見出し画像

駐日アイルランド大使が熊大を訪問 小泉八雲が繋ぐ熊本とアイルランド

 7月26日、駐日アイルランド大使のデミアン・コール氏(His Excellency Mr. Damien COLE)が熊大を訪問し、校内の第五高等学校時代の施設などを見学した後、五高記念館で講演を行った。

五高記念館を訪れたコール大使(26日、黒髪北キャンパス)


 今回の熊本訪問は昨年11月10日に日本に赴任したコール大使自らの希望で、民間の熊本アイルランド協会を通じて熊大との折衝が行われ、実現した。五高で英語を教えた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の父がアイルランド人であったことから熊本とアイルランドの交流が行われており、「ハーンによって熊本とアイルランドの架け橋になるようなイベントを」(大学関係者)との希望で、また駐日大使と英語で直接話せる貴重な機会を学生に提供するために、学生への講演会も企画された。
 小川学長の案内でコール大使らは学長室で面会。生協近くの小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)のレリーフ前で記念撮影を行った後、五高記念館内を見学した。コール大使は記念館職員の解説に興味深そうに耳を傾け、通訳を通じて質問し、特に五高の再現模型や夏目漱石書簡に強い関心を示していた。

夏目漱石書簡の説明を受けるコール大使(同)
第五高等学校時代のキャンパス復元図の説明を受けるコール大使(同)
小川学長らと黒板の遺構も見学するコール大使(同)


 その後、コール大使は文学部文学科の学生らを前に館内で記念講演を行った。アイルランドの文化や遺産、スポーツ、地理などを説明した後、日本とアイルランドの交流や現地で開催された小泉八雲の『怪談』展などを紹介。両国間の関係について「政治、経済、文化のあらゆる面で多角的で深い交流がある」と指摘。その上で、アイルランドはフレンドリーな国民性、治安の良さ、若く想像力に富む人々が多く、また人権と平等を重視して国際貢献を目指す政府方針など、留学に適した条件が揃っている、とも紹介し、学生との質疑応答も活発に行われた。

講演後、インタビューを受けるコール大使(同)


 講演後、コール大使は在熊メディアと熊本大学新聞社とのインタビューに応じた。熊本訪問の感想としては「ハーンが実際に住み、教えて過ごしたこの場所(熊本)に来れたのは本当に良かった。彼がいたからこそ、今の熊本とアイルランドの交流がある。特に熊本アイルランド協会の皆さんの働きには感服した」と述べた。また熊本で印象に残ったものとして熊本城をあげ、「立派であのように歴史があるものが残っているのは貴重だ」とした上で、特に熊大生が「非常に意欲的で真面目であり、日本の将来を担う人たちとして非常に頼もしい」と述べて熊大生の今後の学びや働きに期待を寄せた。
(2023年7月26日)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?