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春アニメ感想メモ③『君は放課後インソムニア』


もう夏クールアニメが始まっているので「今期」ではなくなりましたが、春アニメの感想noteを続けます。


・君は放課後インソムニア

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0BZ4B8PSX/ref=atv_dp_share_cu_r

(dアニ ニコニコ支店で配信なかったのでアマプラで観ました)


1話
さいきんアニメの映像に期待する水準が上がっているからなのか、映像の拙さがすごく気になってみていられない……

5/9火
2話
しゃらくせえ。ひたすらにしゃらくせえ。はやくこの2人がトラックに惹かれて異世界へ行ってほしいと願ってしまう。教員側に知られたときは「いいぞ! こんな秘密基地ぶっ潰してやれ!」と思ったが、なにもかもが2人に都合よく進んでいく。。
曲さん水泳部なんだ。男主人公は消えてくれていいから、曲さんの水泳部アニメを観たい。EDで1カットあったけど。
ED曲はHomecomingsの「ラプス」。これの主題歌だったのか。「US / アス」ではなかった。

曲さんのハイソックス(タイツ?)はたしかに特徴的だ。周りの子は短い靴下なのに。そして、夜の屋上では私服姿で短い靴下。どう考えても夜のほうが寒いだろうに。。不自然だ。

月面観測シーンで、曲さんが「あたしが月にいたら手を振るよ」的なクサい台詞を言う。ヒロインをまさに観測される被写体として客体化している!
ふたりの不純異性交遊のための夜の秘密基地を守るために「天文部」の活動を始めるのは、恋愛目的で天文を道具化しているようでしゃらくさい。
これら2つは見事に反転している。ヒロインを天体(の隠喩)にするのか、天体をヒロイン(のための方便)にするのか。

3話
ソロキャン先輩の造形が、外見も性格も想像してたのとかなり違った。
まずキャラデザはメインふたりとは別作品のキャラクターのよう。明日ちゃんのセーラー服における演劇部部長みたいな。LWさんが好きそうな白髪キャラ。
家に招いておいて、平気でソファに寝そべって背を向けて話したり、突然「お腹すいた」といってパスタを茹で始めたりするマイペースさはすごく良いんだけど、案外チョロ可愛くて「赤面」しちゃうのが大幅な減点ポイント。赤面のための白髪デザインなら最悪。部屋干しの下着も、男子に見られて慌てて取り込むのではなく、何も気にせず泰然自若だったら最高だった。
ファッションはたしかにかなり奇抜。ズボンもショートパンツに素足を思い切り出しており、曲のハイソックス制服と対になっているのか。

後半の先輩の七尾城跡ソロキャンパートもたしかによかった(鳥居の星景写真!)けど、前半の、天文部ふたりが先輩に会いに電車に乗って能登半島のさらに田舎に旅するくだりがめちゃよかった。田んぼと電柱!! 学校の天文部室・秘密基地とか屋上とかはいいから、毎回先輩の家・仕事場に通う田舎探訪アニメにしてほしい。

6/6火
5話 林間学校不純異性交遊朝チュン回
いったい何を見せられているんだ。こいつら許せなさ過ぎる。リア充永眠しろ!!という純粋な憎悪が湧き上がってくる。純粋な憎悪を湧き上がらせたいときに見るべきアニメ。
こんな魅力的な女の子とイチャイチャできるなんて中見が羨ましくて妬ましい!ってのもちょっと違う気がするんだよな。このふたりのイチャイチャを見せられてどう楽しめと!?という感情が近い。
中見の、自分だけ「異常」で周囲の人間環境を疎ましく見下しているかんじとか、それでいて、その反動としてヒロインの曲との逢瀬を楽しむことができる構造とか、何もかもが許せない。『四畳半神話大系』の「私」に対する許し難さと同種のそれ。
不眠症が甘酸っぱい青春ラブロマンスのための都合の良いにしかなっていたいのも現実の不眠症患者のことを考えていなさすぎる。
男と女を、それぞれカメラを持って撮る主体/撮られる客体(輝く星空と水面と共に!)として位置付けるのも凡庸にムカつく。曲が中見のカメラを奪い取ってぶっ壊してくれたらいいのに。
それに、単純に性的なニュアンスが露骨過ぎて引くわ。それを、あくまで健全な甘酸っぱい全年齢青春モノですよみたいなツラして出してくるところも苦手だ。

