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今あの時に戻ったら。③〜Toloveる〜

戻りたいシリーズ第3回。

内容は1回目と少し被るかもしれないが、それはさておき、私は常日頃から妄想をしている。よく妄想するシチュエーションがタイムリープモノであるのだが、詳しいことは第一回に記載しているので参考にしていただきたい。

ルールだけおさらいしておきます。

・歴史を変えてしまう言動はしない
・タイムリープしていると断定されるような発言をしない(仄めかす程度なら可)

今回も本当にちょっとしたことをやり直したい。

リープ先は小学校6年生。13年前だ。

私は大の漫画好きなのだが、ちょうど今回のリープ先の頃から少年漫画を読むようになった。
小4くらいからコロコロコミックを買っていたのだが、小5のときの担任の先生が

「漫画も歴とした本である」
という哲学を持った人で、学級文庫にスラムダンク を置いてくれていたのだ。そのおかげで私はコロコロコミックに連載されている漫画よりレベルの上がった作品に触れたくなり、小5の終わり頃にコロコロコミックを買うのをやめて、週刊少年ジャンプを買って読み始めたのだ。もちろんコロコロコミックも面白かったが、当時のジャンプは本当にすごかった。
ONE PIECE、NARUTO、BLEACHの三本柱を軸に、アイシールド21、家庭教師ヒットマンREBORN、銀魂、そしてもちろんこち亀と言ったとてつも無いラインナップだった。おまけに私が初めて買った号は、テニスの王子様が完結するという記念の号であった。
そして、知っている作品以外にどんな漫画が連載されているのかとパラパラめくっていた時に、衝撃が走ったのだ。


女の子が裸でキャーキャーしてる漫画がある、、、


これはなんだ?なんという漫画だ?
え?なんで?ジャンプってバトルとかギャグとかスポーツの熱いのしか載ってないんじゃ無いの?

そう思った。
しかしそんな疑念は一瞬で葬り去り、
その漫画から目が離せなくなった。
その作品とはそう、

"Toloveる"だ。


主人公結城リトを中心に、ある宇宙人のプリンセスが現れたことをきっかけに、その他の可愛い女の子たちとドタバタの日常を過ごすラブコメである。
醍醐味は何と言っても、1話に必ず1シーンはあるエッチな描写だ。
私はすぐに虜になったのだ。

作者は2人1組。長谷見先生という脚本の先生と、矢吹健太朗先生、通称"神"の作画担当に分かれている。

神に心を奪われて、当時の私は毎週月曜日を心待ちにしていた。

そして事件が起きたのは学年が上がった6年生の時。
当時のクラスには、私を含めジャンプを購読している奴が3人いた。それともう1人、読んでいるのか分からないが内容の要点は抑えてる情報通のやつがいた。

毎週ジャンプを買っているおかげで、
「今週のONE PIECEやばくない!?」
「砕蜂の卍解でたね!!」
というジャンプ読者あるあるの最先端の情報を発売日の次の日である火曜日に繰り広げていた。
実に平和なただの漫画愛に溢れた会話なのだが、購読しているうちの1人が、突如とんでもないことを言い出したのだ。



「もちろん、Toloveるは読んでねえよなぁ?」


私は冷や汗をかいた。
何故なら読んでいるから。
そして彼が放った言葉の真意も瞬時に理解できた。
と言うのも、6年生とは言え小学生。まだまだガキ真っ最中なので、あんなエッチな漫画を読んでいるという事実が知られれば、エロ男のレッテルを貼られ、バカにされ続ける。
冷や汗をかいたのは、私もそう感じていたからである。

バカにされることを回避するために彼は私にカマをかけたのだ。
あの一瞬は今でも覚えている。
頭の中でライアーゲームの曲が流れるほどの心理戦を繰り広げていたようにも感じる。

そして私は彼にこう言ったのだ。


「当たり前じゃーんw
読んでるわけねえよあんなのw」



矢吹先生ごめんなさい。自分の身を守るために私は大嘘をつきました。
最高の盛り上がりを見せていたONE PIECE、NARUTO、BLEACHを差し置いて、買ったら1番最初にToloveるを読んでいたのに。それほど大好きだったのに、読んでないと言ってしまいました。

冷静に考えて、あの会話をしてる時点でお互い最低1話は読んでいることが明白だがそれは置いといていいだろう。

後にもう1人のやつにも2人で確認を取ったが

「読んでない読んでないwあれ読んでたらヤバいww」
みたいなことを言ってた。
確信してたよ。こいつも愛読者だと。

しかしそこからは毎週Toloveるを読んでいないかの確認も義務付けられる地獄が始まったのだ。辛かったが、別に読んではいけないわけではなかったので、買ったら普通に真っ先に読んでいた。
単行本が出ても買っていた。ONE PIECEとBLEACHの間に挟んで、本屋のおっちゃんにエロい本を買ってると思われない様にしていた。万が一ばれても、

「いやいやwよく見てよおじさん!ジャンプの漫画だよ!」

と言えるような完璧な布陣を敷いていたのだ。
工夫するほど好きだった。
週刊で連載が終了した後は、月刊のジャンプスクエアに移り、より過激になったToloveるが始まりそっちももちろん全巻そろえた。お気に入りだ。

小学校卒業後は、中学に入って早々エロキャラが定着し、Toloveる好きを公言する友達にも出会い、隠すことは無くなったのだが、未だに嘘をついたことを引きずっている。

もし彼の問いの時に戻れたら私はこう言いたい。



「Toloveる?
え、めっちゃ読んでるけど。逆に読んでないの?あんなおもろいのに」


ぶっ放してやりたい。
守りに入るな。矢吹先生のように攻め続けろ。
恐れるな!
きっとあいつらもToloveるが大好きなんだから!!
ONE PIECEやNARUTOの話だけじゃなくて、Toloveるの話でも盛り上がりたかったよなぁ!!
今週の古手川エロかったよなぁ!!って
籾岡リサが推しキャラなんだって言いたかったよなぁ!!




まあ、


あの頃に戻れたら......




の話だけどね。



それではまた次回。

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