断る勇気

成人式の実行委員という、大きな仕事を断った。そのための電話をした。先生は事情を分かってくれた。

友達とクラス委員の子にも連絡をした。2人とも話を聞いてくれた。

大切な友達からのお願いを断ることはできなかったし、何より、私がいなくなったらその子はたった1人で実行委員の仕事をすることになってしまう。

だから、不安になりながらも手を挙げた。

実行委員会をやる条件は
・卒業後も県内に残れる人(学校に来ることがある)
・みんなへのお知らせができる人
この2つだ。

卒業後も県内に残るのは、私が知る限りでは今のところ私と友達しかいなかった。あとはみんな、県外の大学に行ってしまう。

でも私は卒業したら専門学校に、彼女は大学に行く。受験生や高校を出て進学した人は分かるだろう。2年制と4年制じゃまるで違う。

卒業したら、私は勉強漬けの日々を送ることになる。平日は授業、土日は宿題と資格取得の勉強、1年生の夏休みから始まる研修に、2年生からの就活。

どう考えても大きな仕事をする時間はない。やりたいやりたくない以前に、これからのことを考えるとできないのだ。

🌪

自分で言うのもだが、優しいだけが取り柄だ。友達に私の長所を聞くと、最初に出てくる言葉は決まって「優しいよね」だ。成績表にも「平和主義」とある。

でもお人好しじゃダメなんだ。断る勇気も持たないと。これから先の社会では、優しいばっかじゃ生きていけない。実際に昨日、出来もしないであろう仕事を引き受けてしまった。

断るのが怖かったのは初めてだった。
たった1人で大役をやらせるなんて申し訳ないという想いと「友達なのに」と言われる恐怖が混じって、ドロドロになった。

どうか友達が、たった1人で仕事をすることになりませんように。相性の良い子が見つかりますように。