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ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり

延期されてたアーティゾン美術館での鴻池朋子さんの新作個展を見て来た。思えば、ショートムービー発掘サイトの審査員をやっていただいたご縁で親しくなり、展示会のたびに鹿児島から秋田、能登、瀬戸内大島、タスマニアまで追っかけて記録係のようなものをやってきた。金沢21世紀美術館の茶室で、正客に「オオカミ」を迎える、という今考えても斬新なお茶会や、遭難しそうな雪山の中での茶会とか、私がヘンなお茶会をやるようになったキッカケも鴻池さんのおかげだ。

今回の旧ブリジストン美術館での展示は、新作なんだけどその軌跡みたいな要素があり、なんだか自分の別の人生を振り返るようでもあり、ちょっと感動的でもあった。

滑り台へと至るスロープは、まるで秋田の森吉山で雪を掻き分けながら、または瀬戸内芸術祭の大島でジャングルのような薮道を漕ぎながら、迷いながら進んで行った「リングワンデルング」のよう。それは3.11の震災後に試行錯誤しながら進んで行った鴻池さんの軌跡にもつながる。森吉山や阿仁川、瀬戸内の海で歌う鴻池さんの映像と相まって、これまでの自分の体験も蘇ってくる。

動画は撮影禁止なのでぜひ会場で体験いただきたいのだが、雪山の風の音や都会の自然の音など、サウンドスケープも練られていて、目だけではなく場の力も語りかけてくる。

スケールは大きいんだけど、細部にわたり命みたいなものが満ちているので、何度も足を運んでみたい展示会になっています。10月25日まで。

#アーティゾン美術館 #鴻池朋子 #日曜美術館 #ちゅうがえり

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