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たわいもないこと

小学校に上がる前からひとり遊びが得意でした。得意と言うよりそれしかなかったような記憶があります。なんとなく季節が巡っていくことを覚えながら、家の中で工作をしたりしながらただひたすらに家族が揃う夜が来るのを楽しみにしていたように思います。

夜になると母の声が部屋に響き、温かな御飯作りの音が聞こえ始めて家の中がパッと明るくなるような気がしました。何していたの?と聴かれても毎日同じことの繰り返しで特に変化もないのですが、ひとりで作った工作を見てもらったりテレビで観たことを話していたように思います。

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私はいつしか空を見上げることもなくなり、なんの夢もないことや洗い流したくても落とせない汚れを隠すように生きてきたように思います。憂いや弱さを誰かに悟られるのは最後の砦を失うようで恐怖でしかありませんでした。そんな自分のことは相変わらずあまり好きにはなれないけれど、私の目に見える景色は少しずつ鮮やかな色彩に変わってきたように思います。

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子供の頃の思い出したい記憶だけを辿っては懐かしく感じています。人が決めた「こうあるべき」という狭い価値基準は、跳ね返せる人以外は、人を追いやり傷つけるものと私は感じています。そこに当てはまらないことで自分を認められなくなる、苦しまなくていいことに苦しむから。失った時間は長かったかも知れないけれど過去は記憶でしか無くて、未来は作ることができると思いながら前向きに過ごしていきたいです。

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