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ウエディング業界はどのようなスタイルに変わるか。結婚式という380万円の商品。ウエディング業界の今後 2021年版

みなさんこんにちは。今回は長年見てきているウエディング業界の今後について考えたいと思います。

私はもともとウエディング業界の人ではなくWEBやデジタルメディアの制作が専門でウエディングの広報などを制作していくうちにウエディングの業界を知るようになりました。なので業界外からの目線でものを見ていると思います。ウエディング業界の本音的なところだったり、業界にとらわれないで素直な気持ちで一般目線でウエディングの記事を書いていこうと思います。

ウエディング業界はコロナの影響を大きく請けた業界の一つであるということはみなさんももはや説明がいらないくらいにご存知でしょう。倒産件数などで数字を出す必要もなくその影響は計り知れなかった。毎月200組の結婚式を行っていたところでも月に1件だけだとか、もはや信じられない数字を目にしているところも多いようです。

とはいえ、ウエディングがゼロになるわけではないと思っています。従来までの結婚式のスタイルが消滅し新しいスタイルの結婚式が生まれてくるだろう。

そこでどんな結婚式スタイルになるのか、コロナ後の結婚式のスタイルを考察した。

結婚式という380万円の商品

結婚式が商品だとするなら結婚式とは一体どのようなもので、消費者は一体何を買っているのか。人生でも1〜2度くらいしか自ら行うことのないイベントなので経験した人も昔のことで覚えている人も少ないだろう。そもそも結婚式とは2部に別れています。

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1.挙式(人前式、神前式、キリスト式、仏式など)
2.披露宴(パーティーのスタイルは問わない)

一般的にはこの2つがセットになって「結婚式」と言われています。教会で牧師さんを前に愛を誓い=挙式→みんなで会食=披露宴、神社=挙式→披露宴:近所の料亭=披露宴というように2部構成となっていると考えてください。この2つを行うために一般的な相場が380万円くらいといわれています。この380万円はウエディング業界が平均価格として算出したものです。筆者的にも高いと直感的に思います。

ちょっと待てよと。380万円で何が買えるかという話。

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380万円台の車
https://www.goo-net.com/usedcar/price-370-380/
500万円以下の中古マンション
https://www.homes.co.jp/mansion/chuko/theme/11114/

今の時代は車もマンション(場所によるが)も380万円あれば買える時代といっても良い。

そもそも結婚式にそんなにお金がかかるのか?解剖しながら少しその内容を見ていこうと思います。

結婚式の収入

まず、この結婚式の収入はご祝儀ということになりますが、そもそもこのご祝儀の意味すら問われる時代になっています。最近はTwitter界隈でも話題になったように https://togetter.com/li/1807798 3万円が高いというという、お祝いの意味すらなかなか説明が難しい時代だなとは正直思います。

しかし、結婚式を行うとなると収入はこのご祝儀です。収入はゲスト数から考えます。コロナ前までは新郎新婦それぞれ30人くらいのゲストを呼んで新郎新婦の合計のゲスト数が60名、一人3万円のご祝儀で〜と計算すると

3万円 ご祝儀 x 60人 = +180万円(1)

やはり3万円のご祝儀は高いなとは正直思うのですが、それはさておき、一人3万円のご祝儀を集めても60人で180万円にしかなりません。そこに両親からのご祝儀。相場は大体10〜30万円と言われていますが、最近は家族間の関係も悪かったり疎遠だったりですが。

20万円 x 2両親 = +40万円(2)

その他親戚や祖父祖母、上司などからのご祝儀があったとして合計して20万円(3)として

180万円(1) + 40万円(2) + 20万円(3) = +240万円 

380万円には及びません。そのために 結婚式にかかる費用 380万円 - 240万円 = -140万円が持ち出しということになります。これはすごく理想的な数字かもしれません。なかなかここまでご祝儀が集まることももしかしたら現代少ないかもしれません。

