かげぼうし

どうも、川原希心です。
立て込んでいた諸事情もとりあえずは落ち付いてきたので、次回作や「灯明守」シリーズのあれやこれやのお話でもしようかな、と昨年6月の文学フリマ岩手で作ってみたフリーペーパー「かげぼうし」本文に加えて、新情報も少し交えてお伝えできればと思った次第です。

AVERSE NOVELS vol.04

起動要請――許諾。はじめまして、私は《IZNM》です。
私は、想像する。彼女の、瞳の向こう側に見た世界を――。

イザナミ運開十年「神話編纂 Iznm.Zipangri」-THE REVIVAL OF MYTH-

史上最悪といわれた原子力災害から百年、
我々は失われた神話の再興を切に願う。

第1章 ありもしない新刊についての話

 一面に告知を乗せた「神話編纂」ですが、未だ構想の域を出ておらず、執筆に取りかかったわけではありません。
 決まっていることは、「アナログハック・オープンリソース」を利用した作品になるということと、近未来の原子力技術のあれこれを描いたSFと言った二点です。

 「アナログハック・オープンリソース」とは、作家、長谷敏司氏が公開しているもので、同氏著書の「BEATLESS」などで展開している設定および世界観を誰もが自由にオリジナルの創作に使えるリソースとして開放するプロジェクトです。公式ページはこちら《https://w.atwiki.jp/analoghack/

 SF創作は、背景設定に力が入った作品が多く、何だか敷居が高くて、今まで書いたことがありませんでしたが、「BEATLESS」を読んで、私もそういう作品が書きたいなと思ったのが始まりで、調べていくうちにこのプロジェクトに行き着きました。二年前にはpixivで「アナログハック・オープンリソース」を使用した小説を募集するコンテストがありましたが、当時は「夢鑑」の構想に悩んで、筆を置いていた時期でしたので……。
 
 それから、少しずつアイディアを書き出してきて「灯明守シリーズ」が一区切り付いたタイミングで書き始めようと思い至った次第です。
 
 書き出しでも述べましたが、構想をまとめている段階で、本格的な執筆も未だ始まっていませんので、刊行は気長にお待ちくださいませ。来年に出せればいいなぁ~くらいの感じでゆるりと書いていきたいと思います。

第1.1章 2023-02追記

 私事で恐縮ですが、今年は「アヴェルス」として活動を始めて、10年の節目の年になります。6月の文学フリマ岩手8で新刊を発表できるように鋭意執筆中なのですが、折角なので仕様に拘ったもの(特装版)を少部数でも作れればいいなと模索しているところです。
 あとは、タイトルも当初発表していた「神話編纂」から変更になりそうです。

第2章 「灯明守シリーズ」のあれこれ

 初期段階での「灯明守」は夜伽(通夜)の席で線香を絶やさずに焚き続ける役目を代行する者の話を書くつもりでした。それが、故人の霊が語らう生前から中陰(死後、来世に転生するまでの間の状態)の記憶を聞き、それを記録し、語り継ぐことで弔い続けていくと言う話になりました。

 その記録は、紺紙に銀泥で記され、巻子本の形でまとめられて、御堂の奥に収められます。そして、祥月命日の逮夜(前夜)に客のいない夜咄として、弔われるのです。

 「灯明守」の出発点は、高校時代に考えていた「帯刀する女性と黒猫」と言う漠然としたものでした。そして、その根源にあるのが一つの夢でした。詳しくは「夢鑑」と「三諦」のあとがきで触れていますので、詳しくはそちらをご覧くだされば……と宣伝を少々。

 「灯明守(黒猫の方)」にはモデルがいまして、私が初めて里親になった黒猫です。尻尾が短くて、隻眼(白内障)でしたが、誰にでも人懐っこくて、可愛かったです。当時は、家で猫を飼ってはダメと言われていたので、叔母の家でずっと預かってもらっていたのですが、今年の元旦に天へと旅立っていきました。十七歳という大往生で、夭折した双子の弟の分まで生きてくれました。

 また、舞台の御堂にもモデルになった場所が一応あるのですが、最終的には似ていませんね。いいんです。フィクションですから(笑)

 それでも、あの場所を知らなければ、「灯明守」は出来上がらなかったと言っても過言ではありません。

第2.1章 2023-02追記

 このたび、文学フリマ岩手開催記念アンソロジー『イーハトーヴの夢列車 三号車』に乗車させていただくことになりました。
 6月開催の文学フリマ岩手8で発表される予定です。どうぞお楽しみに。

第3章 「灯明守シリーズ」ちょい読み