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最終的な訴求の形

大幸薬品のクレベリンについて、消費者庁とのバトルが繰り広げられていましたが、先日、ようやく決着しました。今回は最終的な訴求の形を意識することの重要性を書きます。

残念ながら、効果などに全く根拠のない製品も、世の中には出回っていますが、クレベリンは全く無根拠の製品ではありません。除菌効果に関する試験は行っているのです。しかし、その試験で出た結果以上のことを謳ってしまったため、消費者庁からNGを出されたのです。

試験の条件と結果は1対1

ある条件Aで行った試験で得られた結果aを、そのまま謳うことには何の問題もありません。それは根拠のある事実です。

しかし、確かめもせずに、異なる条件Bでの試験でも同じ結果aが出る、と謳ってしまったらダメです。確かめているわけではないので、根拠がないからです。同じ結果が出る可能性が高いとしても、確かめずに謳ったらアウトです。条件Bを持ち出すのであれば、それに対応した結果を出さないと謳えないのです。

今回のクレベリンの広告では、限られた実験空間の中で得られた結果を以て、一般的な生活空間の中でも同じ結果が得られる様に広告した事が問題なのです。

そのギャップを埋めるための打ち消し表示もされていましたが、その場所がまずかったのも、マイナスポイントだった様です。もっとも、場所が良かったとしても、あの打ち消し表示にどれだけの効果があったのかは分かりません。

どう訴求するかを考えておく

メーカーに勤務していた頃に、一歩間違えるとこの様になりかねない事態はよくありました。データに基づく広告に関する相談をマーケティング部門などから受けたのですが、ほとんどの場合、「ある調査でaと言う結果が得られたが、そこからbと言えないか?」と言う内容で、NGとせざるを得ませんでした。

こう言う相談を受けた時には「調査内容を決める時に相談して欲しい」と返答することが多かったです。ごくごく当たり前のことなのですが、「何を謳いたいか?」と調査内容がリンクしていないと、クレベリンと同じことになってしまうのです。

これは調査データに基づいた訴求だけでなく、製品のコンセプトを表現する場合などにも当てはまります。製品を作るにあたっては、何の制限もなく自由に考えて、何の問題もありません。しかし、広告物にする場合には薬機法などの表現のルールがかかってきます。何も考えずにコンセプトを作ってしまうと、広告として何も謳えないと言うことも起こり得るのです。

薬機法も意識したコンセプト作り

同じメーカーで、新製品のコンセプト作りに関わる機会がありました。企画担当者が薬機法などに気を配れる、仕事のできる人だったので、コンセプト作りの段階から、同時に薬機法のチェックなども行いたい、と言う依頼を受けました。

そのコンセプト資料は、薬機法的にはNG表現のオンパレードだったのですが、また製品になる前の段階なので、何ら問題はないわけです。コンセプトを変えることもでき、コンセプトを薬機法で謳える内容に落とし込むこともできました。

それまでは、薬機法担当者としての仕事は、出来上がった物をチェックするだけがほとんどでした。ですので、出来上がりの訴求まで、薬機法をイメージして仕事することの重要性を学べた良い機会でした。

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