ディープアクティング
先日、新卒向け研修で役員講話を担当、せっかくなので彼女彼らの興味を惹きそうないくつかのトピックを選んで話をしました。
どれが印象に残ったかをアンケ―トで回答してもらったところ、圧倒的に「ディープアクティング」が多かったのに驚きました。
アンケートでは、
「私はちょっとしたことで腹を立ててしまうのですが、今日の海渡さんの話を聞いて、そういうときはディープアクティングを試してみようと思いました」
「これから上司から理不尽なことを言われることもあると思うのですが(実はすでに・・・)、なぜそういうことを言うんだろうと知的に対処していけばいいんだという気づきになりました」
といったコメントがあり、役に立てたようで嬉しい。
職場ではいろんな上司がいて理解不能な指示を受けたり、自分なりの努力が認められずに理不尽な扱いを受けたり、競争的な同僚や部下がマウントをとってきたり、とストレスが渦巻いています。
そこでいちばんやってはいけないのが、
・ブチ切れる→自分にも職場にもメリットはひとつもない
・ガマンする→鬱になる
・表面上を取り繕う(作り笑いや平然を装う)→壊れる
の3つの対応。
特に要注意が最後の「取り繕う」です。これは「デーィプアクティング」の対極にある「サーフィスアクティング」という対応ですが、嫌いな人への嫌悪感や理不尽さに伴う気持ち悪さを抱えながらも、その感情とは離れた表情や発言をすることで高い確率で精神状態が悪くなります。
これらはまるで「自分の感情を操作するという業務」のようです。そこに対価など発生しないし、いたずらに心がすり減ってしまうだけではないでしょうか。
これに対し「ディープアクティング」では、理不尽さに対していったん自分を”幽体離脱”させて客観的に状況を観察します。なぜあの人は私を無視しているのか、なぜあの上司は必要以上に興奮して叱責しているのか、なぜ私の査定は自分の予想とギャップがあるのか・・・これらについて感情的になるまえに「なぜなぜ分析」をする癖をつける。
こうすることで考え方も行動もナチュラルになりメンタル安定に効くし、本当の意味での笑顔で日々を過ごせるのではと思います。
ちなみに語源は演技(アクティング)。演じる配役が表層的だとヘボになってしまいますが、心から感情移入して演技をすればどんな役であっても自分自身が気持ちがいい、ということのようです。