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ライナーノーツ「同名異作詩空間」下書き

3rd album
同名異作詩空間/第一集
発売日未定

1.歌になんかならないで
2.どうせ、未来は暗くない
3.コンビニ
4.シンガーソングライターの彼氏として
5.家庭教師
6.しばしの別れ
7.新しい
8.スリープレスベイビー



 令和3年5月にセカンドアルバム「循環する生命のフォークロア」をリリースしてから、7月くらいからコンピレーションブック、「この変な世界図」を作り始めた。COVID-19の初期は割とちゃんと自粛していたのだが、セカンドを出した頃にはもうかなりライブは増えていて、某氏が脳出血した関係で暫く制限していた間以外はたくさんライブをやっていた。アルバム2枚分の曲、あわせて25曲はライブでとても消化しきれなかった。今でも消化しきれていない。

 昔から一つの名義で2タイトルくらい制作すると、曲を消化しきれなくなる。一回のライブの演奏時間は30分くらいなので、そりゃそういうもんだろうなと思っている。みんなどう折り合いをつけているのだろう。2タイトルくらいリリースするとそこから作るペースが落ちる。KlagenicoleもMice Wet ShoesもKlagitzも概ね2タイトルで止まっている。実のところ音楽は作るより演奏する方が多分好きなので、ライブでそれらの曲を演奏する方にエネルギーを取られるのだと思う。笹口騒音さんみたいに制作ペースが落ちない人もいて凄いと思うのだが自分にはとてもできなくて尊敬する。

 令和4年に思ったことは、曲を作るキャパシティがなくなったなら詩だけ書けばいいじゃない、ということだった。詩があればだいたい無理やりにでも曲はできる事は経験的にわかっていた。そこで、何人か募集をかけて即席の詩作サークルを作り、週替わりに締め切りを設けて七人同じタイトルで七週順番に詩を書いて行こう、というのが企画者としてのコンセプトだった。集まったのは、田中事件、ドイサイエンス清田さん、たまきうさこ、ニシジマオさん、海雪くん、タローキジウマ、林田拓也さんの七人。海雪くん以外は、「世界図」企画の参加者だったが、実は海雪くんも世界図の企画段階では参加希望の連絡をもらっていて、締め切りの関係でやむなく辞退となっていたので、ここで改めて参加してくれたのは嬉しかった。

 
 月並みながら詩を書くのは面白い。表現するなんて言わなくて良い。「書く」で十分だ。推敲は必要だが、出版するまで、リリースするまでは書き直せる。たくさん書き直したらいいと思う。一つのタイトルを複数人で共有するのは面白い試みだった。「タイトルを共有すること」がこの企画の一番の独自性と考えている。「テーマを共有すること」とは似て非なる。「シンガーソングライターの彼氏として」なんてタイトルを指定されたら、そんな経験はないので、フィクションで書かざるを得ない。それも面白かった。この企画では、詩を作るために作っている。もちろん嫌々じゃなくて楽しみながらやっているが、締め切りが存在する事によってたまに生じるやっつけ仕事が、逆に面白い結果に繋がる事もあると思う。

 作るために作った結果、これまで歌として作って来たものとは少し傾向の異なるものになった。「誰が歌いたい歌なんだこれ?」っていう感じがある。しかし自分の歌なのだ。その乖離した感じがまた、少し面白い。しかしその乖離ゆえに違和感はあり、だから、曲をつけるのに時間がかかった。感情移入しにくいものにはあんまり曲をつけにくい。それで約1年かかった。そろそろ一応、第一期の同名異作詩空間をアルバムにしてみる。それが終わったら、また第二期の同名異作詩空間を始めたいと思う。

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