大喜利茶屋の回答、偶然現実にあること拾っちゃう説2

約1週間前、「大喜利茶屋」という大喜利サイトにて出題されたプロレスお題とその回答をプロレスの史実に照らして検証するという記事をUPしました。
「いったい誰が読むんだこんなもん」と思いながら一気に書き上げたら、思った以上の反響をいただいて驚きました。もしこの記事からご覧の方はぜひ第一弾もどうぞ。


一寸先はハプニング

「記事伸びたし、プロレス好きな人も知らない人にもプロレスの話できたから、また似たようなことがあったら書こうかな〜!」と思っていた矢先、信じられない事が起きます。

8月28日、29日に2日連続でプロレスお題が出題されました。
中の人、もしかして見てる???
2匹目のどじょうを狙っても上手くいかないのは世の常ですが、こんな巡り合わせがあったならば書くしかない、乗せられてると分かっても踊るほかないでしょう。
という訳で、ここから2本に分けて検証(もとい、プロレスの紹介)をしていきます。今回は1本目の「全米が泣いた試合」についてです。

全米が泣いた試合、とは

今回もまずはお題の前提を確認します。「全米が泣いた」となればアメリカのプロレスを最初に思い浮かべられることでしょう。
アメリカには非常に多くの団体が存在し、地方のインディー団体まで含めるとおい切れないのですが、代表的なものは次の通りです。

WWE…世界最大のプロレス団体。下部組織のNXTと、SmackDownとRAWという2大ブランドを持つ。これはポケモンが赤と緑に分かれてるみたいなもんです。ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンも実は元WWE所属のスーパースター。
中邑真輔、IYO SKY(紫雷イオ)、ASUKA、戸沢陽などの日本人選手も所属しています。
AEW….2019年の旗揚げ以来、ものすごい勢いで拡大している団体。DDTと新日本にかつて所属していたケニー・オメガ選手が副社長も務めており、両団体とも交流があります。かつてのWWEスーパースターが上がったりもしています。
IMPACT…新日本のBestOfTheSuper Jr.とかに選手を派遣したりします。昔はTNAという呼称でした。国内外で他団体との交流も盛んです。

ほかにもROHとかあるけど、実質はAEW傘下ということで。

全米を泣かせるなら全米に知られた団体のレスラー、試合が最も相応しいでしょう。しかしながら、日本のプロレス、プロレスラーも世界中にファンがいます。
例えば、新日本をはじめ多くの団体を渡り歩いた鈴木みのる選手は、登場曲「風になれ」に合わせてリングに上る際、会場が一緒に叫ぶのがお決まりとなっていますが、海外でもこの大合唱が見られます。

また、現在AEWに所属し、新日本の海外ブランド「STRONG」無差別級王座を保持しているエディ・キングストン選手は、ストリート育ちで荒れた青年期を送っていたものの、ビデオで見た日本のプロレスにハマり、レスラーを志すことに。全日本の四天王プロレスをリスペクトし自らのムーブにも取り入れており、特に川田利明選手の大ファンだと公言しています。今夏、新日本の夏のイベントに参戦した際、同選手の営むラーメン屋にサプライズで連れて行かれた動画はぜひ見てほしい。元ド不良のおじさんが目をキラキラさせることでしか得られない栄養がそこにある。

ということで、この検証では「全米を泣かせるプロレスは洋の東西を問わない」ということにします。
というより、私がアメリカのプロレスについて、知識が乏しいので検証ができません、ごめんなさい。詳しい方がいたら、ぜひ教えてください。

続く血脈

まずは1位を獲得されたこちらの回答。「固めた」という動詞のチョイスを見るにプロレスにお詳しいことが伺えます。親子、或いは3代続いてプロレスラーという家系は結構ありまして、親子共に現役の例だと、前回の最後に紹介した藤波辰爾選手の長子、LEONA選手が2013年にレスラーデビューしていたり、最新ではDRAGON GATE所属の望月成晃選手のご子息が2022年にデビュー、望月ジュニアとして親子で同団体に所属しております。
この辺は網羅したり、ひとつひとつについて語ると限りがなくなってしまうので、その他の例もダダダっと書きますとこんな感じ。抜けは多分あります。

