますので、参考程度に見てください。あ、ついでですけど同人興味無いけどkmyblue体験したい、絵文字リアクションをローカルタイムライン付きで利用したい人は、kmyblueのソースコードをフォークとして整備していますので自由にサーバー立てることもできます(露骨な宣伝)。

もっともkmyblueに固執する必要はありません。機能の多さは、そのサーバーの居心地の良さを決める要素の1つでしかないからです。せっかくいい機能があっても、他のユーザーのトラブルとか、あるいは人が少なすぎて寂しいとか、人によって必要なものは違います。
ローカルタイムラインを見て、雰囲気がいいかどうか。ルールが自分にあっているかどうか。小言を言ってくるような人がいないか。みんなkmyblueは雰囲気がいいと言ってくれますけど、人の少ないサーバーの雰囲気がいいのは当たり前です。人が増えるにつれて明暗は分かれます。

Mastodonに新しい独自機能を追加するということは多くのユーザーの利益になりますが、同時に保守のコストも増大させます。保守のコストが増えるということは、Mastodon本家のバージョンアップに追従するのが難しくなるということです。
また、機能が増えるということは、それだけサーバーに負荷がかかり維持費がかかるということです。

kmyblueにおいては、Mastodon本家のバージョンアップには、やる気と時間があるかぎり、できる限り追従したいと考えています。例えば4.1.0から4.2.0のバージョンアップにおいてはユーザー設定の処理に大きなリファクタリングが入っていますが、kmyblueではすでに対応コードを作成しています。絵文字リアクションが使えて、同人の話ができる、よそでは言いづらい話ができる、しかも発言の編集などMastodonの最新機能が使える、そのような場を当面は提供できればと思います。

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