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キリンチャレンジカップ 日本代表―ブラジル代表

2022年6月6日7:20p.m. @国立競技場 ●0-1(前半0-0)

【得点】(ブラジル)77分 ネイマール=PK

タイトルのかからない試合でブラジルがどの程度本気でプレーするのかに注目した。積極的にゲームを進めるブラジルに得点シーンが生まれそうで、目が離せない立ち上がり。日本も右サイドのFW伊東(ゲンク)のプレーが光り、対抗していけそうだった。しかし、ブラジルの選手がボールを持つと、何をするのかワクワクするのに、日本の選手がボールを持つと、ハラハラする。この差はどこからくるのか。

攻撃においてブラジルの選手がボールを持つと、まるで手で扱っているかのよう。ボールを通して、選手同士がお話をしているみたいだった。ボールを動かしながら、「どこから攻めようか」「どこでスピードを上げようか」と。パスが出せて、ドリブルもできるような、良いボールの持ち方ができることがスタンダード(普通)で、それによって選択肢が増え、スピード調整ができるから、見ていてワクワクする。

守るレベルの差も見逃せない。日本にボールを持たせながら、パスを出したくなるようなところには目を光らせておき、そこでインターセプトができれば、一気に速攻を仕掛ける。実に巧みだ。動き出しの走力も素晴らしかった。攻、走、守、どれを取っても一級品だ。間違いなく11月に開幕するカタールW杯の主役になるだろう。

さて、我が日本代表はどうか。人数をかけた守りをすれば、失点を防げることは証明したが、選手個々のレベルを上げることはできない。左右のスピードあるアタッカーがチャンスを作ったように感じるが、グループとしての機能はほとんどない。

霧雨の降る国立競技場で、私はなぜブラジルにできて、日本にできないのかを考えていた。会場には、多くのサッカー関係者が観戦していたが、ブラジルのすごさに圧倒されて、思考停止に陥らないことを望む。

日本は何が足りない? できるプレーの選択肢が多いブラジルと、一つ二つしかない日本。だとすれば、次に打つべきは? 正しく議論して強化を進めても、数十年はかかるだろう。何もしなければ当然変わらない。単にブラジルに憧れる時代は終わりにしたいと本気で思う人が増えなければ、差は埋まらない。森保監督に聞いてみたい。終了間際のMF柴崎(レガネス)投入には、あきれた。あなたは、ホームゲームで勝ちたくないのですか。0―1というスコアは、両国の歴然とした実力差を覆い隠し、議論を小さくしてしまうのが残念だ。

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