「ふたりで一緒に寝るときだけはよく眠れる」という信じがたい(本当に信じがたい!)設定は、そのとおりストレートな性的に露骨な表現であると同時に、「眠ってしまうのだから、不純異性交遊は起こりませんよ」という、そのセクシュアルな領域を作中から排除するためのストッパーでありエクスキューズとして機能している。ようするに「寝る」という述語の両義性がここでは有効に用いられている。なるほど、不眠症とヘテロ恋愛を組み合わせるというのはなんという慧眼だろうか!!! よく出来ているがゆえに、わたしの憎悪感情を的確に刺激してやまない。

6話 天体観測会の手伝いのため友人勧誘回
病身系ヒロインフラグで草 ほんとに永眠しそうじゃん 曲の都合の良い造形を病身による未来の無さと人生への諦観で理屈付けようとするのか。ほんとしょーもな・・・。
中見くんが上裸モデルとなって女子に描かれて、撮る主体/撮られる客体をさっそく転倒させましたってか?
ソフトボール部の穴水さん好きだな。
ご当地観光振興アニメとしては風景美術相変わらず良い。

6/30金
・7話 夏祭り/ラジオ配信・寝息ASMR回
穴水さん好き~~
学校に住みついてる猫にそれぞれの部活が好き勝手に名前つけてるのいい
曲さんと中見くんのエモ・いちゃいちゃシーンはずっと虚無の表情で見ている 中見さえいなければ……
後半の、相互にラジオ配信をやって寝落ちするくだりは正直めっちゃキュンキュンした。現代的なツールを上手く使っている。
さすがに男子の妄想過ぎるだろww とは思っちゃうが。
配信を聴いてる側も「いいね」機能的なもので反応すればいいのに、と一瞬思ったが、あくまで一方通行を順守するところに価値があるんだよな。

・8話 観測会雨天中止回
豪雨のなかの川沿いの風景美術がとても良かった。ツインテ元気っ子まわりのコメディ描写はどうにも肌に合わない。ラストの白髪先輩のエビにキスさせるくだりは笑った。
バス停で好きなひとと2人で雨宿り、制服は透けて……ってエロ漫画じゃん!
気付いてしまった。この作品、エロ漫画だと思うことによってすべて納得がいくかもしれない。あるいは、エッチな二次創作を見てはじめて「完成」する作品。そうでなければこのしゃらくささをどこにやったらいいんだ。成人向けであればしゃらくささが昇華される。

7/1土
9話 夏合宿のためバイト回
能登の!風景が!!良い!!! 背景美術のためだけに観ているといっても過言ではない
あ、やっぱ白丸先輩はおもろくて好きだから過言。マイペースなの最高。すぐ赤面しちゃうとこだけ残念
合宿に姉ちゃんもついてくるって聞いて、さっき中見くんがやってたようなコロンビアガッツポーズしちゃった 高校生男女ふたりきりで何泊も泊まり込みとかうらやまけしからん過ぎるだろう。

10話 夏合宿回1
うおおおおお神社回きたあああああ  夏の海辺の村の神社とかいう、ここ数年観たアニメのなかでも最高のロケーションの回だった。階段から鳥居を見下ろすカットや、バス停の時刻表の描写まであって最高
中見がひとりでひたすら田舎を散策して写真撮るアニメでいいぞ  「全然興味ない」と言いながら曲姉がついてくるのでも可
お姉さんめっちゃ良いキャラ。エロ漫画感が加速している
伊咲を「かわいそうな子」だと思わない中見が素敵だ、という姿勢とは裏腹に、この作品じたいが伊咲をめちゃくちゃかわいそうな子に仕立て上げていて本当にイラつく。マジで病弱設定要らないっす。姉も中見を信用して託して気を利かせて去るんじゃなーい!!けっきょく2人きりになっちまったじゃねえか!! R18指定まったなしだぞオラ!!!!

