「火の鳥」から“イ・ソジン沼”へ
大好きなドラマといえば真っ先に「私の名前はキム・サムスン」を挙げるのですが、誰もが知っているこのドラマについてはこれまで仕事で数え切れないほど書いてきたので、今回は2004年のドラマ「火の鳥」とイ・ソジンについて書いてみます。もともと「彼女の家」(’01)というドラマからイ・ソジンのファンではあったのですが、「火の鳥」を見て、今で言う完全な“沼オチ”状態になったのでした。
苦学生のセフン(イ・ソジン)とお嬢様ジウン(イ・ウンジュ)は、正反対の境遇にありながら出会ってすぐに恋に落ちて妊娠し結婚。ジウンの親には反対され、貧しい中でなんとか暮らし始めるものの、プライドの高いセフンと世間知らずのジウンは間もなく相容れなくなっていく。折しもジウンが流産して二人はあっけなく破局。セフンは渡米し、実業家として成功する。10年後、帰国したセフンの家に家政婦として派遣されてきたのが、父の死で家が没落し母と妹の生活を支えるジウンだった。互いに未練を残す二人だが、セフンには婚約者ミラン(チョン・ヘヨン)がおり、ジウンにも想いを寄せる御曹司ジョンミン(エリック/SHINWHA)の存在があった。
このドラマ、エリックがヒロインに向かって言う「なんだか焦げ臭くないですか? あ、僕のハートが燃えていたんだ」という、クサいセリフが有名になって、今もよく使われるほど流行しました。エリック人気も高まりましたが、私自身は断然イ・ソジン=セフン派。特に、ジウンがセフンの元妻だとエリックにバレてしまうシーンで、彼がジウンに「タンシン、ヨギイッソ」と言った瞬間「しまった」とばかりに顔をしかめた、その表情に心を撃ち抜かれてしまったのです。その日からしばらく、テープがよれよれになるかもと心配しつつ、そのシーンを巻き戻しては見る、を繰り返す日々(その頃はまだVHSでした)に。もちろんOSTも買い、その後は自分で絵葉書を使ってジャケ写を作り勝手にDVD化。この絵葉書をどこで手に入れたのかは記憶にありません。
そんなファン心が高じて、遂には自腹でファンミーティングに足を運んでしまいました。編集の方から依頼されファンミに行ってそのレポートを書く、というのは仕事の一つなので、自分でチケットを買って参加するようなことはまずないのですが、イ・ソジンの場合は純粋にファンとして参加したかったのです。おまけに舞い上がった勢いで、その様子を収めたDVDまで購入。でも、ニヤついた自分の顔が映っていると思うと恥ずかしくて未だに見られません。ある意味、黒歴史……。
このドラマ、イ・ソジンの素敵さのほかには、異常なまでに嫉妬深いミランの奇行の数々が特に印象に残っています。チョン・ヘヨンはこの前にも「あなたのそばに(당신 옆이 좋아)」というドラマで、姉の恋人を好きになって様々な陰謀を巡らせる役を演じていたので、悪女イメージはすでにありました。にしても、粉々に割れたガラスの上を素足で歩くシーンは怖かったです。ドラマでは不幸になったミランですが、実生活ではこの年に公開プロポーズを受けて結婚し、今では4児の母として幸せいっぱいの様子。夫はYGエンターテインメントの立役者であるJinuseanのSEAN(ション)で、福祉活動にも熱心なオシドリ夫婦は“寄付天使”としても有名です。一方、ヒロインのイ・ウンジュはこの翌年に自ら命を絶ってしまいました。ドラマとは正反対の事実に何ともやるせない気持ちになります。
ところで、このドラマでヒロインの友人役をやっていたイ・ユジンという女優は「美しき日々」でもチェ・ジウの友人役だったので、覚えている人も多いのではないかと思います。エキゾチックな顔立ちで一目見れば欧米系の血を引いていると分かるのですが、ある時「父親は実はスペイン系アメリカ人だと涙ながらに告白した」との記事が出ていて、それまでは純粋な韓国人だと言っていたことを知りました。いわゆる混血差別があったからとのことですが、一昔前はそんな社会だったんだなぁと思います。余談ですが、イ・ユジンにはその後、偶然にも早稲田のうどん屋で遭遇。どうやら早大留学中の友人を訪ねて来たらしく、大テーブルの向かいの席で友人とカレーうどんを食べていた姿を覚えています。
「火の鳥」は近々、朝ドラ「火の鳥2020」としてリメイクされるとか。同じ脚本家が書くそうなので、そんなにひどいことにはならないだろうと思いつつ、原作ドラマのファンとしてはちょっと心配な気も。まあ、別物と考えて見てみたいと思っています。やたらに脱線して長くなってしまいました。最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
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