父・力道山- 子・百田義浩(兄)百田光雄(弟)-孫・百田力
父・坂口征二(新日本)-子・坂口征夫(DDT、ちなみに弟は坂口憲二)
父・柴田勝久-子・柴田勝頼(新日本)
父・キング・ハク(全日本ほか)- 子・タマ・トンガ、タンガ・ロア、ヒクレオ(いずれも新日本)
父・ドクトル・ワグナー(メキシコで活躍。)-子・ドクトル・ワグナー・ジュニア(CMLL、新日本)-孫・イホ・デ・ドクトル・ワグナー・ジュニア(NOAH)
父・デイブ・フィンレー(WWE)-子・デビッド・フィンレー(新日本)

ちなみにフィンレー一家は曽祖父からプロレスラーの4世代レスラーらしい。

続く2位の回答では娘さんがフィーチャーされていますが、この親子レスラーの実例ですと、新日本の立ち上げメンバーでもあるグラン浜田の御息女が浜田文子、ソチ浜田としてレスラーとなっていますし、木村響子さん、木村花さん親子は女子プロレスラー親子として有名でした。
ちなみに、レスラー親子ではありませんが、DDT所属の赤井沙希選手のお父さんは赤井英和さんです。

そして親子関連の回答の中でもこちら。「既に父が他界していて、息子が父と同じマットに立つ」というシーンを描写されています。現役での共演は先の例にありますが、このようなシチュエーションはあるのでしょうか…?

あります。故・橋本真也さんとその子・橋本大地選手親子です。父・橋本真也は新日本プロレスで蝶野正洋・武藤敬司と並んで「闘魂三銃士」と呼ばれ、一時代を築き上げました。小川直也との抗争、その後バラエティなどでオマージュ企画がたくさん生まれた「負けたら即引退スペシャル」を行なったのもこの人です。長州力との「コラコラ問答」もこの人。

キャリアの終盤、新日本を解雇され自ら団体「ZERO-ONE」を立ち上げ独立。小川との和解、タッグ結成などを経て人気を博しますが、2005年、脳幹出血にて急逝してしまいました。

この時、大地選手はまだ中学生。父の死をきっかけにレスラーを志します。大谷晋二郎、蝶野正洋らをトレーナーに修行を積み、2011年にZERO-ONEで正式にデビュー。デビュー戦の相手を務めた蝶野に白星を挙げることはできませんでしたが、翌2012年にシングル初勝利亡き父が創設し、戦ったリングで勝利を掴んだのです。

プロレス技の世界は広い

続いてはプロレスの重要な要素である技について2つ検証。
まずは上位に輝かれたこちらの回答。「ピッコロさん???」というツッコミの声はさておき、流石に貫く技はないのですが、先ほど出た橋本真也小川直也がタッグを組んだ時の名シーン「俺ごと刈れ」というものがございます。

小川直也選手には、変形大外刈り「STO」という必殺技があるのですが、橋本真也選手が相手を抱え上げてジャーマン・スープレックスの体制になった所で「俺ごと刈れ〜!」と小川に叫びます。相手はSTOが回避不可能な上、橋本の投げの力も加わり威力は格段に上がった…はずが威力が強すぎて橋本もダメージを食らいフォールにいけず、といった顛末でした。

これはごくごく最近の試合で発生しました。ジュニアヘビー級(100kg以下)の選手が団体を超えて集まる興行「ALL STAE Jr. FESTIVAL」、そのアメリカ大会が開催された8月19のことです。

第1試合のタッグマッチで結成された、新日本所属のBUSHI選手と、DRAGON GATE所属のシュン・スカイウォーカー選手。両団体を代表するマスクマンであり、毒霧使いです。