7/3月
11話 夏合宿回2 見附島・餃子・キス
海辺のスポットを巡る撮影旅。最高
思うんだけど、この2人がイチャイチャせずに普通に今回みたく撮影映えする田舎を散策しててくれたら、それはもう超絶に自分好みの理想的なアニメなんだよな。中見が足を滑らせて海に落ちそうになって曲が手を取って急接近、頭上には満点の星空が──みたいな胸キュン青春要素が要らなすぎる。夜空とかせっかくのロケーションをお前たちのイチャイチャの舞台装置に使うなコノヤロー。ようするに、伊咲をカメラで撮るな、って話なんだよな。お前は(このアニメは)美しい能登の風景だけを映していればよい。彼女を《風景》に加えるな。原作漫画でもここ大ゴマなんだろうなーというシーンは総じて苦手である。
ふたりの青春のための舞台装置といえば不眠症要素もそう。おとといの低志会でも言われてたけど、何らかのトラウマゆえに不眠症になった、という設定は、現実にいる、何のトラウマもない不眠症患者の存在を抹消する、冒涜的で暴力的な展開だ。・・・しかし、そうした自分達のことしか考えてない身勝手さ、万能さこそが "青春" だろうと開き直られたら一定の妥当性はある……。
これまでずっとふたりを観て「イチャイチャするな」と言ってきたわけだけど、今回観て、逆に、とっとと付き合ってやることやってステディな関係になってくれたらいいのかもしれない。まだ付き合ってない両想いのふたりのハラハラドキドキ胸キュン展開が苦手なだけで、日常的にセックスを繰り返す爛れたカップル期を経て、結婚でもなんでもして、そういう青春期を抜けたふたりが、今回のように凡庸な日常生活や、田舎ロケハンをしているところなら全然観れる。餃子を作ったり買い出ししたりするところは良かったよ。(和室の仕切りを不可侵線としてLINEでイチャイチャするのは流石に爆笑していたが。『サイダーのように言葉が湧き上がる』ならあそこは画面左右分割でふたりのトーク画面を同時に映していただろうな。)
老後のお爺ちゃんお婆ちゃんになったふたりが理想かも。エロ漫画としてなら許容できる、というのも同じ理由だと思う。……でも、やはりこの作品の肝(やりたいこと)は、まだ付き合ってはいないふたりのイチャイチャという古典的なラブコメのトーンなんだよな……。
高校生の男女にむかって「イチャイチャするな」と「はよセックスしろ」を同時に叫ぶ、いちばんやべー老害おじさんと化している。。

7/4火
12話 夏合宿回3 友人ズ訪問
最終回かと思ったらまだ1話残ってた! もうやることが決まりすぎている
西岸駅というところ。・・・えっ、[花咲くいろは](面影ワープ)の聖地でもあるの!? すげえな
マジで「あたしたちがお爺ちゃんお婆ちゃんになったら~」の話してて草
友人ズ、いくら2人の仲を応援してるとはいえ、流石に高校生で男女ふたりきりで何泊もしてるのに何も触れないのはこわすぎるだろ。どんな配慮だよ。 高校生にしてヤリサーのような貫禄をみせている陽の集団
能登の素晴らしい風景を、このふたりのイチャイチャのためのダシにするな~~~~💢💢💢 と何回言わせれば気が済むのだろう。
親友くんに「がんちゃん曲となんかあった?」と指摘されあわてるように、恋愛を個人の成長に結びつけるイデオロギーはまさに青春のそれである。トラウマ克服とかもそうで、自己啓発的なしゃらくささがあるんだよな。意識の高いリア充とか、オタク最大の「敵」でしかない。わたしはこれを絶対に認めないという大人げない姿勢を曲げないぞ!! ロケーションの良さに騙されるもんか~!

