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Space Kelly来日直前インタビュー

KKV Neighborhood #158 Interview - 2022.12.28
インタビュー、構成 by 与田太郎

今年Sarah Recordsに残された隠れた名曲たちのカバーアルバム『Come To My World : a tribute to SARAH』をリリース、2023年の年明けにはJapan Tourを控えているSpace KellyことKen Steenの最新インタビューをお届けします。


ー生まれた年と育った町を教えてもらえますか?

僕は70年代にイギリスの植民地だった場所生まれ、ドイツのハンブルクで育った。

ーあなたは日本にルーツがあると聞いています、差し支えなければそれについて教えてもらえますか?

僕の母は豊島区生まれの元祖江戸っ子で、父はドイツ出身なんだ。

ー子供の頃の音楽についての一番古い記憶を教えてもらえますか?

父はルイ・アームストロングに夢中で、母は10代の頃、日本のリッキー・ネルソンのファンクラブに入会していた。でも、それ以外はあまり音楽についての思い出はない。両親のレコードコレクションの中で、僕が最初に興味を持ったのはビーチ・ボーイズのコンピレーションだった、中でも"サーファー・ガール"はまるで恋に落ちたように魅了されたよ。

ー最初に楽器を演奏したのはいつですか?それはなにがきっかけですか?

子供の頃ピアノを少し習っていたけど、自分の意思で初めてベースを手にしたのは10代後半の頃だった。その頃にはもうそれなりのレコードコレクションを持っていて、憧れのバンドのライブにも何度も足を運んでいたから。自分が夢中になっている音楽を作ってみたくなったんだ。

ー10代になって、いまのあなたのキャリアにつながる音楽に出会ったと思います。ポップ・ミュージックに興味を持つきっかけになったアーティストやアルバムを教えてもらえますか?

プライマル・スクリームの『ソニック・フラワー・グルーヴ』が僕の音楽にほんとうに大きな影響を与えた、これは今でもかなりはっきり言える。それからマッカーシーの『Banking, Violence and the Inner Life Today』は僕にとって今でも絶対的な名作。James Taylorの『Sweet Baby James』とPaul Williamsの『Someday Man』、それとBeach Boysの『サンフラワー』、この3作は今でも僕のお気に入りだね。

ーSarah Recordsとの出会いを教えてもらえますか?

最初に買ったサラのシングルはThe Field Miceの『If You Need Someone』だったと思うんだけど、完全に心を撃ち抜かれたよ。僕の地元ハンブルグにはちょっと変わったおじさんがいて、インディーズ・コンサートの後にサラの7インチを箱に入れて売っていたんだ
それ以来僕はまるで熱に浮かされたように、彼がブリストルに注文したサラのシングルをすべて手に入れようとしたんだ。こうして僕はThe Sea Urchins、The Springfields、The Secret Shine、Another Sunny Dayを知ることになり、僕にとってまったく新しい音楽の世界が開かれたよ。

ーとくに好きなSARAHの作品をいくつか挙げてもらえますか?

ブライターのミニアルバム『ローレル』を聴いたときに、美しい曲を作るのにそれほど熟練したミュージシャンでなくても、勉強していなくてもいいんだと気がついたんだ。いくつかのコード、甘いメロディ、そして素直な感情があれば、ちょっとした魔法をかけるのには十分なんだ。
ケリス・ハワードが作った『ローレル』は、感動的で美しく、涙が出そうになったよ。僕もこの路線で何か素晴らしい曲を作りたいと思ったんだ。

ー80年代のインディー・ミュージックでとくに好きだったアーティストやアルバムを教えてもらえますか?

