今、「SOMEDAY」を聴く

*2024/1/8作成

このタイトル↑だけで「佐野元春の話だよね~」と分かった人は、ぼくと同じ世代だよね?
つい最近、NHKのBSでやってた彼らのライブ番組を見たのだけれども。
思ってたより、すっごく良かったんですよね~。

佐野元春さんは、ぼくの10コ上。
デビュー直後の「アンジェリーナ」とか「SOMEDAY」とかの有名な曲について、ぼくは特に何とも思わなかったのだけれども。
大学生になった頃、「VISITORS」と「Café Bohemia」というアルバムは、よく聴いてました。

それから40年・・。
なんとなく、本当になんとなく、テレビで見た彼のライブは、今のぼくにとても似合うものでした。

最近は、歌詞の字幕がないと何を言ってるのか分からない曲や、展開や音の重ね方が難しい曲や、ダンスと一緒に観なきゃいけないような曲が多くて、オジサン的にはしんどくなってたので。
そんなぼくには、ちょうど聴きたかった音楽でした。

昔のように、ただ若さをぶちまけるだけでなく。
老いだとか、人生や社会の仕組みだとか、長年のパートナーのことだとか。
彼の歳で見えてきたものを、落ち着いたロックの中で語ってる感じでした。

例えば、タイトルからして「植民地の夜」という曲では。
「邪悪なプロパガンダ」とか「テクノスパイダー」という言葉で今の日本・世界の怪しげなところを暗示 → 注意喚起するようなところは、昔と変わってなかったり。
ところどころに中華風なフレーズが差し込まれてるのが、変わらず挑戦的で印象的。

かと思えば、やはりタイトルからして「斜陽」という曲では。
「ゆっくり この下り坂を降りて行こう ゆき着くところまで」「でも決して魂は無駄にしないで」というフレーズがあって。
ぼくらの世代が見てる現実をしっかりと描きながら、励ましてくれる。
もしくは、時間の経過を素直に真正面から受け入れていく姿を、自ら示してくれてる。
いや~この曲では、ボロ泣きしました。

十数年前?とかに、井上陽水とか吉田拓郎とかのライブを聴きに行ってた大人たちの気持ちが、ちょっと分かってきたような気がします。

佐野元春さんの楽曲は、今のぼくにとって、とてもやさしくて聴きやすいロック。
そして、今のぼくが、とても聴きたいと思うロックでした。
この感性は、10コ以上年下の人には、きっとわからんのだろうなあ~と思います。

全1時間弱のライブの中で、ぼくが知ってる曲は、アンコールで演奏された「SOMEDAY」と「アンジェリーナ」の2曲だけ。
けれども、40年という時間を経て聴く、その当時のぼくが特に何とも思わなかった曲は。
歌い手と聴き手の、それぞれ変わってたり変わってなかったりするところが見えてきたりして、やたら感慨深くて、心が動かされるモノでした。今になってやっと、「SOMEDAY」っていい曲だなあ~と思えました。

彼が、その「SOMEDAY」を歌う前に。
「大滝詠一も清志郎も坂本龍一もいない時代。個人的にはポツンと残された感じ。でもボクはまだこうして続いてます」って言った後で。
「Happiness and Rest ~♪」と歌うところは、鎮魂という文脈であまりにハマり過ぎて、またもやボロ泣きでした。

長いことずっと忘れていたものを、きっと何かの必要があって、今がいいタイミングだとして、ふっと思い出せた感じ・・とでもいいますか。
なんかとても不思議な感覚が浸み込んできたので、書き留めてみました。

そして・・ライブで歌われてた、「THE ESSENTIAL TRACKS 2005 - 2020」「今、何処」という2枚のアルバムをmoraでポチってしまったのは、言うまでもありません。
う~5,600円ナリ・・。

最後に、本年もよろしくお願いします。

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