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キメラハンコ亜種について調べてみました

はじめに

前回までは、都庁ハンコの特徴再現の調査、
そして文書管理規則でのハンコの扱いを確認してきました。

特に文書管理規則はこれからの調査でも重要ですので、
一度お読みいただくことをお薦めします。

ここまでのまとめ

  • かすれハンコは再現可能

  • 一度高さを変えると、元に戻すのは困難

  • 収受印は文書を受け取ったら押し、授受簿にも記録する

  • 謎の「’2 」ハンコが登場する

今回は、「’2 」ハンコについて調査していきたいと思います。


「’2 」ハンコの謎

「続」記事の最後に登場した「’2 」ハンコ、掘れば掘るほどに奇妙なこと判明ました。

まずは、このハンコの外見的特徴から分かる奇妙な点を解説していきます。


「'2 」ハンコの特徴

先の記事で調査してきたハンコは「男女共同参画課」、「DVセーフティネット交付金」の担当課のハンコです。

この課のハンコで一時期だけ登場するのが、
この「’2 」ハンコです。

上段が「'2 」下段が「02」

パッと見で、
アイエス×サンビーキメラハンコであるということ
これまで見てきたハンコと比較して、かすれが少ないこと
が分かると思います。

しきりに「’2 」ハンコと呼んでいますが、
’2のあとにスペースを入れていることが分かりますでしょうか。

このデータ印は5本のベルトで構成されており、「’2 」ハンコは
   ①が「’2」
   ②がスペース(空欄)
に合わせてあります。

①には普通の数字と「’」つきの数字がある

省略の「 ' 」

「’」はアポストロフィ、「省略符」とも呼ばれた記号です。

年号で使う場合は、「2023」を省略して「’23」なんて書きますね。
だから日付印には①にだけ、この記号つきの数字があるわけです。

呼びにくいから Aposハンコって呼んでいい?


というわけで、この「'2 」ハンコは、年号の表記方法を間違えてますね。
令和2年を表すなら、「02」「-2」もしくはせめて「2 」、
さすがに「’2 」はちょっと違います。

西暦?令和?いつ?

つまり!都庁のハンコは不正!
ゆりこーーーー!!

なんていうつもりは勿論ありません。

まあ普通に間違えてるだけでしょうし、こんなことで日付の信憑性が落ちるとも思いません。

ただ、この特徴が分かったことで、見えてくることがあります。

これらを踏まえて、順に見ていきましょう。


「'2 」ハンコから見えてくること

まずは、一般人男性に合意書を提出して挿れて送ってもらった
DVだけで2500ページ越えの書類たちから、
男女共同参画課」の収受印を探し出しましょう。

合意は大事


大量にある収受印のほとんどを心優しいお化け⎛'◕'⎞がピックアップしてくださいました。ありがとうございます。

時系で見てみる

団体別時系列順に並べてみると、こんな具合です。

拡大してみてね

「'2 」は、R2.07.25からR02.10.08までの期間でのみ登場します。

そして、その前も後も、先日検証をしたかすれキメラ。

このように並べて、私は次のように確信しました。

かすれキメラは用紙の種類によって生じている
R2.07.25R02.10.08を除く生活文化局のハンコは同一の個体である
③R2.07.25
R02.10.08の期間はハンコを押した人間が違う

