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「活動スコア」のリリースに関して

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tayoで「活動スコア」という指標をリリースしました。
これはh-indexに代表されるような、研究者の業績の評価手法の一つです。

現在、一番使われている研究者の評価基準であるh-indexで表現されるのは「これまでの学術界への貢献」です。これは、ある研究者がどれぐらいアカデミアにおいて影響力のある人間なのかを判断するのには良い指標です。しかし、例えばある技術領域の最先端の知見を有している人に技術相談したい、というときにはあまり向きません。例えば10年間全く論文出していない既に引退した研究者でもh-indexは高い、ということがあり得ます。

例えば、僕が2018年に出した博士研究は現在までに18回引用されています。我ながら結構いい論文なのですが、6年前の論文なので解析手法などはだいぶ古くなっています。僕自身、環境微生物のゲノム解析においてもはや最先端の知見はないと思っているので、この領域で最先端の技術が必要になれば一回も引用されてなくても1-2年以内に同じ領域で論文出している人の方が多くの場合は適していると思います。

そんなことを考えたので、「引用数とか度外視し、最近活発に論文を出しているかどうかだけを見る指標」があってもいいのではないかと考えました。イメージとしてはh-indexはその人の研究活動の総和を表すのに対し、活動スコアは現在の活動量、研究活動の微分値のようなものを表します。

新しい指標を作り、「あなたの活動スコアはXXです!」と言ったところで他人と比べてどうかを見ないと何にもならないので、2024/4月段階でresearchmapに登録されていた36万人程度の研究者全員で活動スコアを計算し、分野ごとの活動スコアのヒストグラムを表示するようにしました。

tayoに業績を登録し、研究分野を選び、研究者スコアを表示すると、その分野においてトップ何%ぐらいの活性を持つ研究者か、そして自分よりも活発な研究者は日本に何人ぐらいいるのかがざっくり分かるようになっています。

自分のものだけでなく、他人の研究者スコアを見ることもできます。例えば都立大学の成川先生の場合、こうなります。

同じ人でも分野を変えると母集団が変わるので立ち位置がまた変わってきます。成川先生の場合分子生物学者としては2%ですが、ゲノム生物学者としては4%なのでゲノム生物学の世界の方が競争が激しいのかもしれません。

このように分野ごとに自分の位置を確認できるので、科研費の申請の際に分野を選ぶ時などでも有用なのではないでしょうか。

また、このように色々スコアを見ていたところ、「活動スコアが高い人(=論文いっぱい出してる人)って結局、引用数も多いのではないか?」、というような気がしてきたので、現在その辺りも解析中です。メタサイエンスの文脈で論文としてまとめたいと考えておりますので、そちらもお楽しみに。

ではでは。

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