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師匠に感謝。

私には、師匠、と呼び慕う大切な方がいる。
初任者(新卒1年目)のときからお世話になっているので、これで7年の付き合いになる。

何の因果か、最近、私自身「カヌレ師匠」と、仲間たちに親しみを込めて呼んでもらえることもあるのだが、
私にとっての師匠は、あの人、たった1人なのだ。

師匠との出会いは、7年前の秋。
9月にしては寒い雨が降る、金曜の夜のことだった。

教員になり、授業づくりに困り果て、何とか勉強できないかと方法を探していたとき。
たまたま、同じ職場の方に「この本を読むと良い」「答えは本の中にしかない」と教わり、
読んだ本がこちら。

この本を読み、衝撃を受けた私。
一気読み、と呼ばれる、この著者さんの本を一気に読む現象に、私自身も巻き込まれていった。

この本の中に、
「授業を学ぶなら、サークルで」と書いてあった。何度も何度も書いてあった。

サークル?

どうやら、学生の時の、「同好会」のような意味ではなく、「同志」という意味の集団のようだ。
模擬授業をしたり、指導案の提案をしたり、お互いに指摘しあったり、
そして最後には美味しいお酒を飲もう、そんな日もあると知った。

サークル。
孤独に授業に立ち向かっていた私に、またとない情報。
すぐに、職場の近く、家の近くで行われているサークルを探した。

今でこそ、zoom等を使用したオンラインサークルも主流だが、
コロナのなかった当時は、顔を合わせるオフラインが普通だったのだ。
蛇足ではあるが、コロナが始まった頃、きっとどこの教育界隈よりも早くzoomを使ったサークルを運営し、セミナーを運営し、オンライン授業に向けての指導例集を作ったのも、この仲間たちだと思う。

私が見つけたサークルは、サークル長のご自宅で行われるという、文字通りアットホームなものだった。
そのため、予定より少し早くついてしまった私は、雨の中で途方に暮れていた。
緊張と、寒さと、いどころの無さで
「やっぱり来なければよかった」
「今日扱う予定の本もまだきちんと読めてないし…」
「やっぱり場違いなんじゃないか」と、ぷるぷる肩を震わせて、今にも泣きそうな気持ちをこらえていた。

その時だった。

「もしかして、もう着いてますか?」

一通のLINEが、届いた。

「はい、早く着いてしまいました」

「よかった!その近くにカフェがあるよ!そこにいるから、よかったら一緒にお茶しない?」

それが、師匠との出会いだった。

師匠は、サークル長の弟子のような方だと、後から分かった。
明るくはつらつとして、初対面の私にも気さくに話しかけてくださった。
サークルをホームページから探して、すがる思いでアクセスしたこと、授業について困っていたけどどこにも私のほしい情報がなかったこと、課題図書をまだ読めていないこと、
全部全部、正直に話した。
「今日のサークルでこの本、みんなで読むって聞いたんですけど…まだ読めてなくて…」と
私が課題図書を鞄から取り出すと、
「え!すごい!買ったの!?それだけでもすごいことだよ!みんなに言おうね!」と、手放しで褒めてくださった。
そしてサークルに合流したときも、
「みなさん、聞いてくださいよ!この子、本、ちゃんと買って持ってきてるんですよ!すごくないですか!?」と、わざわざ紹介してくれて、居場所を作ってくれたのだった。
その日のカフェで飲んだココアの温かさは、今でも忘れたことはない。
そして、その日、「学びたい」という純粋な気持ちを受け止めてもらえた安心感も、忘れたことはない。

この日はその後、雨だからと言って、
私の家の近くまでわざわざ車で送ってくださった。
社内で話をしているうちに、学んできた環境や、共通の知り合いなど、いろいろな話題で盛り上がった。
今思えば、それも全て、師匠の気遣いだったのだ。

その後も、学びに行く際にはいつも挨拶をし、毎年3月には一緒にカフェで新学期準備をさせてもらい、ある時には金沢の有名な先生のセミナーの、出席権を譲ってもらったこともあった(そのセミナーは私の人生を変えた。)

関わらせていただいて7年になるが、
いつだって明るく礼儀正しく、学び続けていらっしゃる姿に、敬意しかない。
まだまだ足りないところだらけの私に、「いけないことはいけない」ときちんと教えてくれる。
この歳になると、叱っていただけるチャンスはなかなかない。
心を砕いて、私のために、と、声をかけてくださること、どれだけありがたいことか。

自分が休職に入った時も、何度も連絡をくださり、太陽の下に連れ出してくださった。
新たな挑戦をしようとする時も、いつだって力強く応援してくださる。
そんな師匠に恩返しがしたいのだけど
自分が進む時、師匠はもっともっと先へ進んでいってしまう。

ロールモデル、という言葉があるけれど
私にとってこの方は、ロールモデルではない。

やっぱり、どこまでいっても、
「師匠」なんだと、そう思う。

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