順に説明します。 ここからちょっと真面目です。


①かすれキメラは用紙の種類や処理によって生じている

団体別で並べたことによって、傾向が見えてきました。
 Ⓦ=若草のハンコは薄く
 Ⓑ=BONDのハンコは濃く
 Ⓒ=ColaboのハンコはWBの中間ほど

団体ごとに傾向がある

なぜこのような傾向が出るのか?
最初は団体ごとに押す人やハンコが違うことも考えました。

しかし、「’2 」の時期はWBどちらにも「’2 」が押されています。
すなわち『団体ごとに違うハンコが使われているわけではない
ということが言えます。

また、「’2 」は他の時期に比べて濃くなっており、
その中でもWとBを比較するとBが濃いです。

よく見ると濃淡がある

先の団体毎の傾向があることから、『濃淡はハンコ由来ではない』ということが分かります。

また、この交付申請書は「団体から生活文化局に提出する」ものであるため、用紙は自前であり、団体ごとに違う種類であると推測できます。

これらを合わせ、
同じハンコで押された印影ではあるが、
 各団体が自前で印刷した用紙に押印したため、朱肉のノリが違った』
という結論を導きました。


②R2.07.25~R02.10.08を除く生活文化局のハンコは同一の個体である

「’2 」ハンコを除いた、従来の「02」キメラハンコ
団体ごとの紙質による違いはありますが、ほぼすべてが同じように
数字周りがかすれます。

「’2 」ハンコの時期を挟んでもそれは変わりません。

「’2 」期前後の比較

」記事で検証したように、
数字周りのかすれは数字部の高さに由来します。

そして、非常に微妙な高さの違いだけで、
このかすれは再現できなくなることから、
一度も高さ調整を挟まず、1つのハンコを使い続けた』からこそ、
このかすれが毎回発生していると考えています。

ただし、かすれも年表記も違う「’2 」期だけは、例外です。


③R2.07.25~R02.10.08の期間はハンコを押した人間が違う

最後に「’2 」ハンコですが、
かすれ方が違うこと、前後の「02」ハンコが同じ高さをキープしていることから、「02」とは別の個体であることが推測できます。

また、普段から「02」を使っていた人なら、間違えて「’2 」にセットすることはまずなさそうです。違う人がセットしたから起きたのではないでしょうか。

ハンコを押す位置も、特徴がありました。

「’2 」は下部、「02」は上部に

これも、個人のによるものと思われます。
(文書管理規則には「空白に押す」とあるので、どちらも問題はない)

以上から、
「’2 」期は別の担当者が、自分用のハンコを使っていた』
と考えられます。自分用でなくとも、使うハンコの違う別人です。

第1次「02」期と第2次「02」期は
同一人物かもしれませんし、違う人物かもしれません。

自分でも変なこと書いたなって思った


つまりどういうことだってばよ



かすれキメラは用紙の種類によって生じている
R2.07.25R02.10.08を除く生活文化局のハンコは同一の個体である
③R2.07.25
R02.10.08の期間はハンコを押した人間が違う


まず、何かと陰謀論の多い「かすれ」ですが、私は
ハンコの高さ調整の悪さ
・団体ごとの紙質の違い
からきているものと結論づけたいと思います。

修正したのなら、もっと数字のズレが生じますし、漢字すべてを消してしまったりはしないでしょう。

  おもんなって言わない!!


次に、「’2 」期については、収受印を押す人間、
つまり「申請書を受け取る担当者が変わったということでしょう。

事務担当者消滅

調べられた範囲では
’2 」期の最後、事務担当者はYさんでしたが、
02」に戻った12月は、事務担当者が消えています。

その次以降、事務担当者はHさんという方になっていました。

事務担当者の変遷を予想すると、

第1次「02」期 Hさん もしくは ?さん (資料がなくて特定できず)
「’2 」期   Yさん
第2次「02」期 Hさん

つまり、

このように!!担当が変わっていたのです!!!


だから何?

そうですね。
担当が変わったからどうなるって話ですよね。

ただ、このYさん、この説が正しければ
3か月しか事務担当をしていなかった
ことになります。

結構よさげな役職なのに

後任と思われるHさんはその後ずっと、書類には登場していました。

では、
なぜYさんは3か月で窓口を外れたのか

この件と関係ある?

いよいよ陰謀論じみてきました。
ここからさらに掘り進めてみようと思います。

まとめ

  • かすれは陰謀ではなかった

  • 3か月だけ窓口をやっていた人がいた

  • 同時期、交付金が削られていた

  • 資料大杉

いかがでしたでしょうか?

ハンコに着目するだけで、
こんなに多くのことが分かるなんて思わなかったでしょう?


私も思いませんでした。  草々

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