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💗*愛詩*💗

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私の詩は、ほぼノンフィクションの感情そのまま。 経験しないと出ない想いを綴っています。 だから、私にとって詩は短いドラマ。 愛する誰かへの短いラブレターなのです。
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2021年6月の記事一覧

―歯車―

―歯車―

それぞれのそれぞれにもつ大義名分.

時の歯車にうまく噛み合わず.

それでも歯車は.

止まることを赦されず.

歯こぼれ覚悟でまわり続ける.

ギリギリと.

見えない犠牲を先延ばして.

負の貯金だけが.

夢の風船よりも膨れ上がる.

その重みを背負う幼子の.

無垢な微笑みにどうか.

希望だけはなくならないでと.

矛盾を造りあげた大人が流す泪は.

チグハグに交差するひずみを.

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―私のノスタルジア―

―私のノスタルジア―

ミョウバンの色鮮やかな茄子の紫.

涼やかに艶やかさを増す表皮.

夏休みの朝.

知りつつ一口ほうり込む.

やっぱり、塩っ辛い茄子の漬物.

お祖母ちゃん家のお祖母ちゃんの味.

まだ、遠慮がちに鳴く蝉の声.

構わず慌てて.

甘いだけの卵焼きに箸をのばす.

夏休みの朝.

冷たく冷えたほうじ茶を.

無作法にご飯にぶっかける頃.

遅れてシワシワな温かい手で出してくる.

茗荷の味噌汁.

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―順応―

―順応―

少女は、何も聞こえない世界に憧れた.

耳をふさいでも、物の声が聞こえる.

人の唇が視覚で動かなくても.

その人の声や感情が流れてくる.

何時からか少女は.

何も聞こえない世界に憧れた.

かたく口を噤む人になって.

誰もいなく.

人の手に、思いに触れている物の無い.

雑草敷き詰まる川べりに行くようになった.

空ばかり見上げて.

雲の動きばかりを見やる.

その時間の流れだけは.

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―あくび―

―あくび―

会えない君を想い.

目の前の義務にかられて会う人に.

よそいきの繕う笑顔で.

生殺しのあくび.

脳に酸素が行き渡らない.

そんな感覚.

退屈な憤りは.

避けられずして会う人のせいじゃない.

君の気配を感じられない.

この街の大気のせいなのか..

―尽未来際―

―尽未来際―

無造作な配色の階段.

急かされるように駆け上がる.

大人然とした人々の.

もっともで理不尽な.

狭く大きい不条理を.

うまくのみ込めず.

エネルギーが尽きるまで.

衝動まかせに走り続ける.

指先に感じる君の.

確かな温もりがあれば.

先の不確かなんて.

こわくはないから..

尽きない夜のさみしさを2人.

うもれるように寄り添って眠ろう.

尽きない朝の眩しさを2人.

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―悪夢なら夢のままに―

―悪夢なら夢のままに―

最悪を予測しない主催.

パーティーは開かれる.

招かれる人々は.

パスをとおすだけ.

表向きの笑顔で.

お招きありがとうのていで.

後の責任など皆無.

開くと決めたのならば.

盛り上げにひと役かおうじゃないかと..

でもね.

パーティーが終わり.

しずまりかえった後.

のこされた会場.

それぞれの来客.

それぞれの帰途..

予期せぬ…

いいえ.

予期できた最悪に包

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―獣の咆哮―

―獣の咆哮―

あなたの香り.

まだこの全身をおおう.

うちつける無機質なシャワー.

カラダに残る電流.

目を瞑り..鎮める.

さっきまで一緒で.

そして一緒に疲れた.

気だるさと残り香は.

秘密の余韻.

深層心理.

ワタシタチはケダモノ.

それでいい.

愛の前にひざまづき.

蔑みをむさぼる.

真珠の汗をうみだして.

波にのたうち.

虚空に吼えた..

―憧れはいつも籠のない鳥―

―憧れはいつも籠のない鳥―

私の鳥は夜にとぶ.

私の鳥は夜に鳴く.

邪魔のない漆黒の.

空間を羽ばたき刻む.

あなたの夢に忍び込み.

甘く切なく.

ほんの一鳴き.

思い出して.

私はどんな?

気紛れ.

まやかし...

今夜は誰の夢..?

―鏡の世界―

―鏡の世界―

つきて.

めばえて.

はぐくみ.

またつきて.

繰り返す.

それが永遠.

生命の.

かたちあるものとしてではなく.

精神の不滅の繋ぎ.

それが永遠.

のこすもの.

うつすもの.

どうせなら.

美しい精神世界へ.

色即是空.

空即是色.

生きとし生けるもの達への.

戒めとレクイエム.

そして.

大いなる課題.

―twin ray―

―twin ray―

約束、しない.

約束、求めたりもしない.

なんとなくで、いい.

意識のほかで繋がっていれば.

本物か、偽物か.

そんなこと、考えない..

考えたくもない.

不思議と、よく笑う相手が.

君だったり、僕だったり.

不思議と、無防備に眠れる隣が.

君だったり、僕だったり.

不思議と、気づいたらよく居る相手が.

君だったり、僕だったり.

愛か、恋か.

枠にとらわれた名前なんか無

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―沈む月―

―沈む月―

枠のないパズル.

巣をもたない鳥.

窓のない古城.

メロディのないオルゴール.

片翼の蝶.

穴のあいたグラス.

揺れないゆり椅子.

枯れた花の蕾.

砂漠の糸トンボ.

ひび割れた鏡.

夢…

全て夢の断片.

朝でもない目覚め.

荒い呼吸.

纏わりつく汗.

愛された過去のオアシス.

救いの欠片.

溜息の紫煙.

誤魔化しのシガー.

意地悪な睡眠.

サイケデリックな夜

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―sweet concept―

―sweet concept―

何層にも重なる雲のミルフィーユ.

大きな匙をつきたてて鋭く走るイナズマ.

地をふるわす雷鳴はまるで神々の歓喜.

上空から降り注ぐシュガー.

季節外れのパウダースノー.

満たされた神がもたらす静寂..

忌むのも、慈しむのも.

かけるエネルギーは同じ.

ならば総てを慶びとして.

超越は同化.

きっと無重力から見える地球は.

七色のキャンディコーティング.

蕩けるほどに濃厚な概念

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