結婚式380万円の内訳

では結婚式が380万円かかるとしてその380万円は一体何に必要なのか。ゲストが60名と考えて予算をざっくりとまとめると下記のような内訳になります。

挙式会場費:20万円 (3,333円/人)
披露宴会場費:30万円 (5,000円/人)
飲食費:135万円 (22,500円/人)
衣装代:100万円 (16,666円/人)
スタッフ人件費:35万円 (5,530円/人)
写真・映像撮影:20万円 (3,333円/人)
お花代:20万円 (3,333円/人)
引き出物・記念品:20万円 (3,333円/人)

= 合計 380万円 (63,300円/人)
※あくまで参考的な価格です

この内訳はあくまでざっくりとサンプルであるのだが、値段や相場を知らないモノがあると思います。例えば「衣装の値段」と「会場費」の値段。新郎新婦の衣装で100万円。これは購入ではない。レンタルの値段。

私もウエディング業界を知らないときにこの値段を知ったときは驚きました。衣装買えるじゃないの?とかまたまた、ボッタクってるんでしょとか色々と思いました。お金がかかる理由はいくつかあります(諸説あります)。

- ドレスより和装が高い(レンタル小物が多いため)
- 和装はバブルの頃の物が多く元値が高いのでレンタル料も高い
- 美容師が必ず付く
- クリーニング代がかかる

などの理由で結構高くなってしまいます(諸説あります)。

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画像:ドレスは全部同じに見えてしまい値段の差はちゃんと知識がないと分からない。

母親が使っていた衣装を着るとか、最近ではドレスを楽天でアマゾンで購入するという方もいるようですが、そもそもレンタル衣装の値段など一般生活でなかなか知ることもないのです。そのために結婚式という場面で見る値段が高いと直感的に思ってしまうのは仕方がないと思うのですが、もう少し安くてもいいと私は思います。

次に会場の費用も知る人は少ないのではないかと思います。様々な会合で会議室を借りる機会が多い人ならまだしも一般の人がなかなかこの会場費というものの相場がわかりません。

衣装レンタルと同じで結婚式で初めて知るモノの値段というものが結婚式費用を高くしている気もします。それがぼったくり感にもつながっているだろうと思う。

結婚式380万円で得られるものは何か

では60人呼んで380万円をかけて挙式、披露宴の結婚式を行うとします。愚問なのかもしれませんがこの結婚式で得られるものは一体何なのでしょうか。先に述べたように380万円もあれば田舎で中古の一軒家やマンションすら買える値段です。思い出として、人生の節目としてのイベント、通過儀礼だとして考えれば簡単なのですが、380万円も使うのです。真剣に考えない人はいません。

結婚式で得られるものはおそらく2つに絞られると思います。

1. 披露宴的要素:親戚との顔合わせ紹介・報告
2. 挙式要素:2人の決意を固める(大切にする相手への思いやり、一生の思い出づくり)

先に結婚式は2部に別れていると言いましたがまさにその2つがそのまま結婚式で得られるものになっているということだと思います。

コスパ重視の時代から言うとこれらの意味がなかなか分からないのが本音かと思います。

まず、結婚しましたということを一体どこで報告するのか。SNS?LINE?それでは親戚にはなかなか伝わらない。結婚しましたと報告しないままで親戚に不幸があったら通夜や葬式のときに紹介する?そういう親戚などのややこしいことを結婚式で済ませてしまおう=親戚との顔合わせ紹介・報告ということです。

次に「2人の決意を固める」という挙式的要素。そんなの本当に必要なの?と思う人が男性を中心に多いように思いますがこの意志の共有は非常に大切とは言われています。新郎新婦のみならず親戚や友人に対してもその意志をしっかりと伝えておくことが大事とのこと。

ただ、筆者の私も現代の感覚を投影して思うのはどうして挙式をするのかという意味やメリットについてはなかなか見出すのは難しいと思っています。ただ一つ言えるのは単なる食事会やイベントではなくしっかりとした「結婚式として認識させる」のはこの挙式です。

