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日本海①

 蒲生俊敬著『日本海』(ブルーバックス)を今読んでいます。太平洋側に住んでいる私たちにとって、日本海は近いようで遠い存在、そんなふうに思っていました。冬の荒れた日本海の波しぶき、淀んだ灰色の雲、そんな風景だけを思い浮かべてしまう、なんか暗いイメージの方が強い気がします。

 しかし、食べ物でイメージするとカニであったり、ホタテ、そしてホタルイカやブリ、日本ならではの食材が次々と浮き上がってきます。

 そんな日本海ですが、じっくりと日本海とはどうゆう所なのかを考えたことはありませんでした。この本を読んでみて、なるほどというところがたくさんでてきそうです。

 まずは、地理のおさらいです。

 日本海は、アジア大陸と日本列島に囲まれた地域です。ロシア、北朝鮮、韓国、中国、そして日本が隣接しています。

 『理科年表』によりますと、平均水深は1667メートル、最深部の深さは3796メートルで、富士山がすっぽり入ってしまう深さのところがあります。全海洋の平均水深は、約3800メートルですから、他の海と比べると水深はそれほど深くはありません。全海洋の体積と比較すると日本海の体積は、0.13パーセントで、海としてはかなり小さな海です。

 しかし、今、この日本海が、科学的に世界各国の注目を集めているのだそうです。日本海の特徴をつかむと注目を集めている理由がわかるかもしれません。

 その理由に進む前に、もう一度、地理のお勉強に戻りましょう。

 大洋(太平洋とか大西洋のような大きな海)との接点である海峡は、北から間宮海峡、宗谷海峡、津軽海峡、そして、対馬海峡の4つがあります。さて、これらの海峡の深さですが、間宮海峡が10メートル、宗谷海峡が50メートル、津軽海峡が130メートル、最後の対馬海峡が130メートルと、日本海の平均水深にくらべ、かなり浅くなっています。

 つまり、日本海はある程度の深さを持っているにもかかわらず、外海との接点である海峡が浅いため、海水の出入りが非常に少ないという特徴があります。そのため、潮の満ち引きが、太平洋側と比べるとかなり小さいそうです。

 海水の出入りが少ないということは、他の海の影響を受けにくいということでもあります。日本海は、ちょうど風呂桶のような構造をしていて、日本海だけで海洋システムが完結した独立した海のようです。

 これが、注目を集める一つの理由なのですが、海の構造についてもう少し勉強してから注目を集める理由を考えたいと思います。



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