先祖キクラゲ論

私の先祖はキクラゲだと思っている。漢字では木に耳、通称ウッディイヤーと呼ばれるあのキクラゲだ。

先日ラーメン屋のラーメンを食べに行った時、久々にキクラゲを食べた。コリッとした食感に、野菜なんだか茸なんだかよく分からない味がした。正直、ラーメンに付属するものとしては若干の邪魔を感じつつ平らげた。キクラゲはポン酢で和えるのが一番それが引き立つ。どれのことかはよくわからないが、とにかくキクラゲの"それ"が立つ。キクラゲがキクラゲである為のキクラゲみが。

初めてキクラゲを見た時。食べた時。クラゲはこんな食感がするものかとある種の感動を得た事を覚えている。誤字じゃない。海に月と書き通称ムーンサイドと呼ばれるあのクラゲ。このクラゲ。おまえのクラゲ。クラゲ クラゲ クラゲ。こそうよイドムーンサへ。

もちろんキクラゲはクラゲではない。ウッディイヤーである。立派な茸の仲間であり、海の生物ではない。それを知ってしまった時、知識とは時に残酷な結末を与える事を知った。あの感動、あの味、全てが虚に。

そんな感動が、日本を包む。

映画「ウッディ・イヤー」

2087年公開。

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