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アルトアイゼン 知られざる0からMk.Ⅵへの軌跡


このファイルは以下のアイテム番号RPC-001に関する研究内容です。RPC-001に関する詳細はMMRアーカイブこちらのファイルを参照して下さい。該当ファイルのクリアランスレベルは4です。

概要

以下はRPC-001に関するこちらのファイルからの抜粋です。

アイテム番号:RPC-001
オブジェクトクラス:Tyrant
ENIKKによる提案により作戦中はRPC-001をアルトアイゼンと呼称することが決定されました。

説明:RPC-001は多数の車輪を備えた輸送用機器いわゆる「列車」に近似したラプチャーです。構造的には大きく2つのブロックで構成されており、それぞれのブロックの下部には多数の車輪が位置しRPC-001の走行を担っています。RPC-001の形状は列車に近似していますが、レールの上でなく不整地の地表でも直接走行が可能です。RPC-001の出現が報告されている地域の地表は全て不整地です。
 前部には垂直発射式の誘導ミサイルの発射が可能なミサイルポッド8基、連射式砲塔2基、多弾頭ミサイルランチャー1基が装備されており、後部には同様の連射式砲塔2基、多弾頭ミサイルランチャー1基が装備されています。本体連結部の上部には大出力のビーム砲2門が備えられています。
 RPC-001が被弾などによって後部が破損もしくは機能停止とみられる状態になるとRPC-001は本体連結器を切り離し前部のみによる走行を行います。(この前部をRPC-001-Aと呼称。)RPC-001-Aに攻撃を加え続けるとRPC-001-A左側面に複数のスパイクが表出し攻撃を加えられた側に向かって刺突するような運動を見せます。現在までRPC-001に対する全ての作戦でRPC-001への攻撃は全て左側面から行われており、仮にRPC-001の右側面から攻撃を行った場合には左右どちらの側面からスパイクによる刺突が行われるか検討されたことはありません。
 ドローンによる調査の結果、RPC-001には操縦している人間もしくはNIKKEの存在は認められませんでした。

補遺:MMR研究機関の[削除済み]によりRPC-001が製造された経緯が明らかになりました。詳細は研究報告書RPCR-0010からの抜粋を参照して下さい。
研究報告書RPCR-0010抜粋:RPC-001は要注意団体エンターヘブンが製造しアーク内通称[削除済み]に放置していた列車型戦車にラプチャーが寄生し自我を持ってアークを攻撃しているものと思われます。
 エンターヘブンがどのような経緯で列車型戦車を製造、放棄したかは明らかになっていません。RPC-001への有効な攻撃法を獲得するために引き続き調査が必要であると軍首脳部に提案すべきです。
【以上抜粋】

詳細

 RPC-001(以下アルトアイゼン)は異なる複数の個体が確認されていますが、総個体数は不明です。また現在まで確認されている個体で同一のものであると断定できている個体はありません。同一時刻に複数箇所に出現した事例もあるため、複数の個体が存在するのはほぼ確実だと思われますが、未知の技術による空間転送や立体投影等が使用されている場合はその限りではありません。

「アルトアイゼン0」
 最初期のアルトアイゼンは第一次ラプチャー侵攻時に確認されました。ただしこの頃は現在確認されているアルトアイゼンとは大きく異なる特徴があります。
 第一に現在のような列車型大型戦車ではなく人類連合軍の主力戦車にラプチャーが寄生した個体であることです。第二に世界各地の作戦地域で多数が確認されおり、寄生された戦車の種類も多岐に亘り戦車に限らず歩兵戦闘車や自走砲の類まで存在することです。第三に現在のように非常に高い火力は保有しておらず、寄生される前の戦闘車両の火力をそのまま引き継いでいます。
 戦闘車両への寄生はNIKKEに対する侵食と同じように行われ、このことからラプチャーにはNIKKEのような自律型兵器でなくても戦闘用AIを搭載した兵器なら制御系を奪って制御できる技術があると結論づけられています。
 ラプチャーに寄生された戦闘車両は自我を持って人類連合軍を攻撃し、複数の寄生された戦闘車両がフォーメーションを組んで攻撃してきたとの報告もあります。
 この時期に寄生された様々な戦闘車両は、以下の「アルトアイゼン」出現後に「アルトアイゼン0」と呼称されることになりました。

「アルトアイゼン(アルトアイゼンMk.Ⅰ、アルトアイゼン初期型)」
 第一次地上奪還戦においてラプチャー群にかつて人類連合軍の主力戦車であった「M3スーパーエイブラムス」シリーズと思われる戦車が複数の作戦地域で確認されました。現状から判断しラプチャーに寄生されて戦力とされているものと判断され、後に「アルトアイゼン」と呼称されることになりました。
 形状は元の戦車とほとんど同一ですが兵装はスーパーエイブラムスのものとは異なる独自の弾薬を使用した戦車砲を主兵装とするものに改造されていました。これは恐らくラプチャーの持つ自己複製能力を利用したラプチャーによる形状の変化だと思われます。
 第一次・第二次地上奪還作戦で多数確認されましたが、現在では全く報告されていません。
 なお、本個体で「アルトアイゼン」の呼称がはじめて用いられますが、それは作戦地域における指揮官やNIKKEが寄生された過去の主力戦車であるこの個体を「スクラップ(古い鉄=屑鉄)」と呼んでいたことに発祥します。