試合中、シュンの毒霧が誤ってBUSHIに発射され、その隙をついて相手が固め技で勝利。試合後、その仕返しにBUSHIがシュンに毒霧を発射したのです。両者共に毒霧使い、両者互いに毒霧を浴びて空中分解。次は遺恨清算マッチで対角線上に立つことがあるかもしれません。

完全にこれの話をしたくてやりました

最後になりますが、私も回答してみました。こちら。

どうでしょう、この明らかに順位を取る気がなく、「好きなこと好きなだけ言ったれ」感が満載の文章量。点数を入れてくれたみなさんは同士です。お題を見た瞬間に「よっしゃこれの話書きたいから回答しとこ」という邪な感情が芽生えてやりました。すみません。

これは今年の2月21日、東京ドームで行われた武藤敬司選手の引退試合での出来事。プロレスを見ない方には、神奈月のモノマネで認知している方もいるかもしれませんが、プロレスラー武藤敬司は、紛れも無い天才であり生きる伝説です。

1984年に新日本に入門、デビューしたのちに世界中で人気を博した「グレート・ムタ」としてのギミックや、今までになかった華やかな技や動きの数々で多くのファンを魅了した、まさにプロレス界のスーパースター。どんな場面でも主役を持っていってしまうほどの光の強さと貪欲さは、アントニオ猪木でさえ扱いきれないほど、とファンの間では語られています。

38年のキャリアの中で、多くの団体を渡り歩いたのち、2020年からはプロレスリング・ノアに参戦。若かりし頃「プロレスはゴールのないマラソン」と発言していましたが、長年のダメージから人工関節を入れている膝などの状態が思わしくなく、引退を決断することになりました。

東京ドームで行われた引退試合は、ノア以外にも武藤に縁ある団体の選手が上がるお祭りのようなカードが連続。メインイベントの相手は、新日本の人気No.1選手、つまり日本で一番人気のあるレスラーと言ってもいい内藤哲也選手でした。ちなみに内藤選手は武藤に憧れてレスラーを目指した男であり、かつては武藤を彷彿とさせるキャラを目指すも大不評。本人とのシングルマッチでも惨敗するなど苦杯を舐めたのち、メキシコ遠征などを経て自身のスタンスを新たに確立し、現在の地位に上り詰めます。これ自体も非常〜〜〜〜〜〜〜〜に泣ける。

当日はSPゲスト解説として、蝶野正洋が来場。何度か触れていますが、蝶野と武藤は闘魂三銃士として同じ時代を生きた盟友です。しかも、この二人は同じ日に入門し、同じ日にデビュー、お互いを相手としたものでした。

試合は内藤選手の勝利で終わり、武藤の最後のマイクへ…と思った時、最後にして最高のドラマが起こります。引退のあいさつの途中、「まだ灰にもなっていない」「蝶野、俺と戦え!!!」と叫び、蝶野をリングに呼び込みます!!

実は蝶野選手はまだ現役を引退していません。というのも、怪我による欠場のまま長期的にリングに上がっておらず、「引退試合をできないまま、実質的には引退している」状態になっていました。また、同じく闘魂三銃士であった橋本真也も先ほどの通り、現役中に急逝しています。

つまりこれは、「1日で2回引退試合」というサプライズでもあり、「闘魂三銃士全員分を背負った引退試合第2ラウンド」なのです!!!
特別試合は一瞬で決着をしますが、杖を置いてリングまで向かう姿、「黒のカリスマ」の表情に切り替わる瞬間、終わった後の多幸感、リングサイドでニッコニコの長州&藤波など、もう感情を揺さぶるポイントがギッッッッッッシリ。

これは日本どころか全米が泣いた。間違いない。説立証。

本当に頼む、これはABEMAプレミアムで視聴できるからみんな見てくれ!!!!
ここでしか出てないインタビューとか入った煽りVの時点で泣いちゃうから。本当に。プロレス見たことない人にも伝わると確信している。

プロレスって、知れば知るほど面白い格闘芸術なので、みんな見てください。
ちなみにこの「格闘芸術」も武藤が生み出した言葉です。

第3回はこちら




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