ハンブルグは昔から世界中のミュージシャンがツアーで来る街なんだ。それはビートルズが活動を始めた60年代だけでなく、多くの国際的なバンドが地元のクラブで演奏するために立ち寄っていた。僕はここで、当時のお気に入りのバンドをたくさん見ることができた。ウェディング・プレゼント、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ザ・デインティーズ、ジム・ジムニー、ロイド・コール&ザ・コモーションズ、ニュー・オーダー、ストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデーズ、ジーザス&メリー・チェイン、ブリリアント・コーナーズ、ザ・カーディックス、アメリカからはペイブメント、ザ・マイト・ビ・ジャイアンツ、ダイナソーJr、ジョナサン・リッチマン、ピクシーズ、キャンパー・ヴァン・ベートーベン、レモンヘッズ、ビースティ・ボーイズなどなど......。

ー90年代のフェイバリットを教えてもらえますか?

サラを発見してから僕はこの世界をより深く掘り下げ、ヘブンリー、オーキッズ、ザ・ウェイク、ザ・スウィーテスト・アッシュといったバンドを発見した。90年代前半には、クリエーション・レコードから、ティーンエイジ・ファンクラブ、ザ・ビーエムエックス・バンディッツ、ザ・ハウス・オブ・ラブ、ライドなどの最高のオルタナティブ・レコードがリリースされていて夢中になっていた。あと僕にとってペイル・セインツの『The Comfort Of Madness』と1996年にリリースされたロケットシップの『A Certain Smile...』は90年代のクラッシックだね。

ー自分のバンドを始めたのはいつですか?

学生時代に初めてバンド「Fluffy Pillows」(They Might Be Giantsの曲から取った)を結成したんだ。その後、スペース・ケリーと名乗りソロになり1995年にファースト・ミニ・アルバムをリリースした。

ーSpace Kellyとして活動を開始した頃のドイツのミュージック・シーンについて教えてもらえますか?
当時のドイツはラブ・パレードもありダンス・ミュージックがメインストリームではなかったですか?

90年代半ば、ドイツではさまざまな音楽的ムーブメントがあった。テクノはそれこそ国中を巻き込んでいたし、それ以外でもダブ、ジャングル、EBM、ディープ&テックハウス、ミニマル、そしてヒップホップ、ギャングスタラップ、イージーリスニング...何でもありだった。
その頃、インディー・ポップ・シーンは、みんなのアンテナから隠れて目立たないことに慣れてしまったんだと思う。そして、僕のようにドイツ語で歌っていると、特に政治的なメッセージを伝えていない場合は注目されるのはさらに難しかった。でも僕には数は多くなかったけど同じような考え方や音楽的背景を持つ選りすぐりの音楽愛好家たちがいたんだ、彼らはとても素晴らしい仲間だよ。

ーあなたはグラスゴーのシーンと繋がりが深いと聞きました。誰とどのように知り合ったのか教えてもらえますか?

僕はいつもグラスゴーの音楽シーンを追いかけていた。The Vaselines、The Pastels、Teenage Fanclub、Eugenius、Cosmic Rough Riders、それからBelle & SebastianやTravisなどもね。
その頃、偶然にもThe BMX Banditsのダグラスと知り合って、すぐに友達になったんだよ。それで僕がベルリンで主催していた月例クラブ・ナイトに彼を招待したところ、彼がザ・パールフィッシャーズのデイヴィッド・スコットを連れてきて、グラスゴーに近いイースト・キルブライドにある彼のスタジオでレコーディングしないかと誘ってくれたんだ。
フランシス・マクドナルドはドラムを演奏してくれると言ってくれ、ノーマン・ブレイクは彼のレコードで演奏して歌ってくれないかと頼んできたんだ。断るわけないよね!ティーンエイジ・ファンクラブのメンバーが僕のレコードで演奏してくれるなんて、夢が叶ったような気分だったよ。何年経っても、彼らのような素晴らしいミュージシャンたちを親しい友人と呼べるのは、とても素晴らしいことだよ。

ー今回のツアーではカジヒデキさんやチャーベさんが参加されます。日本のミュージシャンと知り合ったきっかけも教えてもらえますか?