「アルトアイゼンMk.Ⅱ(アルトアイゼン改、アルトアイゼン中期型)」
 第一次地上奪還戦において確認されたアルトアイゼンの兵装が強化された個体です。鹵獲された個体への調査により、主兵装である戦車砲に改良が加えられたのか射程距離が延び、旧バージョンにはなかった機関砲が設置されてNIKKEや指揮官等の小型目標を攻撃するのに使用されたことが判明しています。発見された個体数は減少し、以降のバージョンから現在に至るまで減少傾向にあります。
 第一次・第二次地上奪還作戦で多数確認されましたが、現在では全く報告されていません。

「アルトアイゼンMk.Ⅲ(アルトアイゼン後期型)」
 第二次地上奪還作戦において初めて確認されたラプチャーで、アルトアイゼンMk.Ⅱ(スーパーエイブラムス)に地上走行型ラプチャーを融合したような形状となっています。ここから兵装が大幅に増加し高速レールガン1門、大型速射砲2門、榴弾砲2門を備え、更にアルトアイゼン初期型と比較すると全長が約2倍、全高が約1.2倍、全幅が約1.6倍と非常に大型になっています。本個体は全てのアルトアイゼンシリーズで最も確認数が少なく、確認された期間も1年ほどで非常に短いためほとんど運用されていないものと思われます。現在では全く報告されていません。

「アルトアイゼンMk.Ⅳ」
 中央政府軍とラプチャーの戦闘が急速に激化し始めた■■■■年前半頃に確認された個体で、本個体がエンターヘブンの放棄した列車型戦車を基本とする初の個体です。複数が広範囲で報告されており、エンターヘブンが製造した戦車が複数存在していたのか、ラプチャーの自己複製能力により複数体存在しているのかは不明です。
 エンターヘブンが列車型戦車を製造した理由・目的・過程・手段・資金等は一切不明で現在に至るまで不明であり、この件については[削除済み]による特別捜査が進行中です。
 またエンターヘブンの設立時期は明らかになっていませんがアークへのテロ活動が活発になる時期と本個体が初めて出現した時期はほぼ一致しているため、ラプチャーとエンターヘブン両者の関連が疑われています。
 形状は現在確認されている最新のアルトアイゼンMk.Ⅵとほぼ同じですが、Mk.Ⅵのように最前部が生物的形状をしていない、後部機能停止後の連結切り離し行動を行わない、垂直発射式8連ミサイルが搭載されていないなどの差異は存在します。現在でも戦闘後の報告書や報告映像から本個体をMk.Ⅵと誤認していたと判明する事例がわずかながら発生していますので、現在でも活動しているものと思われます。

「アルトアイゼンMk.Ⅴ」
 アルトアイゼンMk.Ⅳと異なり最前部が生物的形状をしており、兵装も現在確認されているMk.Ⅵとほぼ同じで本個体とMk.Ⅵは同一である可能性が高いです。
 第二次地上奪還作戦時のエレベーター73号機襲撃によるラプチャーのアーク侵入時に複数の本個体が軍に深刻な損害を与えたため、それ以降に本個体への迎撃作戦と徹底的な殲滅作戦が行われ、作戦期間ほぼ14か月で本個体の報告は全くなくなりました。軍はアルトアイゼン殲滅宣言を出しアーク市民への[削除済み]に利用しました。

「アルトアイゼンMk.Ⅵ」
 現在確認されているバージョンです。従来のバージョンと同様に複数の個体が確認されています。また塗装パターンが異なっている個体も映像で確認されています。
 前述の通り本個体とアルトアイゼンMk.Ⅴとの個体差は[削除済み」。しかし第二次地上奪還作戦中のエレベーター73号機からのラプチャーのアーク侵入という非常に深刻な事態を受けて、アルトアイゼンMk.Ⅴの徹底的な殲滅作戦が実施されました。これはアーク市民に対する[削除済み]の意図があったものと推測されます。
 そして殲滅作戦によりアルトアイゼンMk.Ⅴは地上から姿を消したと判断した軍上層部は■■■■年■月■日(GMT)「アルトアイゼン殲滅宣言」を発表します。
 しかし同年■月■日地上エレベーター■■号機付近の作戦地域で再び本個体が報告され、[削除済み」による[削除済み]という決定が行われ、今回発見された新たな個体はアルトアイゼンMk.Ⅴではなく全く別のバージョンである「アルトアイゼンMk.Ⅵ」として呼称されることとなりました。
(本個体の諸元は本記事の概要で解説しているので省略。)

 アルトアイゼンMk.Ⅵは非常に高火力・高機動なラプチャーであり早急に対応を行わなければ後に深刻な事態を招きかねないことは明白です。テロ集団「エンターヘブン」も徹底的に捜査して、ラプチャーとの因果関係を明らかにする必要があるでしょう。
 アルトアイゼンMk.Ⅵがアルトアイゼンシリーズ最後のバージョンとなることを切に願いつつ本稿の作成を終了します。


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