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エッセイ(二次関数)

 二次関数をご存じだろうか。

 数学に出てくる、曲線のアレである。

 具体的に言うと、まず、横のx軸と縦のy軸を引いた表がある。

 その上を、ど真ん中の原点0からスタートして、右斜め上に向かう曲線を引く。
 そして、それが左右対称になっている。(y=x2の場合。数学アレルギーの人すいません)

 最初は縦軸がほぼ0に近いところで停滞しているが、徐々に、加速度的にぐいーーんと右上に伸びていく、例のアレである。

 これに対して、一次関数がある。(y=x)
 こちらは、きれいな直線になっている。

 順調に、一定のリズムで斜め上に伸びていく。
 業績が堅調な企業の決算発表とかで見るようなアレである。

 そこそこいい歳になって、人生の酸いも甘いもぼちぼち経験し始めたころ。

 あらためて、『世の中は二次関数的になっている』と思うことがあった。

 たとえば、何かを勉強したり、習得するとき。
 誰かから、信頼を得ないといけないとき。

 結果がでるまで、時間と根気が必要になるものたち。

 でも、たいていは、二次関数の踊り場(ぐいーんと上がりきる直前の、ぐずぐずと停滞しているところ)でやめてしまう。

 ついつい、『今やってること、ぜんぜん一次関数みたいになっていない』、
 計画に対して、うまくいってない、と思ってしまう。

 そんなあきらめが、過去に何度あっただろう。
 何度、チャンスをふいにしてしまったのだろう。

 そんなとき、自分の中の天使(悪魔?)が、

 「ちゃうで。これ一次関数やなくて二次関数やから、今諦めたらソンでっせ」 

 と、つぶやいてくれたら、今の人生も少しは変わっていたのかもしれない。

 何かをすぐあきらめてしまう、そんな方々(自分含め)に言いたい。


 世界は二次関数でできている。

 ……場合もあるから、今やってるソレ、ちょっとあきらめるの早いかもしれません。


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