職人気質なネイリストの話
雇い止め通告のあと、気分転換のために通い始めた近所のリーズナブルなネイルショップ。
そこで出会ったネイリストの彼女とは早いものでなんだかんだと1年ほどの付き合いとなった。
その彼女が、知り合いのカフェの一部を間借りをして自分の店を構えた。
いずれは…と考えていたそうだが、いろいろなタイミングが合ったので、思い切ったそうだ。
先日、その彼女のお店へ行ってきた。
この1年の付き合いで、私の好みをすっかり把握した彼女は、私が好きそうで、似合いそうな色を用意して、待っていてくれた。
相変わらずの丁寧な仕事ぶりで、おしゃべりにも花が咲き、楽しい時間を過ごしている途中、ふと、思い出したことを聞いてみた。
彼女が働いていた店は、時間が短くてリーズナブルが売りだった。でも、彼女は仕事が丁寧なだけに前のお客さんが時間通りに終わらず、予約時間に行っても待つことが多かった。
逆に、私に時間がかかりすぎて、次のお客さんに頭を下げている姿を何度も見ている。
だから、お店でよく思われていなかったのではと、余計なお世話と思いつつも、気になっていたのだ。
そうしたら、彼女はこんなことを言った。
「最初は気にしてましたけど、途中から納得いく仕上がりにする方を優先しましたから。」
あっけらかんとそう言い放つ彼女は、かなりの職人気質なのだろう。だから、独立してやっていく方が彼女に合っているはずだ。
そして、そんな彼女にネイルをしてもらいたくて、担当していたお客さんの多くが来てくれているらしい。
以前の店にしてみれば大きな打撃だけど、これは彼女の職人気質な仕事が招いた結果だから仕方がない。
なんといっても、私もそのうちのひとりなのだし。
来月はどんなネイルをしてくれるのか、彼女の職人仕事が楽しみだ。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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