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不動産投資で糧を得ながら起業した人の話その.4

42歳で20年間勤めていた会社を退職して、不動産投資をしながら自ら起業の準備を進めている武田氏。
サブリース契約で、毎月50数万円の定額が手元に残り、それを生活費と事業活動の元手にして起業した矢先、これまで1年間続いていた支払いが急遽減額されたてしまった。

その結果、生活費や事業活動の経費はおろか、銀行ローンの支払い分にも窮するようになった。
そして、事態は更に悪い方向へと進んでいく。

2018年2月初旬に会った武田氏はかなりやつれていた。

とにかく、一日も早く事業活動で収入を得ないとやばい状態だという。
聞くと、収入が完全に無くなったそうだ。

悠々自適な不動産投資ライフが急転直下

2017年10月に減額された家賃収入は、2018年1月にはゼロになってしまっていた。そのため銀行ローンの支払いと家族の生活費、そして事業活動の経費をこれから取り組む事業活動で一日も、一刻も早く得ないと非常にヤバいという。

その額を聞くと、最低でも月に240万円ほどの収入が必要だという。

特筆すべきスキルも事業に役立つ経験も無い42歳男性が240万円の収入を稼ぐ方法とはいったいなんだろうか?

例えば、先行投資して飲食店やコンビニなどのFCに加盟したとしても、売上ではなく240万円の収入、つまり純利益を得るのは相当厳しいように思う。

まして、ITリテラシーもほとんど無い人が、事業を始めたその月から240万円の純利益を叩き出す方法なんて知らない。

よくネットで、“始めたその月から100万円稼げた”といったような広告を見かけるがあれは、99%嘘。

考えがまとまらないまま武田氏とのミーティングに臨む。

武田氏の話はもはや事業活動の話ではなく、どうやって月に240万円の収入を得るかに終始していた。
こうなるともう事業活動のお話でも、ウェブコンテンツのお話でも無くなってしまっていた。

わたしがファイナンシャルプランナーならもっと適切なアドバイスが出来たかも知れないが、この時のわたしが武田氏に伝えたのは、弁護士に相談した上で、生活のために直ぐに確実に収入を得られる会社勤めでも何でもするしかない。ということだった。

今、思えばこれがわたしと武田氏が会って話した最後の時間だった。


音信不通になった元不動産投資家

しばらくして、武田氏からメールの返信が来なくなった。電話も解約されたらしく通じない。
そして、2ヶ月あまり過ぎた2018年4月にネットニュースで“かぼちゃの馬車”というシェアハウスを販売していた「スマートディズ」という会社が民事再生手続開始を申し立てたというニュースを見た。

その内容が武田氏が投資したという不動産投資のスキームとそっくりだったので、武田氏は“かぼちゃの馬車”のオーナーの一人だったということ確信した。

■遊休地の有効活用:https://threedesign.co.jp/


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