エビデンスの検索手法に関するメモ

 4月から大学2年生になり、研究室に配属されました。今年度の研究テーマも決まり、既に論文を読み漁る日々が続いています。僕は高3から日本語競技ディベートをやっていたため、論文検索は結構得意だったりするのですが、最近折に触れて論文検索技術を学ぶ機会があり、ふと、「これ高校時代に検索技術として学んでおけば良かったなぁ」と思ったため、今回は「論題関係のエビデンスの見つけ方」について、自分の今までの検索方法も含めて記事にしてみようと思います。

*今回は例示として、一院制論題を使ってみます。

1.Google[ https://www.google.co.jp ]

…基本ですね。googleで「一院制」と検索すると139,000件の結果が出てきます。この中には質もオーソリティーも不明なものがかなりあるでしょうから、更にここから絞っていきます。当然、「一院制 ねじれ国会」などのようにワードを足していく手もありますが、例えば「一院制 filetype:pdf」と検索することで、pdfファイルだけを検索することができます。この条件だと6,940件まで減りましたし、幾らか探しやすそうです。

 これ以外にも、

・ "一院制" →""で括ることで完全一致のキーワードのみに絞ります。「一院」や「院制」のみの結果は出ません。

・ -ディベート →-を付けることで、そのワードが含まれた資料を除外する。「"一院制" -ディベート」の場合、一院制というワードを含み、ディベートというワードを含まないものに絞られるため、例えばこれだとJDAの決勝トランスクリプトなどが表示されなくなります。

・ 高負担高福祉の*では1970年代に両院制から一院制に移行した。 →不明確な部分を*で埋めることで、ワイルドカード検索が行えます。

 などのテクニックがあります。

2.Google Scholar[ https://scholar.google.co.jp ]

…論文検索が簡単に行えます。一院制と入れると767件出てきますね。検索画面左側の「引用部分を含める」のチェックを除外するとよいです。ページ右側に[PDF]と書かれたリンクが出てきますので、そこを押すと論文がDLできます。

 また、googleにログインすることで、気になった論文を「マイ ライブラリ」に保存することができます。検索結果の下に出てくる☆マークを押すことで登録できるため、「後で読む」や「重要資料」のメモとして役に立つかもしれません。

3.Webcat Plus[ http://webcatplus.nii.ac.jp ]

…キーワードから連想される本をサジェストしてくれるシステムです。一院制と入れるだけで1,524,964件も出てくるため、更に連想を深めて絞るとよいでしょう。出てきた書名をメモし、図書館などで探してみましょう。ちなみに、Webcat Plusには本棚機能があり、気になった本をまとめることもできます。ただし保存は現在のところできなさそうなので、実用性は高くなさそうですが…

4.CiNii Articles[ https://ci.nii.ac.jp ]

…日本の論文検索サイトですね。一院制と入れると29件出てきます。しかし、論文検索をするよりは著者検索をしたほうが有益ではないかと考えていて、例えば、一院制と入れて上位に出てくる論文の作者である「小堀眞裕」を再度検索すると、小堀さんが今まで書いた論文が出てきます。「一院制」というワード自体を使っていなくても、『国会の機能不全を深刻化させる比例定数削減の愚 : 民主主義の「閉塞」打破に何が必要か : 小堀眞裕さん(立命館大学教授)に聞く (2012)』など、もしかしたら援用できるかもしれないような論文が見つかったりします。余談ですが、小堀さんのエビデンスは国民投票で使ったので、検索で見た時に「あ!」と思いました。ディベートあるある。

 ちなみに検索結果のうち、「機関リポジトリ」とタグが付いているものは、そこにアクセスすることでDLすることが可能です。

5.OPAC[ https://opac.library.osaka-u.ac.jp/opac/opac_search/ など]

…OPACとは(主に大学の)オンライン蔵書検索サービスのことです。例として阪大のものをあげますが、ここに打ち込むことで、当該大学にどんな本が所蔵されているかを確認することができます。僕は高校時代、東大のOPACで検索して、本郷の図書館に取りに行きました。大学図書館は簡単な手続きをすれば一般人でも入れることが多く、例えば阪大豊中キャンパスなら身分証の提示のみで基本的に蔵書を見ることができます。大学図書館は学術書が多く非常に参考になるため、チャレンジしてみるのも手かもしれません。

6.その他

CiNiiの類似サイトとして、科学技術振興機構(JST)運営の J-STAGE[ https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/ ]があります。

また、機関レポジトリ(各大学の論文などが管理されています)を横断検索できるJAIRO[ http://jairo.nii.ac.jp ]も便利です。

7.PDFの管理(次回予告)

…このような手段を使って資料を集めると、大量のPDFを管理する必要が出てきます。そして、チーム間での共有も必要です。結構論文のPDFってタイトルが数字の羅列だったり、著者名や論文名、出典が分かりにくかったりするため、1回エビデンスとして抜いた後、「ほかの部分を抜きたい」と思って当該ファイルを探すと、見つけるのに時間がかかったりするんですね。

 そこで、次回はこうしたPDF群の管理について、自分が使っているEvernoteとEndnoteというサービスについて、それぞれ比較しながら説明していきます。皆さんが資料を探す際の参考になれば幸いです。





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