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ミャンマー・ラカイン州「南部」で生きるロヒンギャ

日本の約1.8倍の土地が在るミャンマー(ビルマ)で、西部ラカイン州は九州とほぼ同じ面積がある。険しいアラカン山脈に隔てられているこのエリアには、未だ私たちが知らない文化や進んでいない研究、権力者の都合で外国人の立ち入りが禁止されていたり、隠されている部分があまりにも多い。

2017年8月以降の軍の掃討作戦でロヒンギャを中心とした多くの罪もない住民が虐殺され、70万人以上の人々が隣国バングラデシュへ一方的に追い出された。ラカイン州の空路の玄関口である州都シットウェでは2012年にラカイン族とロヒンギャの間で大規模な衝突が起き、7年経った今も町に住んでいた13万人のロヒンギャは郊外の劣悪なIDPキャンプや町の一部の区画に隔離収容されたままである。町の中心では見せしめのように帰らない主を待つモスクが廃墟となり放置されている。

今回初めて訪れたラカイン州「南部」サンドウェ。ガパリビーチが有名なこのエリアでも2012年や2013年頃には暴徒化した人々がロヒンギャや南部に多く暮らすカマン族というイスラム教徒を襲い多くの死傷者が出る事件も発生しているが、北部に比べほとんど情報が出てこない。ラカイン州南部の現状も知りたいという思いで今回この町を訪れた。

何の手がかりもなく自転車で散策していると、町外れでムスリム帽を被った老人と子供に声を掛けられた。老人は流暢な英語で旅人である私を歓迎してくれた。その日は金曜日でこれからモスクへお祈りに行くと言うので一緒に連れて行ってもらうことに。

シットウェのようにムスリムの人々が完全なる人権無視で自由を奪われ閉じ込められている状況とは違うことがまず解かり、心が少し軽くなった。

2019年3月 新畑克也

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