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penny arcadeと主にあのころの話 by 小出亜佐子

KKV Neighborhood #188 Column - 2023.10.13
penny arcadeと主にあのころの話 by 小出亜佐子

Penny Arcadeによる1989年のアルバム『A GIRL FROM PENNY ARCADE』が、10/13にKiliKiliVillaよりカセットテープでリリースされる。

……ということで、2016年3月にCD再発されたときのライナーノーツが、今回のカセットにも無事採用されました(パチパチ)!!
あれは自分も数十年ぶりの復帰作でしたし、後の拙著一冊を凝縮したかのような、下手くそのくせに勢いと熱さだけはなんか伝わってくる、おそろしくも濃~~~い内容となっております。
それなのに?ここでまたペニーことpenny arcadeについて書かせていただくこととなり、ありがたくも恐縮です。しばしおつきあいお願いいたします。

当時は音楽ファンも洋楽派、邦楽派?みたいにわかれてました。Jポップなんて言葉もなかったですし。ペニーのライブに行くようになると、洋楽友達からは「日本のバンド聴くんだ?」みたいに言われることもあるくらい。日本のバンドと言っても、もちろんテレビに出るようなメジャーバンドでもなく、雑誌(ロッキンF?プレイヤー?音楽専科?たまにロッキンオン?シティロード??)に載ってるような有名メジャーやインディーズのバンドとも違う。ペニーって当時雑誌載ったことありましたっけ?Dollとか??レコード評くらいは載ったのかな?……ってくらいだったのでは。

洋楽リスナーの中でもまだまだアメリカが主流だったので、それよりもイギリス、そのうえUKインディーチャートに入るようなバンド……となると、とてもとってもニッチだったのです。その狭い狭い中で、ネオ・アコースティック(ネオアコという四文字はまだない)、ネオサイケ、ダークサイケ、エレポップ、ネオモッズ……などと細分化している場合ではなかったのです。

「英国音楽」第9号にペニーのことを「私たちはずっと、こんなバンドを待っていた」と書いています。なんだか気恥ずかしい言い方だし、もっと洒落た言い方はなかったのか?としばしば思って来ましたが、約35年後の現在、冷静に分析しても結局そういうことだたんだ、という結論に落ち着きます。

2016年3月のKiliKiliVillaインタビュー(リンク以下参照)を見てもよくわかるのですが、佐鳥さんも石田さんも、当時のいわゆる東京のインディーズ・バンドとゆるく繋がりつつも、音楽的な視線は完全に独自のところにあったのがよくわかります。おそらく、ペニーのようなバンドを目指していた人は他にもいたんでしょうけれど、当時の環境など条件も今と違うので、夢は見ても実現は出来なかった。それをラッキーにもペニーは軽々と乗り越えた。結果、80年代にUKバンドのレコードを熱心に追ってきた、KiliKiliVilla与田さんやわたしたちのようなリスナーが夢見たようなサウンドを鳴らしていたのが、このペニー・アーケードだったのです。当時いわゆる「日本のバンド」をほとんど聴かずにイギリス命!だった人々が一回触れたら、目の前の世界がわあ~っと開かれるような。そんな存在だったのです。

大変レアなお写真らしい


写真自分で録ったのでしょうか

ぺんたのオーディションの話にしても、技術的にすごいバンドはいくらでもあったのでしょうけど、そもそもの応募の話からしても、要所要所でこのバンドは推したい!という人がいたからこそ(その名を見るとそうなんだろうと勝手に想像しています)、シングル録音の権利も手に入れたんでしょう。ただそのセンスをわかってくれる人の絶対数は多くはなかったし、世の中はイカ天ブームだし、20代後半は悩ましい年ごろだったこともあって(数年でまた状況が変わってくるのですが)、ある意味知る人ぞ知る存在のまま、1989年このカセット発売時のライブで解散したのでした。

自分の記憶がまったく信用ならないため、当時の資料を基に記しました拙著『ミニコミ「英国音楽」とあのころの話』第8章、242頁を開いて今まさに事実確認をしております。宣伝スミマセン。ペニー佐鳥さん~石田さん~EBさん~マユミさん~ロリポップ・ソニック等々のみなさまとの出会いなど詳しいです……。

