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泳遠少女の思い出

swimmerという雑貨ブランドをご存知でしょうか。
言葉で説明するなら、ファンシー、ポップ、レトロ、そしてチープでキッチュ、そんな感じの独特の世界観を持つプチプラ雑貨ブランドです。
私は小学校低学年から専門学校に入る頃までこのブランドの雑貨集めに傾倒しており、鞄、財布、文房具、靴や服、食器、なんでもあったのでなんでも買った覚えがあります。
とはいえ私が生まれ育った田舎にswimmerの直営店など存在しなかったので、それほど大きくもないショッピングモール内の、小さいセレクトショップの、これまた小さな一角にあるswimmerのコーナーを週一でパトロールしていました。
中学生の時に初めて行った原宿竹下通りの直営店には、swimmerプロデュースのスイーツショップが併設されており、小さくてかわいい色とりどりのカップケーキやマカロンが並んでいました。
今ではインスタ映えという概念もあるし、見た目にこだわったスイーツはさほど珍しいものではなくなりましたが、当時はものすごく感動したことを覚えています。
自分は一生こういうものが好きで、一生こういう物を選んで、身につけて、生きていくんだと思っていました。
ところが2017年にswimmerのブランド終了が発表され、2018年には全店舗閉店することになってしまいました。
その頃にはもう都会で一人暮らしをしていたので、直営店で最後の爆買いを決行しました。
本当に悲しくて、これからどこで買い物したらいいんだ?と本気で思いました。
しかし無ければ無いで順応してしまうようで、その後はアンテナに引っかかる雑貨屋さんを見つけたり。
それも閉店してしまったり。
そんなこんなで時は流れ2020年、swimmerはあっさり復活しました。
嬉しくてたまらなくて、早速公式サイトを見に行きました。
ん????なんか違う……
あんなに好きだったのに、なぜかときめかない。
私が歳をとったからなのか、それは関係なくただ単に趣味が変わったのか、それともブランドの趣向が変わったのか…どうして?
そして本当になぜか今は何もかもを無印良品で買う生活、どうしてこうなったんでしょうか。
決して無印が悪い、とかそういうことではないけれど、無味無臭のものに慣れて、それが一番無難で落ち着くようになってしまいました。
そして昨年の出来事なのですが、100円ショップのSeriaで買い物をしていると見覚えのある絵柄のレターセットが目に留まりました。
生活のそこかしこにあった絵柄、見間違うことはありません。
高校生の頃に使っていたお弁当箱のイラストに酷似したイラストのレターセットでした。
調べてみるとやはり元swimmerのデザイナーの絵に間違いないようで、大変衝撃を受けてしまいました。
私にとってswimmerは特別でした。
それが100円ショップで安売りされている。
元々プチプラだけどそういうことではない。
上手く言葉にできないこの感情はなんだ。
自分の中でswimmerが特別ではなくなってしまった、憧れが消え失せてしまった、もっと言えば諦めがついた瞬間だったように思います。
思い出の品々はプチプラがゆえに脆く、今はもうほとんど手元には残っていないし、形あるものはいずれ失われるものなのでそれでも良い。
ただ思い出は消えないもので、そのキラキラしたカラフルな思い出たちが、鈍い光と褪せた色で上書きされてしまったような気持ち…
当時の私の生活を彩ってくれたグッズたちを作ってくださった方々が、今も現役で活躍されていることについては心の底から嬉しく思います。
たくさんのときめき、思い出、憧れをありがとうございました。
今の自分はファンシーとは縁のない存在になってしまったけれど、やっぱり私の本質はそこにあると思う。
だってあんなに好きだったんだもん。
今は鳴りを潜めているけれど、あの頃のときめきが私の体のどこかに眠っていて、何かの拍子に甦るようなこともあるのかもしれません。
またそんな日が来るとうれしいと思いつつ、今日も地味な服を着て、地味な部屋で生活しているのですが。

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