7/10月
13話 真脇遺跡回
最終話。・・・はい。ようやくこの拷問から解放される…… お幸せにーーー
星空や宇宙を「こわい」と思う繊細な感性を失って、ただ「きれい」としか思えなくなる。ひとはこうして大人になり、社会に組み込まれていくのだなぁ。。 ロマンティック・ラブ・イデオロギーへの従属とともに……。
しょーじき尺余ってなかった? 最終話のBパートでがっつりこれまでの振り返り総まとめをやるアニメ久しぶりに観た。

じぶんがいちばん生理的に受け付けないタイプの青春アニメでしたねぇ~~~
何が苦手かって、おそらく、カップルふたりの関係が第三者によって脅かされることがない、すなわち三角関係要素が皆無なところだと思う。運命の出会い、ぬるま湯の両想い関係。はいはい。お幸せにーーーーーー
曲伊咲さん、かわいいとは思うけど、ストーリーのトーンが嫌いすぎて最終的には彼女の姿さえ見たくなくなってた。穴水さんのスピンオフでお願いします。
中見と曲の初々しい恋に素直にキュンキュンして楽しめるひと、本質的に根明というか、社会適合者だな~~と思う。さすがです。

こないだの低志会↑で、noirseさんが完全に自分と同じ側でこのアニメを楽しめないと熱弁していて、リアタイで聴きながら「そうだそうだ!!」と叫んでいた。(低志会メンバーのなかでは自分は明らかにnoirseさんと感性がもっとも合う、というのは過去の放送を聞いていても思う)
ぎゃくに、他の方々は、まるで老人が夏の甲子園をTVでみて、若者たちの青春に生きる姿をほほえましく観るような気持ちで視聴していた、と仰っていて、大人だな~~~と思った。つまり、わたしはまだまだ若いというか、幼稚というか、年甲斐もなく彼らに嫉妬してしまう弱者(ニーチェ的な意味で)なのだろう。

能登半島の田舎の風景を描いてくれた点は、今期どころかここ数年で観たアニメのなかでも最高峰に自分好みで良かった。背景美術・ロケーションがもんのすごく素晴らしかっただけに、本筋にまったく乗れなかったのが悔やまれる。曲も中見もいらないから、白丸先輩とかがひとりで田舎探訪するアニメが見たい。
あと、そもそも天体観測・星景写真という要素もあんまり好きじゃなかったんだと思う。星座は中学生くらいのことまでは大好きだった(自分のアイデンティティにしていたほど)けど、今となっては、凡庸なエモというか、インスタ映え的な方面にストレートに結びついてしまうのでしゃらくささのほうを感じてしまう。あくまで自分が好きなのは田舎の風景(を旅すること)であって、その上に広がる星空をメインで考えてはいないし、あと、「写真」に撮って作品にすることもあんまり好きじゃない。SNSで大量に流れてくる「夏の田舎のエモい写真」とか、そりゃあ見たら良いなぁエモいなぁ行ってみたいなぁとは思うけど、それをインターネットで公開・共有・拡散してしまった時点でもう本来のアウラ(誤用)は損なわれているというか、やっぱりひとりで旅をして現地に立って、その場の雰囲気を楽しむのがいちばんだな!と思った。
このアニメの感想に戻ると、中見は、そんな星空や風景の写真だけじゃなくて、そこに佇んで笑う曲をも写真に撮る。これも決定的に受け入れがたい。景色だけ撮っとけや!! ヒロインも《景色》の一部ってか? 男キャラがアニメやエロゲでヒロインの頭を撫でる描写が大嫌いだけど、それと同根の嫌らしさ・グロテスクさを感じる。曲も曲で、最終話とかは自ら「わたしを撮って」といって被写体になってくるし(まぁ最後はスマホ=鏡でお互いに撮り合ってたけど)、カメラロールに自分の顔が写っている写真がある人間は、根本的にじぶんとは違う文化圏に所属していると思うので、はい……。

青春ストーリー・キャラ造形は自分の好みには合わなかったけど、舞台・ロケーションは素晴らしかったし、客観的にはとても良く出来たアニメだったと思います。ホムカミも良かった。




残りは『僕の心のヤバいやつ』ですが、あと6話分のこってます・・・

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