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光沢とは何を見ているのだろう?(1)

 オリンピックのメダルの色として誰もが知っている金、銀、銅。材質の名前でもありますが、なんと言ってもその輝きが魅力なのでしょう。みなさんは、ゴールド色と黄色、シルバー色とねずみ色の違いはなんだと思われますか? そう光沢があるかないかの違いです。いわゆる金属光沢といわれているものが、同じ色合いなのに両者を分けています。さて、この金属光沢とはどういったものなのでしょうか?今回は、そんな金属光沢の話です。

 光沢のことをツヤということがあります。ツヤからイメージするとつるつるの平面を表面に作ると光沢がでるように思えます。実際、家庭のフローリングにツヤだしをするには、テカテカ光る透明のツヤ出し材をフローリングの表面に塗る方法が採られています。つまり表面を平滑にすることでツヤが出るというしくみです。そして、塗装された表面で照明などの光を反射する現象が光沢なのだとわかります。

 しかし、金、銀といった金属の光沢とフローリングのツヤではその光の反射度合いが違って見えます。フローリングのツヤの場合は、なんとなくボヤッとした光っているのに対して、金とか銀の光はキラッと輝いています。フローリングのツヤは、わずかに光を反射している程度なのに対して、金属光沢は、光をほぼ100%反射することで輝いて見えるのです。

 では、どんなしくみでほぼ100%光を反射しているのでしょうか?

 「化合物は日常で日々作られているけど、元素は簡単には作られない。(1)」で、原子は、原子核と電子で構成されていることを書きました。ちなみに、銀の原子番号は47なので、47個の陽子と47個の電子を持っています。

 電子は、決まった場所しか入られません。エネルギーがもっとも低い場所から対になって電子が埋まっています。

 図のように、電子が入られる場所は、飛び飛びとなっていて連続していません。それぞれの居場所から上にある違う居場所に移るためには最低限必要なエネルギーが必要で、そのエネルギーは滅多なことでは手に入れることができません。内部の居場所は全て埋まっていて、電子は簡単には動けません。唯一動けるのが居場所に空きのある最外殻の居場所(図では、上から二番目の「電子に余裕がる場所」です)にいる電子です。銀の場合、原子ごとに最外殻の居場所には一個の電子がいます。

 さて、金や銀などの金属は、小さな原子が天文学的な数(銀約100グラム中に10の23乗個程度)集まって結晶を作っています。そして、先ほど説明した最外殻にいる電子が結晶内を自由に動ける状態になっています。この自由に動ける電子のことを自由電子といいます。そのままですね(笑)。

 図にしますと、全然原子の数が少ないのですが、こんな感じになります。水色の部分を自由電子が動き回っているイメージです。この自由電子が金属光沢と深く関わっています。っていうか、この自由電子の動きが金属光沢を作っています。次回は、その辺の話をしようと思います。

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