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相続と不動産の初歩の初歩

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“相続”や“不動産”と聞くと、そういった仕事をしている人か実際に親から不動産や現金を相続された人やこれから相続対策をしようとしている年配の人以外はきっと、こんな風に思っているんじ…
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#財産

事前の相続対策では感情と勘定のバランスを取る

最近の大学病院の個室は、入院患者に配慮して設計されているのか、高級ワンルームマンションさながらの内装が施されている。 天井を眺めながら、秋山 忠司(あきやま ただし)は先日の今後のことを話し合った家族会議のことを思い返していた。 今年81歳になった忠司には、10歳年下の妻、佳子(よしこ)と3人の子供たちがいる。 今回の入院で、医者と妻の佳子のやり取りを始め、子供たちの振る舞いから、忠司は自分自身がそう長くはないことを悟っていた。 そのため、今後のこと、つまり相続のことを

相続は大きく7つのポイントに分けると理解が楽

その日は仕事が休みで自宅のソファーでスマホでゲームをしていた新井 友洋(あらい ともひろ)は、画面に表示された母親からの着信画面に少し面倒くさそうに対応した。 「何?どうしたの?」 スマートフォンから聞こえてくる母親の声は明るく、やっと順番待ちの施設から連絡が来て入れる事になったということだった。 要介護認定を受けたばかりの今年83歳になる母親の初代(はつよ)は、息子の友洋にこれから入る施設についていろいろと話し始めていた。 母親の事はこれまで、兄の貴彦(たかひこ)に