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透明であること(1)

 私たちが目で見ているもののほとんどに色が着いています。昨日買った通勤用のバックは、紺ですし、通勤中に読むKindleのカバーは黒い色をしています。日比谷線のカラーはシルバーで、朝飯を食べるために寄った牛丼屋の看板はオレンジでした。ただし、それ自体が光っている物以外は、蛍光灯や太陽といった光源がないと色として認識することはできません。

 このように、私たちは、光源から放たれた光がものにあたって、そのものが反射した光を目で見て脳で色を判断しています。ただし、一度見たことのある風景は、脳が以前に記憶した風景と重ねて必要な部分だけを認知するので、正確に風景や色をすべて再現して見ているわけではないようです(この辺の話はまた別の機会に書いてみたいと思っています)。

 可視光(人間に見える光)を全て反射しているものは、白く見えます。例えば紙や「光沢とは何を見ているのだろう?(2)」で書いたシルバーも輝いている部分を除けば白く見えてるはずです。

 また、全ての可視光を吸収して反射も透過もしないものは黒く見えます。日傘など陽射しを遮るものに黒いものが多いのは、紫外線を含めた太陽光を吸収して通さないためです。しかし、これはあくまでも光のはなしで、日傘に吸収された光は熱に代わり、その熱は赤外線となって大気中に放射されます。そのため、歩いていれば風が入ってくるので、そんなに暑くはなりませんが、留まって移動しないでいると日傘の内部は気温よりも高くなり暑さが倍増してしまいます。実は、紫外線防止した白いものの方が涼しく、日焼けもしません。

 そして、全ての可視光を吸収して透過するものが透明に見えます。透明の代表例は、空気ですよね。透明でまったく見ることができません。そして、水。ただし、水の場合、不純物が入っていれば色が着きますし、透明のままでも表面の波で反射して金属光沢のように輝いて見えることもあります。

 以外と思われるかもしれませんが、白い花も実は透明です。白い花の場合、花びらの内部に含まれている気泡が乱反射して白く見えています。従って、指で花をぎゅっとつぶすと気泡が逃げて白い花が透明になります。ただ、白い花の場合、紫外線領域を反射する色素を持っているので、紫外線を見ることができる昆虫には我々が見ることができない色が見えてるはずです。

 さて、どんな物が透明になるのでしょうか?透明になる条件は、先ほど書いた通り、光をいったん吸収し、透過するものです。では、どんな構造のものがこうなるのでしょうか?そのへんを次回書いてみようと思います。

参考までに

  光沢とは何を見ているのだろう?(1)

  光沢とは何を見ているのだろう?(2)



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