僕はは90年代にバンガロー・レコードというFantastic Plastic Machineや砂原良徳などの日本の音楽を中心にリリースしていたインディー・レーベルで働いていたんだ。そこでソナーやレディングなどの有名なフェスティバルでヨーロッパをツアーした日本人アーティストたちと僕は日本語を話すスタッフとして特別なつながりを持つことができた。小西康晴、カヒミ・カリィ、マリンさん、そして後にカジヒデキを紹介してくれたチャーベなど、多くの刺激的なアーティストと知り合った。面白いことに、90年代初頭に僕は渋谷の小さな地下のクラブでカジヒデキがBridgeというバンドと演奏していたライブに行ったことがあることが後でわかったんだ。つい最近、東京で行われたブルーボーイのコンサートのフライヤーに、サポートDJとしてヒデキが載っているのを見つけた。こうしてみると、すべてがつながっているような気がする。

ー今回のSarahのカバー・アルバムを作ろうと思ったのはなぜですか?

純粋にやりたかったからさ、素晴らしいアイデアだと思うよ。

ーでは最後にもうすぐ会える日本のオーディエンスにメッセージをお願いします。

みんなに会えるのを楽しみにしているよ!


KiliKiliVilla presents Space Kelly Japan Tour 2023
6年ぶりのアルバム『Come To My World : a tribute to SARAH』をリリースしたSpace Kellyの来日が決定!

ギター・ポップ・シーンで長く活動を続けているSpace Kellyが自身のルーツに立ち返り、UKインディー・シーン伝説のレーベルSARAH RECORDSに残された数々の名曲をカバー、このアルバムのツアーが決定!
バックメンバーにアルバムの共同プロデューサーであるMichael Garbschがギタリストとして同行、ベースにカジヒデキ、ギターとパーカッションに松田CHABE岳二、ドラムにツナカワ (ante) を迎えたメンバーでのツアーを行います。
90年代中旬から20年以上にわたってヨーロッパのインディー・シーンで活動を続けてきたSpace Kellyが2020年のロックダウンの期間に自身のルーツを振り返った時に再発見したSARAH RECORDSの数々の音源。はじめてギターを手にした日をもう一度思い出しながら振り返った時に輝きだした珠玉の名曲の数々を中心にしたセットでの来日。

このツアー限定7インチの発売決定!
『Come To My World : a tribute to SARAH』のアンコールともいうべき7インチをツアー会場限定にて発売します。
Space Kelly / Come To My World : a tribute to SARAH plus
KKV-152VL
45 RPM
Side A : Caveman (The Orchids cover)
Side B : I’m in love with a girl who doesn’t know I exist (Another Sunny Day cover)

TOKYO
1月7日(土)新代田FEVER
open 17:30 start 18:00
with Pervenche、Strip Joint
前売 6,000円 当日7,000円 + 1D
https://eplus.jp/sf/detail/3762290001-P0030001

1月11日(水)新代田FEVER
open 18:30 start 19:00
with h-shallows+Tomohiro Makino、Three Berry Icecream
前売 5,000円 当日6,000円 + 1D
https://eplus.jp/sf/detail/3762300001-P0030001

KYOTO
1月13日(金)京都METRO
open 18:30 start 19:00
with BLUEVALLEY (rhythmbox unit set)、カジヒデキ(ソロ)松田CHABE岳二(ソロ)
DJ : DAWA (FLAKE RECORDS)
前売 5,000円 当日6,000円 + 1D
https://eplus.jp/sf/detail/3763440001-P0030001

OSAKA
1月14日(土)NOON+CAFE
open 17:30 start 18:00
with DEBONAIRE
DJ : NISHINO (O-LEVEL)、YO-KO、YOSHIDA
前売 5,000円 当日6,000円 + 1D
https://eplus.jp/spacekelly-jt2023o/

NAGOYA EXTRA SHOW
1月12日(木)K.D ハポン
Space Kelly accoustic duo live
open 18:30 start 19:00
with BLUEVALLEY (rhythmbox unit set)、松田CHABE岳二(ソロ)
DJ : 小野肇久(DREAMWAVES)
前売 3,000円 当日3,500円
メール予約のみ:kdjapon@gmail.com
この日のSpace KellyはKenとMichaelによるデュオ・セットになります。



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