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化合物は日常で日々作られているけど、元素は簡単には作られない。(1)

 「我々ヒトは、非常に特殊な環境化で生まれた?」で書きたかったことは、地球上では、日々植物によって化学反応で化合物が作られているけど、その元である元素は簡単には作り出せないし、宇宙においても簡単には作られていないということです。科学者じゃないので、正確ではないですが、だいたい合っていると思っています。太陽に関する記述は、Wikipedia を参考に記載しています。くわしく知りたい方はそちらをご覧下さい。
 昔、元素という言葉は、これ以上分解できないものの意味で使われていました。ところが、科学の進歩で、じつはもっと細かく分解できることがわかってきた。21世紀を迎えている現在では、非常に細かく分けることができるのですが、科学者でも何でもない私程度だと、原子が原子核と電子でできていて、原子核は陽子と中性子の組み合わせでできていることだけわかっていれば、大概のことは理解できます。

 陽子はプラスの電荷を持ちますが中性子は電荷を持ちません。また、電子はマイナスの電荷を持っています。元素とは、この陽子と中性子と電子の数の違いで分類されています。例えば、水素(H)という元素は、陽子1つと電子1つでできています。普通、地球上では1つの原子では安定しないため、原子二つがくっついて水素分子(H2)の形で存在しています。図は、ヘリウムという元素の構造図です。ヘリウムは、陽子と中性子が二つづつ、そして電子が2つです。このように、陽子の数で元素の名前が決まっています。酸素は、陽子が8個、炭素は、陽子が6個、窒素は、陽子が7個です。
 つまり、元素は、陽子や中性子、そして電子の数が違いますが、まったく同じものでできているのです。鉄も水も人間の身体も、空気もすべて陽子と中性子と電子でできているといえるわけです。しかし、陽子数の多い元素を作るのは、大変難しい。恐ろしくたくさんのエネルギーが必要となります。

 太陽の中心部、半径10万Km(太陽の半径の1/5)の部分では、太陽の質量の50%が凝縮されていて、非常に密度の高い状態になっています。密度が高いということは、エネルギーが高いということにもなります。80度のお湯だと我々は火傷してしまいますが、80度のサウナでは息苦しくこそなりますが火傷はしません。これは、お湯が液体という密度が高い状態なのに対し、サウナでは気体という液体よりは密度の低い水蒸気の状態にあるため、直接我々に触れる水分子が少なく、火傷になるほどの熱が私たちに伝わらないからです。このように密度が高いほどエネルギーは高くなります。

 太陽の中心部では、エネルギーが高いため、陽子と中性子、そして電子がバラバラな状態(プラズマ)になり、それぞれがぶつかり合い、地球上では考えられないほど多くのヘリウム原子が作られています。この反応を原子核が融合するので、核融合反応といいます(原子力発電所では、この反対の原子核が分裂する反応、核分裂反応を利用しています。こちらは、地球内部でも自然に起きている現象ですがコントロールすることは非常に難しい反応です)。

 そして、陽子と中性子、電子がくっついてヘリウムになるときに莫大なエネルギーが発生します。そのエネルギーは、太陽の中で様々な部分にぶつかり、数十万年かけて太陽の外側へ向かい、最終的には光となって宇宙に放出されます。そして、その光が日々我々の住む地球に届いているのです。

 ここで重要なのは、太陽は、核融合反応のエネルギーが太陽の外に出るまでに数十万年かかるという地球とは全然違う環境にあるということ。そんな場所じゃないと、水素からヘリウムが作られないということです。地球とは違って、太陽は非常にエネルギーが高い状態にあるということです。もちろん、人間など住むことはできません。
 「我々ヒトは、非常に特殊な環境化で生まれた?」で宇宙に存在する元素の96%が水素とヘリウムであり、そのほとんどがビッグバンで作られたと書きました。ビックバンは宇宙の創生期の出来事で、約137億年前に起きたことといわれています。また、このビックバンは想像もつかないほど密度が高く、エネルギーが高かった状態です。そういった状態で、水素とヘリウムが作られたのです。宇宙は、ずっと膨張しつづけているので、宇宙全体の密度は非常に薄くなっています。そして、137億年経った今までに水素とヘリウムの量はわずかしか増えていないということです。
 このように元素は宇宙において簡単には作られないのです。
 次は、地球で自然に起きている化学反応について書きます。

つづく

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