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結膜炎と雨とカレー

数年ぶりに結膜炎になってしまった。瞼が開かないぐらい腫れており、目やにでジュクジュク。今の私の顔面は「お岩さん」そのもの。しかし、結膜炎てなんか昭和の匂いがする眼病ですな。今どき結膜炎て・・・いう感じである。
ま、なってしもたもんはしょうがない。外出もままならんし、ちょうど今日明日と雨予報やし、家に籠ることにした。
こういう時間は嫌いではない。眼病と雨予報があれば、外出というものにあきらめがつく。そんな日にしかできないことをしよう、と。
ライターという職業に就いているにも関わらず、ここ最近は腰を据えて本を読んでいない。読書か。ええなぁ、たまには。部屋に転がっている「未読本」を読もう。堀江敏幸。三島由紀夫賞、芥川賞などを次々と受賞している現代文学の巨匠。その淡々としたセンテンスのやたら長い文章は嫌いではないし、堀江氏の奏でる言葉の空気感は独特で、この軽薄なネット社会にあって「感じる」とか「思考する」とか「立ち止まってみる」とか、そんな人間らしい感覚を蘇らせる文章のような気がする。
BGMは文字を邪魔しない音楽がいい。JAZZか・・・というところである。決して津軽民謡ではないだろう。パンクでもなければ、K-POPでもない。はたまた松田聖子でも玉置浩二でもない。エレファントカシマシなんかもってのほかである。もちろん新しい学校のリーダーズでもない。
しかし、である。JAZZを聴くと私は急速に太田和彦化する、という病を背負っている。BGMがJAZZという時点で「ぼ、ぼくにね、ぬる燗を・・・46°で」と燗酒の温度まで指定する太田和彦が頭に浮かんできて読書どころではなくなるのだ。
ということで読書をあきらめ、カレーをつくることにした。家籠りにはカレーが一番である。今日も明日の昼も夜も、カレーでええやないかぁ・・・という、家籠り人特有の感覚。
冷蔵庫を開くと、挽き肉、人参、玉葱があった。それらをササッと炒め、スパイスや葉っぱやらなんや混ぜながら、業務用カレールーで仕上げる。途中一切味見はしない。カレーなんてそない大層なもんやないし、適当に作ってもまあまあ美味いからである。今日はどんなんかなぁ、と一口目を口に運んだら、いつもと一緒であった。適当カレー人生。


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