そしてなんと。この本の第10章に1992年のペニー復活についても書いてありました。「Happy Extreme通信」という自分の手書きペーパーの第三号で再結成インタビューもしています。ココでも「ペニーはネオアコともちがう」「他にお友達がいないからつるんでただけ(笑)」「el が絡んできて日本のネオアコ事情は(Jazzる心がはいるように)そうなった」などの発言が印象的かつ、現在も一貫したものを感じます。

続きは拙著で(笑)


解散ライブチラシ


情報量多い

昔のことばかり書いてきましたが、紆余曲折あったでしょうけれど、ペニーの主要メンバーはいまも音楽を続けています。それぞれいろんな形で末永くやってるので、完全網羅できなくてゴメンナサイ。自分の分かる範囲で、ペニー・アーケード名義でやったライブを追ってみます。抜けているのがありましたらお気軽にご指摘ください。情報提供歓迎です。

以下は、2016年3月掲載インタビュー。アルバムCD再再発記念。

KKV Calling vol.1『Penny Arcade再結成記念ネオアコ特集』前半(ラジオ)

2017/2/25 にはペニー企画ライブ!
奇跡的なあのころ同窓会。「out of the blue」というのは、本来ここに参加してしかるべきROOFのアルバムタイトルですね。
これに触発されてbridgeも奇跡の再結成。

Penny Arcade “out of the blue”

Penny Arcade “out of the blue”  at 下北沢 club Que
出演:
Penny Arcade
Debonaire
Phillips
DJ Ikuhiro Susukita
(with bridge and Keigo Oyamada as secret guests)

このあとまたしばしブランクあるのかな
venus peterの何度目かの再結成あったり
さとりさんがsmokebeesの前座でsmokebirdsやったり 
そして世の中はコロナ禍へ。

しかしその間にさとりさんはコツコツとギターの練習を始めていた。

2023/2/23 七針でのmelody cat vol.5にて、tori-maとして弾き語りデビュー!ペニーのメンバーも見守る中 a boy from penny arcadeなどなど披露したのです。すごくないですか。素敵おねえさま。

そうこうするうち、小山田くんとvenus peter 沖野くんがやっていたVelludoの一夜限りの再結成が決まり、そこにペニーも出ることに!今度のサイドギターはさとりさん。上に上げたエーコク記事写真でお気づきかもしれませんが、そういえば、さとりさんはサイドギターに挑戦した時期もありました。サイドギターに再度チャレンジです(……ごめん)。

2023.07.09 Secret gig
Velludoライヴはあまりにチケット瞬殺だったため、内緒の内緒でこっそりとお気に入りの七針でペニー単独濃厚ライヴもありました。

2023.07.17 at fever
Velludo presents “Between the Lines”
出演:
Velludo
Penny Arcade
DJ: Kenji Takimi (Neo Psyche Set)

この時に小山田くんからアドバイスがあったそうで、spotifyなどで penny arcadeと検索しても、同名バンドがたくさん出てくるので、公式に登録した方がいいとの話でした。そのためには公式Instagramを作って、活動しているアピールが必要だとわかり、旧ツイッター現Xと、Instagramのpenny arcadeアカウントが作成され、各ストリーミングも認証されたとのことです。お陰でペニーの公式情報も整理&充実されることとなり、いちファンとしても大変ありがたくも喜ばしく思います。

2023年10月にはカセット再発。そしてどうやら今後もペニー・アーケードの活動に期待できるみたいです。みんなで続報を楽しみに待ちましょう。

 

以下は石田さん提供の貴重資料集です!



KKV-025CA

Penny Arcade / A GIRL FROM PENNY ARCADE
カセット再発

KKV-025CA

カセット+DLコード(DLコードにはCDに収録されたボーナス・トラックも収録)、QRコードで小出亜佐子氏によるライナーと歌詞、閲覧およびダウンロード可能

80年代中旬東京でもひっそりとはじまったギター・ポップ・シーン。その中核となった伝説のバンドPenny Arcadeの唯一の公式音源だった『A GIRL FROM PENNY ARCADE』が30年近くの時を超えてオリジナルのリリースと同様のカセットテープで再発!マスターは2016年のリマスター音源を使用。80年代のニューウェーブからネオアコ、ギター・ポップを経由した90年代のインディー・サウンドのエバー・グリーンなルーツがここにある!

CDはこちら


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