値段だけで全ては語りきれないが、結婚式の意味が理解しにくい今、結婚式に380万円は高い。それが一般的な感覚だろう。少なくともコロナ後の時代には380万円も結婚式に使う必要はない。それが通常の感覚だろうと思うのです。

これからの結婚式はどのようなスタイルになるか

ここからが本題です。コロナ後は一体どのような結婚式のスタイルになるのか。どんな結婚式が理想なのか。

コロナ前の一般的な結婚式はこんな感じでした

● ホテルウエディング:ホテルでのウエディング
● オリジナルウエディング:どうせお金をかけるならオリジナリティの高い結婚式を=オリジナルウエディング
● DIYウエディング:あまりお金もかけられないから思い出づくりに手作りのウエディングを

のようなスタイルが徐々に浸透していたように思います(諸説あります)。ウエディングプランナーという言葉が一般的になりプランナーにお願いするということも一般的になっていたように思います。

コロナ後の結婚式は380万円の意味や結婚式そのものの意味を明確にした上で、目的達成KPI重視の結婚式になるだろう。極めて論理的で必要なことだけを行う結婚式になるのではないかと思う。つまり

1. 披露宴要素:親戚との顔合わせ紹介・報告
2. 挙式要素:2人の決意を固める(誓い、大切にする相手への思いやり、一生の思い出づくり)

という2つの要素を模倣(イミテート)して含まれていればよいだろうと思う。例えば料亭を使った結婚式であれば

 料亭を使った家族婚の流れ

料亭に集合
 ↓
披露宴的要素:食事会、親族紹介
 ↓
挙式的要素:簡単な挨拶・指輪交換など

温泉を使った家族婚の流れ(温泉ウエディング)

温泉に集合
 ↓
挙式的要素:近所の神社などで挙式
 ↓
披露宴的要素:宴会、親族紹介
 ↓
温泉旅館に宿泊

BBQなどでの野外ウエディングの流れ

BBQの現場に集合
 ↓
披露宴的要素:BBQ、親族紹介
 ↓
挙式的要素:簡単な挨拶・指輪交換など

のように2つの要素をうまく入れ込んであげれば結婚式として形になる。同時にそのようなサービスが一般的になるのだろうと思う。

ここで重要なのは食事のできる場所であれば誰でも簡単に結婚式を行うことができるという点。実際に世の中のトレンドを見ると「家族婚 流れ」などの検索が増えてきているのは新郎新婦が2人で結婚式をあげようとしていることが見えてきている。

ウエディング業界が考えるべきこと

一組のカップルが結婚式のたびに380万円近く使っていたお金は一体どこに行くのか。中古マンションや自動車や生活費に変わるだろうと用意に想像するに固くない。とはいえ結婚式は少なくともゼロになることはないと思う。形が変わって行われるだろうと思う。

そして未来を考える上でとても大切なことは今までのウエディング業界では「結婚式の意味」、「結婚式から得られるもの」、「結婚式のKPI/KGI を一切考えていない」のではないかという反省だと思う。

「結婚式はしなければいけないもの」

そういう通説でここまで来たように思う。もはやその感覚は通用しないだろう。

結婚式から得られること、KPIを真剣に考えた上で、結婚式の2つの要素である挙式と披露宴、この2つの要素をイミテートしたサービスを生み出していくことが必要なのだ。例えばレストラン+挙式イベント、温泉旅行+挙式イベントなどのサービスだろう。

380万円という結婚式という商品を購入してもらう新郎新婦2人の目線で何が2人に大切なことに目を当てることを忘れてはいけない。今は 結婚式=380万円よりも中古マンションや自動車や生活費のほうが意味があると思われているのは間違いない。私もそのように思う。

結婚式 < 中古マンション、自動車、生活費

新郎新婦2人の目線で考えていたら「持ち込み料」などの謎の料金は世の中に出てくることはない。もっと謙虚に必要なことだけを提案するようにならないとウエディング業界に未来はない。

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